当ブログをご訪問いただき、ありがとうございます。

今回は、インプラントの老化について書きます。

無機質のチタンであるインプラントが老化?とお思いの方が多いと思います。

インプラントがメーカーで製造され、私たち歯科医師の手元に届くまでには、どんなに早くても数週間はかかるかと思われます。名のある海外のインプラントメーカーの製品であれば尚更のことです。

これまで、インプラントは時間が経過しても品質は一定だと考えられてきました。

しかし、UCLA歯学部終身教授である小川隆広先生の率いる研究チームが、インプラントのエージング(老化)について研究し、アンチエージングを行う技術の開発を行い、近年その技術が使われるようになってきました。

インプラントと骨が、どれだけの面積で接触しているかを表現する場合、接触率という言葉を使います。

通常、インプラントメーカーが製造した新鮮?なインプラントの骨接触率は、おおよそ90%くらいと言われています。

しかし、これが4週間経つと、なんと接触率は60%くらいまで落ち、製造直後と同じ骨結合の強度を得るのに2倍に期間を要することが示されたのです。
(この状態でも、インプラントと骨は強固に結合し、臨床上全く問題は生じません)

これまで、インプラントメーカーからもこのような事実は知らされていませんでした。

しかし、ある波長の紫外線をエイジングしたインプラントに照射することで、骨との接触率をなんと近似100%にまで引き上げることが出来る技術が、小川先生のチームによって開発されたのです。

この技術を、「光機能化」と呼んでいます。

インプラントは生き物だったのですね(笑)

この光機能化を行うことで、インプラントと骨との結合スピードは4倍速くなると言われており、インプラントと骨とがさらに強固に結合することになります。

この光機能化が凄いのは、新品(新鮮な)のインプラントよりも、さらに性能が向上するという点です。


インプラントと骨との結合強度は、現在のレベルでも臨床上全く問題のないレベルにあります。

しかし、成功率が100%でないインプラント治療を、限りなく100%に近づけたいという小川先生の強い思いが、この技術には詰まっているのでしょう。

もちろん、インプラント治療期間の短縮が期待できますし、短いインプラントを用いることができれば、外科的侵襲を軽減できる可能性があるので、患者さんにとって朗報です。

医療の技術は日進月歩、日々勉強が必要ですね。


                     ブログランキング・にほんブログ村へ
  人気ブログランキングへ                  にほんブログ村