国鉄民営化とは何だったのか?鉄道省から国鉄へ | 鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blog

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福祉と公共交通の視点から、鉄道のあり方を熱く語る?
blackcat こと加藤好啓です。
現在の公共交通の問題点などを過去の歴史などと比較しながら提言していきます。
随時更新予定です。

戦前の鉄道省とはどんな組織だったのか?

国鉄の前身は鉄道省という組織で有ったと言うことはご存じの方も多いかと思いますが、実は鉄道省→国鉄となったわけではなく、結構複雑な合併と分離を行っています。

下の図を見ていただくと判るかと思いますが、鉄道省は一度郵政省(当時の名称は逓信省)を合併、その後さすがに大きすぎするために、運輸省と逓信省に再び分離(実際、運輸通信省の時代には、職員だけで80万人という巨大官庁となってしまいました。
運輸通信省の下に、現業機関として、郵便局・電電公社・国鉄が一つの組織として存在する、現在の日本郵政・NTT・JRが一つの企業として存在するという超大企業と言うことになります。

戦後は、運輸省として国鉄はその現業として存在するわけですが、マッカーサー書簡により、パブリックコーポレーションという名称の組織に変更されることになるわけです。

 

そこで、戦前の鉄道省とはどんな組織だったのか、そして、何を所掌していたのかを見ていきたいと思います。

 

鉄道省について

 

鉄道省の所掌範囲は、陸上交通全体(鉄道はもとより、自動車運送事業の監督(明治36年頃から都道府県の所掌事務であったが、昭和3年11月から鉄道省の所管)を所管しており、それ以外にも1930(昭和5)年4月に鉄道省外局として国際観光局が設置され、奈良ホテルを直営で運営していました。
現業としては、上述のホテル事業の他、バス、並びにトラック運送事業を手がけたほか、積極的に観光地開発なども行ったそうです。
以下に列記してみます。

 

  • 海水浴、登山、スキー、スケート、ハイキング、川下り、観桜、観梅、観楓、温泉めぐ り等の新しい大衆的レクリエーシヨンの紹介と普及
  • 団体割引、周遊券、往復割引、セット遊覧券、家族遊覧券等の観光旅客誘致制度の新設
  • 回遊列車、観梅列車等の特別列車の運転
  • 観光地百選、日本早回り競争等の全国宜伝キャンペーンの実施
  • JTB、旅行案内社、日本旅行倶楽部などによる観光旅客の組織化
  • 熱海、草津、水上等の沿線観光地の育成
  • 山の家、海の家による未開発観光地の開発
  • 日本観光地聯合会、日本観光協会、日本観光連盟、日本温泉協会、日本旅行文化協会、 国際観光協会など、観光業界の組織化と指導
と言った具合で、観光開発などにも力を入れていました。
もちろん、これ以外に陸上輸送全般の監督権を持っていました、なお余談ですが、航空・海運業務は実は逓信省が所管しており、これが戦時中に逓信省と鉄道省が合併する契機となりました。
 
巨大官庁、運輸通信省誕生
 
1943(昭和18)年11月、太平洋戦争拡大に伴う省庁の改編が行われ、鉄道省は、逓信省と統合し、運輸通信省が誕生しました。それまで逓信省が所管していた、海運並びに航空の監督事務も逓信省が所管でしたが統合により、運輸通信省の管轄となったほか、内務省の港湾関係、商工省の陸運機器及び倉庫関係、文部省の気象関係も統合され、運輸通信省は、鉄道と通信(当時は電話も逓信省の範疇)という二つの現業を保有する一大官庁となり、職員数は約82万人を擁する大組織でした。
郵政事業に関しては、運輸省の外局として、逓信院が設置されることになり、元々逓信省が所管していた、航空・海運業務のうち、海運行政は海運総局が、鉄道省所管の鉄道行政は、鉄道総局がそれぞれ所管することとなり、どちらかと言えば運輸省が逓信省(後の郵政省)を飲み込むような形となりました。
しかし、前述のように、82万人もの職員を擁する巨大官庁では組織として似動きも取りにくいことから、1945(昭和20)年5月には再び分裂することとなり、逓信省の所管であった航空・海運業務は運輸省に残ることとなり、逓信省は郵政事業と電気通信事業を司る現業官庁として発足することとなりました。
 
続く

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日本国有鉄道研究家・国鉄があった時代

 

 

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