第6話 未払賃金立替制度
★大屋敷と瀬奈
大屋敷から連絡が入った。お礼がしたいという事で瀬奈は事務所で待っていた。
全くあのたぬき親父にはまいったぜ、でもさすがだなーなんて考えているところに大屋敷がやってきた。
「儲かってまっか?」と第一声。
ふざけた親父だと思いながらも
「おかげさまで」と応える瀬奈
「今回はほんまに瀬奈先生のおかげで前途ある若者が救われて良かったですわー」といけしゃあしゃあと言う大屋敷
「いやーでも大屋敷さんも策士ですね」と皮肉を込めて言う瀬奈
「何の事かいのー」ととぼける大屋敷
「そこで今回お礼がしたいというのは実は5店舗目までトントン拍子で決まって本社から、奨励金が10万円出たんじゃ、そこで現金は受け取らないという先生に何か品物でも贈りたいと思ってのう、先生何か欲しい物は有りまっか?私の方で用意しまっせ」
「えっ本当ですか?何でも良いんですか?」
「ええ、かまへんよ、また【しいくがかり】のチケットですか?」
「いや、もうツアーは終わっていて、まだ次のツアーが決まってないんですよ。あのー、まだ未定のツアーでも予約出来ますか?」
「かまへんよ、では10万円分のツアーチケットで宜しいかな?」
「なんか最後の方、魔法のランプの魔人みたいになっていますけど・・・」苦笑いする瀬奈
「そんな約束を受けて本当に大丈夫ですか?人気チケットで相当倍率高いですし、最近はチケットの転売防止法も施行されて、いくらお金を出しても無理じゃないですか?」と瀬奈
「わしをダフ屋みたいに言わんで欲しい。立派な大口株主だぞ」
「なんのですか?」
「しいくがかりの所属している芸能事務所の株式会社キュートの」
「え!キュートの株を持っているんですか?あそこの株式は上場していないんじゃなかったですか?」
「そうじゃよ、だからいくらでも融通が聞くんじゃ。シャイニー事務所もそうだし、他にもいくつかおさえておる」
「おさえておる?どういう意味ですか?」
にっこりと笑いながら大屋敷は
「こんな時の為に」と言い切った。
私のスマホの待ち受け画面のボーカルの吉田聖恵ちゃんが微笑んだ気がした。
第6話 完
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