A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ完全コレクション#14】メジャーマイナー混然一体のC~Chicago/Chocolate Watch Band/Circus Maximus/The City

2020年08月08日 01時40分16秒 | 素晴らしき変態音楽


便宜上「B級サイケ」と呼んでいるが、基本的には60年代の社会状況の中から登場したムーヴメント映す鏡として、この時代のロック全般への興味は尽きることがない。路線を変更して大ヒットを飛ばしたバンドや、ソロに転向して成功を収めたアーティストもいれば、短期間で解散した後音楽シーンの第一線に戻らないまま消えていったミュージシャンもいる。そのすべてがこの時代にしかなしえない「輝き」を放った証拠としてのレコードには、時代を超えたパワーが漲っている。一枚一枚聴くことで、人間の表現力の無限の可能性に触れることが出来るのである。

●Chicago Transit Authority / Chicago Transit Authority

1969 / JP reissue 1977: CBS/Sony ‎– 25AP 614-5 / 1986.5.18 渋谷Disk Union 2 ¥1,200

1967年にシカゴで結成。はじめはThe Big Thingを名乗っていたが、68年にChicago Transit Authority(シカゴ交通局)に変えた。メンバーはTerry Kath (g,vo), Robert Lamm (key,vo), Peter Cetera (b,vo), Walter Parazaider (sax), Lee Loughnane (tp), James Pankow (tb), Danny Seraphine (ds)。ホーンを取り入れたブラス・ロックの代表格。70年代後半からAOR路線でヒットを連発するシカゴだが、デビュー当時は政治的な歌と変拍子を取り入れたシンフォニックなサウンドで、西海岸のプログレッシヴなロック・シーンを象徴する存在だった。スリリングなラテンロックC-3 I'm A Manや暴動事件のシュプレヒコールを取り入れたD-2 Someday (August 29,1968)もいいが、なんといってもC-1 Free Form Guitarはロックにおける世界最初のノイズギターソロと言えるかもしれない。

Listen (2002 Remaster)



●The Chocolate Watch Band ‎/ Forty Four

1984 / UK comp: Big Beat Records ‎– WIKA 25 / 1986.12.19 吉祥寺レコファン ¥1,150 

1965年カリフォルニア州サンホセで結成されたガレージ・バンド。ストーンズやヤードバーズなどブリティッシュ・ビートに影響を受けたR&B~サイケサウンドは文句なしにカッコよく、The Standels、The Seeds, 13th Floor Elevatorsなどと並ぶ、アメリカン・ガレージ・サイケの代表格である。初期メンバーは、David Aguilar (vo), Gary Andrijasevich (ds), Bill Flores (b), Mark Loomis (g), Sean Tolby (g)。彼ら名義の3枚のアルバムにはメンバーとは無関係のスタジオ・ミュージシャンによる楽曲が多数収録されている。それゆえ、メンバーによる演奏をまとめたベスト盤が重宝する。80年代以降様々なレーベルからベスト盤が出ているが、これはイギリス編集のベスト盤。見開きジャケットの内側に写真や詳細なバイオが掲載されていて嬉しい。

The Chocolate Watch Band "Don't Need Your Lovin'"



●The Chocolate Watch Band / The Inner Mystique

1968 / Australia reissue 1981: Raven Records ‎– RVLP-1001 / 1985.11.18 お茶の水Second Hands ¥1,000

彼らの2ndアルバム。『内面の神秘』というアルバム・タイトルに相応しく、シタール、フルート、コーラス、ホーン・セクションによる疑似インド音楽A-1 Voyage of the TriesteをはじめとするA面にはメンバーは全く参加していない。ガレージ・ロック・ナンバー中心のB面も2曲でヴォ―カルが差し替えられているという。厳密にはチョコレート・ウォッチ・バンドの本当の作品ではないかもしれないが、インド風味の濃い内容は、60年代サイケの目指した世界を描き出した傑作と言えるのではないだろうか。アシッド・トリップの先にあるはずの風景が垣間見える。

The Chocolate Watchband - 01 - Voyage of the trieste



●Circus Maximus / Circus Maximus

1967 / US: Vanguard ‎– VSD-79260 / 1986.1.24 下北沢 ¥1,800

1967年ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで結成されたフォークロックバンド。元はLost Sea Dreamersを名乗っていたが、イニシャルのL.S.D.がドラッグを想像させるとしてレコード会社から変更を求められサーカス・マクシマスに変えた。メンバーは、Jerry Jeff Walker (g,vo), Bob Bruno (g, key,vo), David Scherstrom (ds), Gary White (b), Peter Troutner (vo, tambourine)。67年の1stアルバムは、The Byrds『5th Dimension』に影響を受けたフォークロックだが、もっとワイルドなガレージ風味が魅力。狂ったように掻き毟りギターソロが暴走するA-1 Travelin' Aroundに度肝を抜かれる。B-4 Short-Haired Fatherもガレージフォーク。ジャズっぽいアシッドフォークB-5 Windがラジオ・ヒットした。

Circus Maximus - Travellin' Around



●Circus Maximus / Neverland Revisited

1968 / US: Vanguard ‎– VSD-79274 / 1991.6.21 下北沢Flash Disc Ranch ¥2,480

68年の2ndアルバムも同じ路線だが、ボブ・ブルーノのサイケ/ジャズ志向とジェリー・ジェフ・ウォーカーのフォーク志向が対立するようになった。A-1 Hello Baby、A-2 How's Your Sky, Straight Guy Spyといったガレージっぽいブルーノの曲のほうが筆者はお気に入り。両者の志向の違いが原因で68年夏に解散。ウォーカーはソロに転向しカントリー・シンガーとして成功を収める。ブルーノはジャズ・ミュージシャンとして活動し、フリージャズのサック奏者Noah Howard『Live At The Village Vanguard』(75)にピアニストとして参加した。ベースのゲイリー・ホワイトはリンダ・ロンシュタットのバックで活動。あまり高い評価をされていないが、1stアルバムは筆者のB級サイケ・ベスト10に入る名作だと思う。

Circus Maximus - Hello Baby



●The City ‎/ Now That Everything's Been Said

1968 / US: Ode Records – Z12 44 012 / 1991.6.21 下北沢Flash Disc Ranch ¥1,480

Carole King (vo,p) , Charles Larkey (b), Danny Kortchmar (g,vo)からなるフォーク・トリオ。ドラムにJim Gordonが参加。キャロル・キングのソロ・デビュー前のユニットとして高い人気を誇るが、個人的にはダニー・コーチマーとチャールズ・ラーキーがThe Fugsのバンド・メンバーだったことの方が嬉しい。「60年代フォーク・ムーヴメント」と次のフェーズである「シンガーソングライター」時代を繋ぐ作品であり、サイケではないが良質なアメリカン・ミュージックが聴ける好盤である。キャロル・キングのソロB-2 Ladyがいい。今回調べていて、このモノクロ・ジャケットは廃盤で入手が難しかったころに出回った海賊盤であることを知った。

The City - Snow Queen



●Clear Light / Black Roses

1967 / UK reissue 1987: Edsel Records ‎– ED 245 / 1988.3.26 渋谷Tower Records ¥1,590

1966年ロサンゼルスでThe Brain Tranとして結成。LSDに関連したClear Lightに名前を変えてエレクトラと契約し唯一のアルバムをリリース。メンバーはCliff De Young (vo), Bob Seal (g,vo), Douglas Lubahn (b), Ralph Schuckett (key), Dallas Taylor (ds), Michael Ney (ds)。ツイン・ドラムとファズギターとグルーヴ・オルガンが最高。特にA面は全曲捨て曲なし。Quicksilver Messenger ServiceやGrateful Dead、Country Joe & The FIshなどシスコ・サイケに負けない最強のウェストコースト・サイケだと思うが、個性的なリーダーがいなかったためアルバム一枚で消えたのが残念。解散間際にThe City結成前のDanny Kortchmarが参加したというのも何かの縁。
http://brunoceriotti.weebly.com/clear-light.html#

CLEAR LIGHT - BLACK ROSES



●The Clique / The Clique

1969 / US: White Whale ‎– WW7126 / 1991.6.5 新宿Disk Union ¥2,390

60年代半ばテキサス州ヒューストンで結成されたサンシャインポップ・バンド。バンド名はthe Roustabouts~the Sandpipersと変遷して67年にザ・クリークとなる。テキサスで何枚かのシングルをリリース後、西海岸へ移りWhite Whaleから唯一のアルバムをリリース。メンバーはRandy Shaw (vo), Tommy Pena (b), Sid Templeton (g,vo), Jerry Cope (ds), Oscar Houchins (key, vo). David Dunham (sax,vo)。 上品なソフトロックになっていて、テキサス時代のアシッド色は消えている。A-4 Hallelujahが印象的。B-3 Supermanは86年にR.E.M.がカヴァーした。

The Clique - Superman



●Cleanliness And Godliness Skiffle Band ‎/ Greatest Hits

1968 / US: Vanguard ‎– VSD 79285 / 1985.11.8 お茶の水Disk Union ¥1,900

1964,5年にサンフランシスコで活動していた大所帯のグループInstant Action Jug Bandのメンバーを中心に66年末に結成されたジャグ・バンド。メンバーは、Annie Johnston (g,mandolin,vo), Hank Bradley (fiddle,mandolin,hca,vo), Phil Marsh (v,g), Brian Voorhees (hca,g,vo), Richard Sauders (b)。アコースティックな楽器編成で歌い騒ぐ陽気なサウンド。爆竹を鳴らしてどんちゃん騒ぎのA-4 Chinese New Year Waltz、俺たちはサイケデリック・ヒッピーと宣言するA-6 Altitudinous Youthful Deviant Number 468 (Do It Up)といった能天気なナンバーに交じって、しっとりしたジャズ・バラードA-5 Lotus Blossom、フルートが美しいB-3 Carol's Songがあるので飽きが来ない。これ一作で終わってしまったかに見えたが。。。

Lotus Blossom



●The Masked Marauders / The Masked Marauders

1969 / US: Deity ‎– RS 6378 / 1993.11.10 Seattle $12.00

ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、ジョージ・ハリスン、ジョン・レノン、ポール・マッカートニーなど大物ミュージシャンが匿名でレコーデングしたという噂で物議を醸した企画アルバム。確かにそれらしいヴォーカルや曲調だが、よく聴けば偽物だと分かる。レコーディングに参加したのはクリアリネス&ゴッドリネス・スキッフル・バンドだと言われている。自己の作品とはまったく異なる電気的なロック・サウンドだが、悪ノリしすぎの物真似ブリや、ふざけまくってやりすぎの演奏には、サイケデリック・ヒッピーの信念が宿っている。

I cant get no nookie -The Masked Marauders

【私のB級サイケ蒐集癖】第22夜:デマと愛情〜清潔で神々しい仮面の略奪者『クリーンリネス&ゴッドリネス・スキッフル・バンド』『マスクト・マローダーズ』

様々な
形があるよ
B級サイケ

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