国鉄民営化とは何だったのか?鉄道省から国鉄へ 第7話 マッカーサーからの指示で進められる改革  | 鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blog

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福祉と公共交通の視点から、鉄道のあり方を熱く語る?
blackcat こと加藤好啓です。
現在の公共交通の問題点などを過去の歴史などと比較しながら提言していきます。
随時更新予定です。

久々に更新させていただきます。
今回は、古書、桜木町日記を参照しながら、国鉄誕生当時の裏話などをご覧いただこうと思います。
結構この話だけでも、かなりのボリュームになりそうなので、何回かに分けて書かせていただきます。

ストをしすぎる公務員に対して、業を煮やすGHQ/SCAP

日本に進駐した 連合国軍最高司令官総司令部GHQ/SCAPは、民主化の一環でストライキを容認、むしろ組合の設立を奨励していましたが、民間労組以上にストライキなどの労働運動を行なう公務員の道議に対して、業を煮やしたマッカーサー元帥は、公務員法を速やかに制定して、スト権を剥奪することを吉田首相宛に書簡を発出します。

これは、昭和22(1947)年の2・1スト【実際には、直前のマッカーサーからの指示で中止】の影響が大きかったと思われますが、ゼネストの後も公務員によるストライキ(国鉄並びに、郵政のストライキが多かったようです)

弊サイトから引用

  • 昭和22年
    • 全逓、給料値上げを要求し、集団欠勤戦術(山猫スト)開始 8/20 
  • 昭和23年
    • 大阪中央郵便局で24時間スト実施 2/25 
    • 都電・都バスのストで国電混乱。(31日に中止) 3/27 
    • 全逓、GHQの通告により全国ストを中止 3/30
    • 全逓地域ストの中止を指令、政府・組合は予備交渉で妥結条件を検討、基本的に意見一致 4/1
    • 東京急行労組。東横・玉川・京王などの各線と都内バス、東横デパートなどで、24時間ストを決行 4/11 
    • 私鉄争議難航し波状ストに突入。東武・京成・阪神などで24時間スト 5/18
    • 国労、手当てなど要求し鶴見線で終日スト(国鉄初の全線スト。以後波状ストが続く) 6/7 
    • 私鉄争議合同交渉が不調に終わり、東京急行・京王帝都・相模鉄道の各私鉄24時間スト決行 6/18

未だ個人的には拾い切れていないのですが、少なくとも国鉄と並んで全逓もこうした争議を繰り返しており、そうした状況に業を煮やしたマッカーサーは、昭和23年7月下記のような書簡を発出します

 1)鉄道、塩、樟脳、煙草等の事業に関しては一般の公務から除外せられてもよいこと、(might well be excepted)

 2)但し此の際は特別の公企業体をつくるべきこと(In this event,however,public corporation should be estabikshed)

と書かれており、これにより、一般公務員は争議権を剥奪するが、現業公務員はその性格が異なる(公権力を持たない)ことから、国鉄・専売公社などに対しては、公共企業体として発足させると明示しているわけです。

ここでいつも疑問に思っている点が、同じ現業公務員である郵政【郵便事業を中心とした郵政3事業】が公社にならなかったと言うことなのですが、これに関しては個人的には下記のように考えています。【下記の見解は私見であることをお断りしておきます】

  • 当時の郵便に関しては、検閲なども行なわれいたこと。
  • 鉄道はアメリカでは衰退産業であり、日本でも同様であろうという考えが有った
  • 世界的に見ても、郵便事業は国営であること

と言った点がその主たる原因ではないかと推測しています。
若い頃は、国鉄と、郵政の労働運動を分断するためではないかと考えたこともありましたが、流石にそれはないのではと考えています。

 

さて、こうして現業公務員は、団体交渉権は認めるものの、ストライキ権は剥奪されることになりました。

結果的に、このスト権獲得を目指してストを行なうという、非常に矛盾した闘いを組合はしていくことになるわけですが。

ここまで見ていただいて、判るように。

スト権を自ら剥奪されるような行動をしてきたのが、全逓・国労など官公労の組合であったとという事実だけは知っておいてください。

運輸省消滅?

ここにきて、はたと困ってしまったのが運輸省でした。

運輸省は、逓信省との合併分離などを経て、分掌としては、逓信省から引き継いだ海運と、航空行政、鉄道省から引き継いだ、道路行政、並びに、観光開発などに政策部門等も運輸省の所管でしたが、なんと言っても一番大きいのは国有鉄道を有する鉄道総局でした。

そして、今回の所管では、運輸省から、鉄道総局を分離すると言うことであれば、運輸省の大半が抜けてしまうことを意味しており、政府部内でも、どうすればよいのかということで、書簡にあるように、「鉄道、塩、樟脳、煙草等の事業に関しては一般の公務から除外せられてもよい」というのであるから、公務員でなくなれば公社を作る必要はないのではないかと言う意見も合ったそうです。

その辺を、桜木町日記から引用してみたいと思います。

それで、書簡を受け取った日本政府部内でも、国鉄については色々な話が起った。その第一は、この書簡は吉田総理宛の書簡であって、しかも作るか作らないかと言うことは公務員が問題だから公務員の中から外せば別に公共企業体を作らなくてもいいじゃないかという意見であった

引用終わり 桜木町日記 から引用

さらには、役人として鉄道に入ったのに、役員でなくなるのは嫌だという意見や、是非とも新しい組織ですべきという意見もあり、 甲論乙駁したと言われています。

ただ、GHQ/SCAPの思惑としては、マッカーサー書簡で、public corporation should be estabikshed と書かれている以上、なんとしても公社を作るべきと言う見解を持っており、政府に対しては速やかに公社を設立させるように強硬に主張したと言われています。

 

続く

今回の記事を書くに際して参考にしています。

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日本国有鉄道研究家・国鉄があった時代

 

 

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