日欧EPAの歴史的役割について考察したく思いまして、久しぶりに投稿します。

この時に自分が何を考えていたかを残す個人的なメモに近いものですから、文の乱れについてはご容赦ください。

 

もう20年近く前になると思うのですが、小沢一郎が日米中正三角形論というのを唱えました。

アメリカに追随するのではなく日米の距離を置き、日中と同じくらいの距離感で日本独自の外交を進めていこうとするものです。

実態としては、中国とより仲良くするべきという程度で、米中の両国の影響下に入るという程度のものでしょうが、一定の支持と多くの反発がありました。

 

今回の日欧EPAは、自由貿易を守るためなどと喧伝されていますが、実態としてはG3時代(米・欧・中)の各Gと等距離で付き合っていくというものであろうかと思います。元々の日本の基本戦略は、アメリカ経済圏が世界で突出するG1の世界で、そのアメリカ経済圏の主要プレーヤーとして国際社会で生きていくというものであったかと思います。

 

TPPとは、日本が儲かるためではなくアメリカが儲かるようにするためで、成長が期待できるアジアの市場にアメリカが積極的に投資し、アメリカが高い成長率と強力な経済圏を築くための条約と考えると、TPPを妥協してでもまとめ上げようとした日本政府の行動に説明がつきます。ところが、TPPがアメリカ抜きになりましたから、このG1時代を夢想した層からアメリカ抜きでは意味がないと言われてしまった訳です。本来、この考えをする人は日欧EPAには消極的になる筈だったのですが、このG1時代の到来を期待して、時に中国の経済危機の到来を夢見れなくなる中で、この考え方の人は政府に対する影響力を失ってしまったのでしょう。

 

日欧EPAがあっさり締結され、日欧米は既に等距離の外交距離になっています。そして中国とは地形的な関係もあり、貿易額で抜きんでていますから、経済的には日本と欧州・米国よりも近い距離となっています。政治的な外交距離も最近は離れていませんから、現時点でG3と等距離になりつつある日本というのが正しい現状認識でしょう。

 

日本政府としてはG3+1(G3ほどではないが大きい存在)というような特殊な立ち位置に日本を置きたいと考えているのでしょう。

 

然しながら、G3以外に多くの国・地域が伸びてきていく中で、日本が特殊なプラスワンの位置にあり続けることができるとは正直なところ思えません。G3時代の本格的な到来とともに、米中の間で右往左往する我が国という立ち位置になってしまうことを私としては非常に高い確度で予想せざるを得ません。

 

※G3などについては下記の記事を参考にしてください。

TPPへの挑戦~第12回~