今年1月の全豪オープンで優勝して世界ランキング1位になった大坂なおみですが、その後もランキング1位をキープしています。現在開催されているマドリードオープンやその後に行われるBNLイタリア国際の結果にもよりますが、そのまま1位をキープすれば、今月全仏オープンは初めて第1シードで臨むグランドスラム大会になります。

 

来年の東京五輪でも活躍が期待されていますが、大坂は現在日本と米国の二重国籍であり、22歳を迎える今年10月にはどちらの国籍を取るのか選択することになります。

 

大坂の国籍選択については、全豪オープン優勝後のツイッターで毎日新聞客員編集委員の潮田道夫氏が炎上騒ぎを起こしました。潮田氏は、ツイッターで「大坂なおみの国籍選択の期限が来る。五輪もあるし、多分米国籍を選択すると思うが、そのときの日本人の失望はすごいだろうな。政権が倒れるぞ、下手すると。マスコミも困るだろうな。どうする諸君」とツイートしました。潮田氏は、東京五輪では大坂が米国代表として出場とする見方を示し、それを望んでいるようにも思えます。

 

また、お笑い芸人のパックンも、大坂が東京五輪で日本代表として出場しないと予想しています。パックンは、大坂は米国国籍を放棄しないと主張しています。なぜなら、米国籍を離脱すると国籍離脱税が課せられ資産の20%を米国に納めないといけないと言っています。大坂はこれまでに多くの賞金やスポンサー料を手にしていることから、多額の国籍離脱税を納めないといけないため、それを避けるために米国籍を離脱しないと断言しています。

 

このような主張を聞いて、合理的で金が何よりも重要だという典型的な左寄り米国人のパックンらしい考え方だなと思いました。その後パックンは、二重国籍についての日本の法律を悪用すれば、二重国籍のままでいられる(これについては別の機会に説明します)と主張していますが、罰則がなければ何をしても構わないというのも左寄りの米国人だなと感じています。パックンはハーバード大学出身ということで、勉強はできたようですが頭はあまり良くないようですね。

 

 

東京五輪のテニスについては、国際テニス連盟から参加出場資格が発表されています。東京五輪では、男女シングルス、男女ダブルス、ミックスダブルスの5種目が行われます。

 

シングルスは64ドローで、2020年の全仏オープン終了後のランキング上位56名と国際テニス連盟の枠として8名が選ばれます。また1カ国最大4選手までという制限があります。

 

ランキング上位56名の方には条件があり、国別対抗戦(男子はデビスカップ、女子はフェドカップ)に出場していることが必要となります。

 

国別対抗戦については、2019年から202068日の間に3回以上出場しなければなりません。ただ、自国が20168月から20206月までの間に、ゾーングループ(最上位のワールドグループより下のグループ)に3年以上いると、2回出場に軽減されます。また、過去に国別対抗戦に20回以上出場していも、2回に軽減されます。

 

日本は2016年から2018年まではゾーングループであるアジア・オセアニアゾーンに在籍していましたが、2019年はワールドグループの2部に当たるワールドグループⅡに上がり、先日スペインとの対戦で勝利してワールドグループ残留を決めています。従って、大坂が東京五輪の出場資格を得るためには、フェドカップに3回以上出場することが必要となります。

 

ちなみに国際テニス連盟の8枠は、五大陸ごとの6枠、過去に五輪金メダル獲得やグランドスラム優勝者を対象とした1枠、ホスト国1枠となります。202068日時点のランキング300位以内で、上記のランキング上位者によって1カ国4選手という枠が埋まっていないということが条件となります(ホスト国枠は、他の枠で日本人選手が1人も出場しない場合のみ)。

 

但し、五輪憲章には11カ国を代表した選手は、3年が経過しないと他国の代表になれないとあります。大坂は2018年に日本代表としてフェドカップに出場していますので、2020年の東京五輪では日本以外の国からは出場できません

 

 

また、大坂が米国ではなく日本で選手登録しているのには、それなりの理由があります。

 

大坂の出身は日本の大阪市ですが、3歳の時に米国に渡り、現在も米国在住で練習拠点も米国のフロリダです。普段の会話も英語で、日本語は聞き取ることはできますが話す方は苦手です。

 

大坂がまだツアーの下部大会を中心に出場していた頃、大坂一家は米国テニス協会に支援をしてくれるように申し出をしましたが、相手にされませんでした。その頃、日本で行われた試合を見たテニス協会の吉川真司氏が大坂の才能を見出し、日本テニス協会に掛け合って大坂を支援することになりました。

 

米国テニス協会は、2016年の全豪オープンで3回戦に進出してから、米国女子代表監督が自ら乗り出し、しかも多額の支援を約束して猛烈にアプローチをしました。しかし、大坂の父であるフランソワさんは、無名の時から支援していた日本の恩義を尊重しました。

 

こういったことがあって、大坂は米国人ではなく日本人として選手登録をしてWTAの大会に出場をしているのです。この辺りが、金勘定が重要なパックンとは考え方が異なるようです。

 

 

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