今回は、歯肉(歯茎)の変色について書きます。

歯を削ってクラウン(被せ物)を被せた場合、クラウンと歯肉の際(境目)が黒くなることがあります。これを、ブラック・マージンと呼んでいます。マージンとは、被せ物の縁(ヘリ)のことを指します。

この原因は3つあります。
①コア(土台)やクラウン(被せ物)の金属が溶出して、歯肉に染み込んだもの(メタル・タトゥーといいます)
②歯肉(歯茎)が退縮(下がること)し、黒く変色した歯根(歯の根っこ)が見える
③クラウンの縁(ヘリ)が、光の反射で黒く見える
 



メタル・タトゥーは、歯肉の切除をしないと、歯肉の色が改善しません。稀に、歯槽骨まで金属の色素が沈着している場合があります。したがって、前歯に銀合金のコア(土台)や安価な金属を使った補綴物(クラウン、被せ物)はお勧めしません。

また、クラウン(被せ物)の内部に金属の裏打ちがあるものは、光の乱反射により、マージン部の歯肉が黒く見えやすい傾向があります。これを避けるには、内部に金属の裏打ちの無いオールセラミック・クラウンが適しています。

問題は、歯根そのものの変色です。例えクラウンをぴったりに作っても、歯肉は経年的(年齢とともに)に、少しずつではありますが、痩せて退縮していきます。このような場合には、オールセラミック・クラウンで被せたとしても、将来的にクラウンの縁が黒く見えてくることは避けられません。

歯根の変色は、歯髄(歯の神経)を取った歯や、銀合金のコア(土台)などで起こりやすくなります。したがって、歯の神経を取らずに済むようにすることが、ブラック・マージンを防ぐためには大切です。

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