生活困窮者自立支援事業や日常生活自立支援事業の現場で思っていたこと
福祉の現場でいつも感じていたことがあります。
私はいわゆる「貧困状態」になっている人や、その恐れがある人を、香美市社協にて、家計相談で担当しています。
生活困窮者自立支援事業はもちろんですが、日常生活自立支援事業においても、家計管理が難しくなる人はいます。
とくに日常生活自立支援事業の場合は、社協が通帳やハンコを管理していて、家計において「大けが」をしないように管理できているのですが、この国の制度は、成年後見制度とは異なり、一定の「裁量」を、本人に与えているとも言えます。
生活支援員さんと、ご本人が話し合いながら(相談しながら)、どのようにお金を使うかを決めることはできるのです。
それこそが「自立」を支えていると言えるのですが、時々、それにも関わらず、家計管理が上手くいかなることがあります。
そして、そのケースに該当しやすいのが「軽度の知的障害がある人」や「判断能力がやや弱いグレーゾーンの人」なんです。
せっかく社協が通帳を預かっても、携帯代の浪費や、生活費を上手に使えないと、追加の引き出しや、予想を超える口座引き落としが起こってしまい、この制度の「良さ」が逆にデメリットになるのです。
また、生活困窮の現場でも、家計管理が上手くいかない、軽度知的障害の人やグレーゾーンの人は少なくありません。
そんなケースを担当するたびに思うことがあります。
それは
「もっと早くに、金銭管理能力や、生活能力を一定以上身に着けておけば、こうなる可能性も少なくなったのでは?」
という複雑な心境なのです。
学校現場の人に、どうしても話したかったこと
そんな悶々とした日々を送っていた時、地元の教育委員会から今回の研修会の話があった時は、本当にうれしく思いました。
私の次女も地元の小学校の支援学級に在籍していますから、「親として嬉しい」という感情もありましたが、それ以上に「成人になった障害児を支援している支援者」として、とてもうれしく思いました。
今日(2018年2月20日)、教育支援センターにて、約30人の特別支援教育に携わる先生や支援者の皆さんに、私がこうして感じてきた想いを話し、「今からできる支援を考えて欲しい」と訴えました。
皆さん熱心に聞いて下さり、心から感謝申し上げます。
先生方の目の前にいる「障害児」は、10年後、20年後、先生方が想像しないような困難な状況に向き合ってしまっているかもしれません。
それをイメージしていただき、そうならないように「今からできることを可能な限り」、彼らに伝えて、学びの機会を提供していただきたく思います。
それこそが、障害児が将来遭遇するかもしれない「経済的リスク」を回避できる可能性に繋がるかもしれないのです。
家庭環境が複雑な生徒もいるでしょう。
お父さんお母さんが、その子の障害特性に無理解の世帯もあるでしょう。
だからこそ、「学校」という聖域で、誰にも邪魔されずに、精一杯学べる環境を、障害児に提供してあげて欲しいと思います。
そんなことを60分間で、お話ししてきました。
日本中の「特別支援教育」に携わる先生へ
私は今まで、障害者の親や、支援者、当事者に、お金の話やライフプランの話、そして親なき後の話をしてきました。
それはそれで意義深いもので、もちろん、今後も続けてまいります。
そして今回の経験から、教育の現場でもお話しすべきだと思うに至りました。
日本各地にお伺いして「特別支援教育に携わる先生方に、障害児の未来をイメージしてもらうことで、今の支援を考える」という内容の研修会を行えればと思います。
ご興味のある方は、こちらのHPからお申込みください。
ではまた、お会いしましょう!