今回は、下顎小臼歯の根管治療について書きます。

 

小臼歯は、前から数えて4番、5番目の歯で、前歯と臼歯(奥歯)のちょうど中間に存在する歯です。

 

この下顎小臼歯は、通常1本の歯根に1本の神経が入っていることが多いのですが、しばしば1本の歯根の中に2つの根管、あるいは2本の歯根を持つことが知られています。

 

その割合は、第一小臼歯(4番)で25%、第二小臼歯(5番)で5%くらいといわれています。

 

25%というのは、比較的高頻度にみられるといってよいでしょう。

 

しかしながら、実はこの下顎小臼歯の根管治療では、1本の根管しか治療されていないことがほとんどです。

 

下顎小臼歯で2根管をもつ歯は、根管が極めて細かったり、湾曲(曲がり)が強かったりするため、発見しにくく、治療器具が入りにくい特徴があります。

 

ですので、2根管性の下顎小臼歯は、高確率で治療が不十分であり、根尖病巣を生じているケースが多くみられます。

 

では、実際の治療例を提示します。

 

 

治療前レントゲン。患者さんは第二小臼歯の痛みを訴えて来院。第一小臼歯は根管治療不十分なために、第二小臼歯は歯髄壊死(しずいえし:神経が死んでしまうこと)のために、ともに根尖病巣を生じている。第一小臼歯は歯根の湾曲を認め、2根管性(根管が2本あること)が疑われた。

 

 

根管治療後レントゲン。根管治療によって痛みは完全に消失した。第一小臼歯は根管が2根管性であり、歯根の先端までピッタリと薬(白く写っている)が入っているのが分かる。

 

 

 

根管治療は、きちんと行われれば歯は長く持ちますし、そうでなければ痛みや歯茎の腫れ、歯槽骨の破壊をもたらし、さらには歯性病巣感染の原因となって全身に原因不明といわれる異常や疾患を引き起こします。

 

ご自身の歯を長く残し、また全身が健やかであるためにも、精密な根管治療は不可欠です。

 

たった1本の歯でも、健康を害することは決して大げさなことではないのです。

 

根管治療は、歯科治療の中でも非常に難しい治療であり、どこの医院でも同じ質の治療が受けられるわけではありません。

 

根管治療が必要にならないように、日ごろのメンテナンス、予防に力を入れていきましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

 

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