また前回の記事から時間がかなり経過してしまいました。

 

10月から消費税率が10%に引き上げられ、今後の日本経済に大きな影を落としています。今回の記事では、マクロ経済政策である金融政策と財政政策について説明します。

 

マクロ経済政策は、雇用の促進、物価の安定、成長の促進が目的であり、金融政策と財政政策に二分されます。マクロ経済政策で誤った政策を実施してしまうと、産業政策や競争政策などのミクロ経済政策の効果を限定的にしてしまい、また個々の企業の経営努力にも限界があるため、国全体の経済が良い方向へ行くのは難しくなってしまいます。

 

ミクロ経済政策と違って、マクロ経済政策は経済状況に応じた策がだいたい決まっていますので、それに従って政策を実施していけば大きな間違いを犯すことは防ぐことができます。

 

今回は、マクロ経済政策である金融政策と財政政策にはどのようなものがあり、景気を拡大する時と景気を抑制する時それぞれの状況で行うべき政策を説明したいと思います。

 

 

1.金融政策

金利政策、通貨供給政策、預金準備率操作の3つがあり、通貨供給量を増やし金利を下げて資金調達を容易にする金融緩和と、通貨供給量を減らし金利を上げて総需要を抑える金融引き締めがあります。

 

(1)金利政策

中央銀行が民間金融機関に資金を貸すときの利子率(金利)である公定歩合を変化させ、民間金融機関の調達コストを調節して民間金融機関の貸出金利に影響を与えて経済情勢を調節します。

 

景気拡大策:金利引き下げ

景気抑制策:金利引き上げ

 

 

(2)通貨供給政策

中央銀行が、保有する債券類(国債など)を売却して市場(民間金融機関)の資金を回収して市場の資金量を減らしたり、市場(民間金融機関)から債券類を買い上げて市場の資金量を増やしたりすることで、通貨の市場流通量を調節します。市場から債券類を買い上げるときは、中央銀行が現金を新たに発行し、その現金で支払うため市場に流通する通貨が増えます。

 

景気拡大策:通貨の市場流通量増加

景気抑制策:通貨の市場流通量減少

 

 

(3)預金準備率操作

中央銀行が民間金融機関の預金や金融債などを、一定割合(預金準備率)以上の金額を、強制的に日銀に預け入れさせることによって、金融緩和や金融引き締めを行います。預金準備率の引き上げによって、預金等のうち運用可能な資金量が制限されることとなります。

 

景気拡大策:預金準備率引き下げ

景気抑制策:預金準備率引き上げ

 

 

2.財政政策

(1)歳入の政策

税制が軸となり、減税や増税によって経済成長を促したり抑制したりします。

 

景気拡大策:減税

景気抑制策:増税

 

 

(2)歳出の政策

公共投資を軸とした財政支出を増やしたり減らしたりすることで、経済成長を促したり抑制したりします。

 

景気拡大策:財政支出増加

景気抑制策:財政支出減少

 

政府の財政支出を増やすと市場の通貨供給量の増加をもたらし、政府が債務を返済すると市場の通貨供給量の減少をもたらします。このため、財政政策は金融政策としても機能し、積極財政は金融緩和であり、緊縮財政は金融引き締めの機能を有しています。

 

従って、景気を拡大しようとする時に政府債務の返済を多くしてしまうと、金融引き締めをしていることになって逆効果になってしまいます。つまり、経済成長と財政均衡の両立は難しいということです。もし両立させるのであれば、緊縮財政は行わず、景気拡大策を実施して税収を増やすことで財政均衡をせさなければいけません。

 



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