クラスター対策班を牽引する東北大学の押谷仁教授は、こうした「さかのぼり接触者調査」は台湾でも実施されているケースが確認されているが、その他の多くの国では行われていないとしている。
諸外国では「前向き接触者調査」だけが行われるケースが多い中で、なぜ日本では合わせて「さかのぼり接触者調査」が行われてきたのだろうか。
背景には諸外国ではウイルスの「封じ込めをそもそも目指している」ことがあるのではないかと押谷教授は指摘した。
生きた結核対策の経験
「前向き接触者調査」はウイルスの封じ込めを目指す場合に実施されるクラスター対策の基本だ。SARSやエボラ出血熱の感染拡大防止を行う際も、この「前向き接触者調査」が行われてきた歴史がある。
だが、新型コロナウイルスの封じ込めは難しいことは日本国内では当初から指摘されていた。押谷教授もこれまで、何度もウイルスを完全に封じ込めることは「不可能だ」と発信している。
封じ込めを目指す「前向き接触者調査」だけを行うと、「どうしても水面下での感染拡大を見逃すことが起こりうる」。しかし、日本の保健所では最初の段階から感染者の濃厚接触者の調査と合わせて感染源の調査が行われてきたことが幸いした。
押谷教授は「なぜ日本で感染源調査を行うことができたのか、これから精査していく」と説明した。
その上で「日本では結核が各地で起きている。結核の感染が判明した場合は、感染源を見つける作業を日常的に行っています。もしかすると、こうしたことが要因として考えられるのでは」と話した。
「第三波」に備え、検査体制、医療体制のさらなる強化を