江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

リニューアルされた広島平和記念資料館を訪れて(1)

2020-02-19 | 随想
 所用で広島に出かけた折に、2019年4月にニューアルされた広島平和記念資料館に行ってきました。

今回のリニューアルでは、展示内容や展示方法が大幅に見直され、原爆の悲惨さを若い世代にわかりやすく正確に伝えられるよう、実物の資料の展示を重視する方針にもとづいてリニューアルされたとのこと。

何がどのように変わり、変わったことで、何がもたらされたのか?実際に見て実感してみようと思い、資料館を訪れました。
 


順路にそって東館から見学。
東館は<核兵器の危険性>をテーマに「原子力の発見と第二次世界大戦」から、現代までの核兵器開発の歴史などが展示されています。
 
 

東館から渡り廊下をわたって本館へ。
かつての本館では、入ってすぐの場所に重い火傷を負い前方に突き出した両腕から皮膚を垂れ下げた「被爆再現人形」が展示されていました。
原爆の炎に追われ、がれきの中をさまよう被爆した人々の姿を再現したものでした。
 


今回のリニューアルで「被曝再現人形」は撤去されました。
「被害はこんなものじゃなかった」という被爆者の批判や「怖い」と訴える来館者の声にも耳を傾けたといいます。

非科学的な「被爆再現人形」やジオラマで間違ったイメージが独り歩きしないように撤去したとも言われています。
 
果たしてどうなのでしょう。
答えを見つけるために展示をよく見てみようと思います。
 

本館に入ると、被爆の前の広島市のパノラマ写真とともにプロジェクションマッピングを活用した「ホワイトパノラマ」が続きます。
映像が次々に変わっていき、映像酔いしそうです。
ご注意を!
 


つぎに3つのゾーン「導入展示」「8月6日のヒロシマ」「被曝者」の展示が続きます。
 
「8月6日の惨状」のテーマでは、爆風で曲がった鉄骨や煙突が並びます。
建物疎開に動員され、被爆死した子どもたちが着ていた衣服などが写真とともに展示されています。
 
なかには、原型をとどめず、ボロボロの布きれになったものもあります。
衣服を身にまとっていた子どもたちの生身の姿を想像すると胸がかきむしられるような思いに襲われます。
原爆の放射線による影響を生々しく伝える資料が数多く展示されています。
 
 
被爆死した3歳の男の子、伸ちゃんが乗っていた焼け焦げた三輪車や中身が黒焦げになった弁当箱などの遺品とともに、亡くなった方たち、一人ひとりの写真や人柄にまつわるエピソードが添えられています。
そこから原爆によって一瞬で奪われてしまった、輝いていた生命が、日々の暮らしが浮かび上がってきます。
 
 
印象的だったのは「被曝者」のゾーンの「N家の崩壊」の展示。
被爆した父親が「原爆ぶらぶら病」と、周囲の理解をえられず、病院にも見捨てられ、困窮のなか、原爆病でついに亡くなるまでのNさん一家の記録。
体の形のギブスを持たされ、強制的に退院させられた父の絶望の表情。
経済的に追い込まれ、家族も父親を理解し、支えることができなかった…。
あまりの理不尽さにたちすくんでしまいました。

(つづく)

<K>

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