ノストラダムス 9-14 その3 | 浅利幸彦の預言解読講座

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預言書(主に聖書とノストラダムス)を解読して未来を明らかにしていきます。
未来において艱難が起きますが、その前に天使軍団(天使的未来人)による義人救出=携挙、が行われる、と預言されています。

ノストラダムスの9-14の詩について考察している。


解説(解釈)の前に訳について考えてみよう。
「その1」でこう書いた。
>この詩に関しては、他の人の訳とはだいぶ違っているようで、「初めて読んだ詩(訳)」のように感じた。

 

「ノストラダムスの解釈は難しい」
とよく言われるが、まず、詩の訳(日本語訳)自体からしていろいろ問題がある。
完璧なフランス語ができる人ならともかく、フランス語ができない日本人からしたら、まず、各詩を日本語訳してもらって、その日本語訳で解釈をしなければならないのだが、その日本語訳自体が研究家によってかなり違うのである。


私は今までこの9-14の詩について意識したことがなかった。
全然記憶にない詩だった。
「ノストラダムスの大事典」の訳によって初めてこの詩の真意に気付いたのだった。
ということは、今まで読んできた訳では、「よく解らない詩だなあ」
と思って見過ごしてきたからだ、となる。
それで、解釈を始める前に、他の人の訳を見てみよう。

まず、たま出版の大乗和子氏の訳。

 

平らなところに染物台が置かれ
酒と蜜と油が満たされ かまどをつくり
その中に無実な人がとらえられて 悪人とよばれ
七人はボルドーの法でよびだされる

 

う~ん、この訳では全然解らない。
スルーしてきたのも無理は無い。
「ノストラダムスの大事典」では大乗氏の訳についてこう解説している。

 

>大乗訳について。
  1行目「平らなところに染物台が置かれ」*4については、chauderons (chaudrons) が 「鍋」 の意味であることからすれば、「台」は不適切であろう。infecteur を「染物屋」 と理解することは可能な読み。
  2行目「酒と蜜と油が満たされ かまどをつくり」 は、前半のような意訳はピーター・ラメジャラーらにも見られるものだが、後半は前置詞 sur を無視して訳したとしか思えない。
  4行目「七人はボルドーの法でよびだされる」 は元になったヘンリー・C・ロバーツの英訳をほとんどそのまま転訳したものである。canonは規律の意味もあるから、「ボルドーの法」はまだよいとしても、extaint (éteint, 消える) がどうして 「よびだされる」 になるのか不明だし、fumも訳に反映されていない。


https://www42.atwiki.jp/nostradamus/pages/1909.html

 

次に山根和郎氏の訳。

 

染物屋の大釜が平らな場所に置かれ
ブドウ酒 蜂蜜 油脂 そしてかまどの上に建てられる
彼らは溺れ死ぬだろう 何一つ悪いことをいわず しないのに
ボルノーの七人 蛇は大砲で消される

(山根和郎 訳)

 

う~ん、大乗氏の訳になんとなく近いが、この訳でもピンとこないからスルーしてきたのも無理はない。
「ノストラダムスの大事典」ではこう解説している。

 

>山根訳について。
  1行目 「染物屋の大釜が平らな場所に置かれ」*5は、前述の理由によって可能な読み方。
  2行目 「ブドウ酒 蜂蜜 油脂 そしてかまどの上に建てられる」 は、直訳としてはむしろ正しい。なお、bastir (bâtir) は確かに現在は 「建てる」 の意味が主だが、中期フランス語ではより一般的な 「創出する」(créer)、「加工する」(façonner) などの意味もあった*6。当「大事典」の読み方はそうした語義に基づいている。
  3行目 「彼らは溺れ死ぬだろう 何一つ悪いことをいわず しないのに」 は後半が疑問。 mal dit と mal facteurs では語形も単複も一致しておらず、並列的と読むには苦しいのではないだろうか。
  4行目 「ボルノーの七人 蛇は大砲で消される」は、元になったエリカ・チータムの英訳の忠実な転訳だが、snake はおそらく smoke の誤植ではないかとも思える。他方で、のちの最終改訂版でも snake になっていることから、チータムがエドガー・レオニあたりの英訳を見間違えて、そのまま気付かずじまいになっていた可能性も否定できない。

 

ここでもう一度「ノストラダムスの大事典」の訳を読んでみよう。

 

伝染させる者たちの大鍋が水平に置かれる。
ブドウ酒と蜂蜜と油、そして炉で作られる物とが、
無害なのに、害悪を生み出すものと言われ、沈められるだろう。
七番目の煙は屋根板の煙突にて消える。

 

大乗氏と山根氏の訳とは全然違う。
特に、1,3,4行目は別物と言っていいだろう。
まあ、「ノストラダムスの大事典」の筆者は大変丁寧に考察して訳しているので、この訳が正しいのだろう。
この訳に出会わなければ、私もこの詩の真意に気付かづに見過ごしたまま終わっていただろう。
その点については感謝している。


昨日、解釈のヒントを出したのだが、
4行目の「煙」を「狼煙(のろし)」と考えてはどうか?
の部分だが、狼煙というのは、
「電気通信が無かった時代において、見張りが敵の襲来を見つけた場合にそれをいち早く本部に知らせる手段」
だった。


>七番目の煙は屋根板の煙突にて消える。
だから、これを「狼煙が上がらなかった」と考えてはどうか?
という意味だったのだが。
そうだとしたら、城内の市民はどうかな?どうなるのかな?
そう考えて1行目に進んだ方がスムースに繋がると思う。

 

それと2行目
>ブドウ酒と蜂蜜と油、そして炉で作られる物とが、
の原典をよく見てみると、


Vin, miel & huyle & bastis sur fourneauxs


となっている。
「&」というのは重要な意味をもっている、
とは何度も書いてきた。
ブドウ酒、蜂蜜、油、炉で作られる物
というのは単なる並列ではないんだよね。
ノストラダムスはそこまで考えて原典を書いたと思うのだが。

ま、それは解説の時にはっきりと書こう。