全7回が終わった。ホント、面白かった。
主人公は普通のOL実は特撮好き。若い女性、それも普通のOLが実は特撮好き、と言うのがミソ。自分の趣味を隠そうとして、いろいろ工夫・細工するところがいじらしい。なるほど、「若い女性」だからこその苦労がよくわかる。別に法に触れるような悪事を隠しているわけでもないのに、まるで麻薬の売人のようなカモフラージュをしているのが、見ていて気の毒になってくる。僕のように職場でも「変わった人」で通っていると、宝塚好きだろうが、特撮好きだろうが、なにもそんな事は必要ないのに。ただ、僕にも経験が無い事はない。以前仮面ライダーの劇場版映画を映画館で見たことがある。館内は子供連ればかりで、肩身の狭い思いをした。その時の映画は、仮面ライダーオーズが暴れん坊将軍と共演するというもの。いくら同じ東映でもそれはないだろう、と言いたい設定だが、結構おもしろく見せていた。
この番組のおもしろいところは、主役の若いOL中村叶の話と、彼女が夢中になっている特撮番組が平行して出てくるところ。時には中村叶の話のところに戦隊ヒーローが出てくるところもあり、現実とファンタジーが融合した感じになっている。
最終回、お母さんに特撮を禁止され「普通の女子学生」として学生生活を送っていた叶ちゃんが卒業の時、レンタルビデオ屋さんの店主に特撮番組「エマージェイソン」最終回のVHSビデオを貰う。その店主のおじいさんが言う、「(なにかあって特撮ものが)嫌いになったのかな。好きなものはなくならないよ。」。叶ちゃんは、部室でそのビデオを見るのだけど、それが結構感動的なのだ。そう、特撮ものって最初の方は脳天気なのだけど、終わりに近づくにつれてドラマとして見応えが出てくるのだ。この「エマージェイソン」では、「人間の記憶はバグや間違いがある不完全なものだ。でも、データは消したらおしまいだが、記憶はいつでも思い出せる」。
僕もこういう感動的なシーンは好きだけど、「感動」は普通のドラマでも得られる。僕が好きなのはぶっとんだシーン・エピソードなのだ。たとえば、つい先月終わったばかりの「ルパ・パト」、クリスマスに鮭のバケモノが出てきて、「クリスマスにはチキンを食うな、鮭を食え」と叫んで、店頭からチキンを奪い、代わりに鮭の切り身をおいていく。この回はホントに大笑いした。
改めて感じたのはスーツアクター、すなわち着ぐるみを着て演技している役者さんの演技力。彼らは台詞をしゃべることもなく、顔の表情も禁じられ、身体全体の動きのみで芝居をしている。その表現力のすごみを改めて感じた。
最後はお母さんと叶ちゃんの対決となる。お母さんは娘を普通の娘にして幸せになってほしいのだ。娘に可愛いものを与え、普通の女の子のように赤いランドセルを背負わせようとする。今は違うみたいだけど、ランドセルの色は女の子は赤、男の子は黒って決まっていた。でも、叶ちゃんは違う。これはちょっと難しい問題だ。おかあさんにそういうものを理解しろ、と言う方が無理なのかも。お互いの好み・嗜好を理解するのは難しい。ではどうするか。見て見ぬふりをするのが一番いいのではないか。お母さんが叶ちゃんの趣味を黙認してくれたらそれでいいじゃないかと思う。お母さんが、わたしの見てないところで何をするのもあなたの自由、と言う態度をとってくれたらそれでいいと思う。
「ねほりんぱほりん」と言う番組で児童養護施設出身の人が出ていた。彼が大人になってから高校時代の友人と会った時、おまえが児童養護施設から来ている事は知っていた、でもそのことには触れない事にしようと申し合わせていたと聞いた。それが日本的な優しさなのだ。
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