遺言書の保管者として検認申立 | 横浜 コーディアル司法書士 所博之

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LECと伊藤塾を通じて司法書士講師業25年のキャリアを活かしたブログ

すっかり秋らしくなりました。いかがお過ごしでしょうか。

私の方は、オンライン申請した登記申請情報のデータが破損し、法務局へ申請したデータが再現できなくなりました。

サポートセンターを通して修復を試みましたが、再現は叶わず、結局、今まで使用していた業務ソフトをアンインストール、そして新規にダウンロード及び再インストールをして、新規の状態で利用することになりました。

その最中、ちょうど審査中の登記が補正にかかりましたが、事情を説明したら、担当調査官が「今回限り」といって、補正を完了させてくれました。

結局は、今までの登記申請データが再利用できなくなりましたが、心機一転、あらたな気持ちでオンライン申請に挑むことにしています。

 

 

弊所の業務で依頼が多いのは、相続・遺産承継・民事信託や後見ですが、最近話題になっている自筆証書遺言につき珍しいケースがありましたので、その紹介です。

 

私が後見監督人として自筆証書遺言を後見人から預かり、保管者となった関係で、自筆証書遺言の検認手続きを家裁に申し立てました。

 

すると、相続人ではない親戚の方から、家裁の事件番号を教えて欲しいという問い合わせがありました。

というのも、自分はその遺言で財産をもらうことになっているので、権利があるということでした。

 

その親戚の方は、受遺者(遺言による財産の受取人)になっているから自分も権利があるということのようですが、そもそも検認手続きでは、遺言者の相続人の立ち合いのもとでの遺言者の遺言の確認手続のため、たとえ、受遺者でも相続人でないと検認手続きには出席はできないです。

ちなみに、検認後は、家裁から受遺者の方には遺言書の検認済みの通知はなされますが、内容までは知らされないです。

 

親戚の方の話を聞くと、生前、遺言者に遺言を書いてもらいその下書きを持っている、しかも印鑑を押印した遺言書のコピーが手元にあるというものでした。

しかし、私が家裁へ検認のために提出した遺言書は、その遺言書とは異なり、その方には財産を遺贈する内容は書かれていないもので、日付もその後に記載されたものでした。

つまり、遺言書は、その後、書き換えられていたことになります。

この場合は、死亡日に近い、書き換えた遺言書が優先しますので、家裁へ検認申立をした遺言書が優先です。

 

その後、遺言書を預かっていた後見人に確認したところ、近くに住む親せきということで、当初は、財産を渡す内容の遺言を書いたが、その後、自分の財産なので自分がその内容を決めたいと気が変わり、今までの御礼としてその親戚の方を保険金の一部の受取人には指定したが、相続財産は全く与えない内容に変更したということでした。

 

親戚の方は、私が家裁へ提出した遺言書は、認知症になってから書かれたものだから無効という主張もしていましたが、そもそも認知症となる2年前に記載された遺言のため、遺言能力は問題ないです。

 

仮に、遺言が無効となったとしても親戚に渡した遺言書はコピーのため(原本は破棄)、そちらが有効になることはないので、いずれにせよ親戚というだけでは、相続財産を受け取れないことになります。

 

以上から、なぜ私が遺言書を保管したのかをご理解いただけたと思います。

このようなケースで後見人である相続人の方が遺言書を保管し、検認申立をしていたら、親戚の方から詰問されるなど、かなり嫌な思いをすることが予想されたからです。

今回、防波堤のような役割もできたことで、安堵している次第です。

 

 

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