「太陽の家」　★★★～感慨深い優しさ溢れる長渕剛

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2020』の掲載にあたって」

感慨深い優しさ溢れる長渕剛 ★★★

（2020年／日本／123分） 【　監督　】 権野元【　出演　】

長渕剛
飯島直子
山口まゆ
潤浩
広末涼子
瑛太

柄本明

【あらすじ】

　昔気質で職人肌の大工の棟梁・川崎信吾は、人情に厚く弟子にも慕われ、妻・美沙希と年頃の娘・柑奈と幸せな生活を送っていた。

　ある日、信吾は仕事現場で保険会社の営業ウーマン・池田芽衣と知り合う。彼女は龍生という幼い息子を持つシングルマザーだった。人情に厚い信吾は、龍生と交流を深めようとする。最初は懐かない龍生だったが、次第に父子のように心を開いていく。

　そんな中、芽衣が命が危ない病に倒れる。龍生は信吾の家でしばらく預かることになるが、それをきっかけに娘や一番弟子である高史との間に溝ができはじめる。

　さらに、龍生の父と名乗る男が現れ、信吾の気持ちは揺らぐ―

【コメント】

　9月ってのは会社でいうと半期の終わりということで、下半期に向けた仕事でバタバタな時期。稟議書ばっかり作って残業続きだった僕の9月もやっとこさ一山越え、行きつけのTSUTAYAで新作を物色していたところ目に留まったのが本作。今年初めに公開された、ご存じ長渕剛の20年振りの映画であります。

　今の若者たちは知らないかもしれませんが、僕が高校生だった当時、長渕剛はTVドラマ「とんぼ」でカリスマ的人気を誇っていたミュージシャンで、未だ熱狂的ファンも多くいる芸能人なんです。そのカリスマ故、快く思っていない視聴者も少なからずいるわけで、僕は特段のファンではありませんが、TVドラマ「家族ゲーム」の長渕剛が大好きだったし、やっぱりそんな人気を誇っていた記憶もあるので、本作を手に取ってみた次第です。

　うん、ハートフル。悪くなかったです。「とんぼ」時代の尖りまくっていた長渕剛を知っている僕からすればずいぶんと丸くなったな～と、とても感慨深く、優しさに満ち溢れた長渕剛が観れてよかったな～と感じましたね。

　愛情、人情、家族、絆、幸せ、長渕剛は音楽でもそんな内容の歌が多いかと思いますが、本作もそんなテーマを盛り込んだ非常にハートフルな内容。尖っていた時代のTVドラマ「とんぼ」「しゃぼん玉」「RUN」なんかは、カリスマであると同時に優しさが見えてこない恐怖しかない存在、そんな時代を知っているだけに、不器用ながらも優しく包み込む長渕剛の姿はとてもほっこりするんです。もっとも、尖る前のTVドラマ「家族ゲーム」や「親子ゲーム」、映画の『男はつらいよ幸せの青い鳥』なんかのようなハートフルで優しい長渕剛時代もあったので元に戻ったといえばそうなのかもしれませんが。

　内容的には実に昭和っぽいドラマではあるものの、ムダにムキムキの筋肉を見せたり筋トレする場面が多く、ある意味長渕節が炸裂している映画でもありますが、丸くなってもさすがの存在感を見せつけていたと思います。