夏の夜 | 櫻葉小説~嵐と一緒に日向ぼっこ~

櫻葉小説~嵐と一緒に日向ぼっこ~

櫻葉・大宮中心の妄想BL嵐小説を書いています。
かなり偏った内容になっております。
ご理解のあるかたのみご覧ください。

たまに日常のこともつらつら載せてます。


※無断での話・内容転写利用禁止
※アメともピグともは受け付けていません


ひとりの夜
真夏は
特に寝苦しい



猛暑だからなのか
隣に誰もいない空虚さのためか



やけにもやもやとしていた




テレビで風呂上がりにすぐ冷房に入り、汗をかかないているのは良くないときいて、扇風機の風に当たりながらビールを飲み始める。


汗をかいたビールの缶をわざと頰につけて
「っめてっ」
冷たさにビクッとなる。

気持ちいい





空を見ると
月が霞み
星の方が輝いて見え・・・


「なんて言うんだっけか?」
こんな夜をなんて言うのか
ど忘れしてしまい

暑くて頭が回っていないな、と感じる。




最近
こういうことは
雅紀の方がよく知っていて
スラリと答えをくれることが多い

互いに年をとったからか、
情緒もわかる大人になったからか
風情あるものを好むようになった


けれど
こんな都会のマンションの一室で
風情も何もありゃしない


しかも缶ビール片手に
上半身裸。
短パンだけじゃ様にならない、というか
人様の前には到底出られない格好と容姿。

髪は自然乾燥のつもりで軽くタオルで一拭きしただけのボサボサ状態


自分しかいないだから
格好つける必要は全くないのだけれど




これがひとりじゃなければ
違うのに



ひとりの方が気楽だと思っていたのはいつ頃のことだろう


それこそ年をとったせいなのか



寂しい、と感じるのは・・・






独り、が怖くなったからか


そんなことを思いつつ
スマホに手をかけた



数コールで
「翔ちゃん
おつかれさま。どーしたの?」

落ち着いた、俺の最も安心するトーンの声が耳に届く。



自然に笑みがこぼれて
「お疲れさん。
今日は泊まりだろ?」


見える夜空の先に想いを馳せた。



「うん。
ちょうどよかった。
今風呂上がりで、気持ちいいから外にいるんだけどいいもん見えたから送ろうと思ってたんだよね。ちょっと一回切るよ。
すぐ掛け直すから」

そう言って
回線が切れ
すぐと言ったのに
10分ほど待たされた。


再度かかってきた電話の第一声は
意味不明な

「ごめんね、翔ちゃん」

なんのこっちゃわからない。







「ホテルのそばに湖があるんだけど
なんかいいなと思って見せたくて撮ったんだけど、写真に収めるとしょぼくなっちゃって」


「俺に見せたいもんって?」



「水月」


「・・・いいな。それ」

言われた途端、情景が浮かび上がった。





水面に映る月。





そうしたら急に
忘れていた言葉を思い出した。



「こっちは星が月みたいだよ」

そう言うと

「そっちは星月夜なんだ。いいね」

迷いなく俺の忘れていた言葉が返ってきた。





「俺の方も見せたくても多分肉眼じゃないと綺麗さが伝わらない」


「・・・そっか。残念」
心の底から残念そうな声。



表情が容易に想像できた。








なんとなく沈黙が流れ



「「見たかった、一緒に」」

シンクロした声。





夜空の向こうに向け
無意識に吐息のように吐き出した声は
互いの想いが乗ってしまって


今度は同時に吹き出した。




一緒に過ごす時間がなくて
しかも
風情を共に共有するなんて


なかなか難しい


プライベートで味わいたいのが本音だけれど
それが無理なら仕事でも構わない


そんな瞬間が短時間でもあれば
心身ともに生き返るのに





「ロケとドラマと球場と目まぐるしいな。早く寝ろよ」
本当はもっと話していたいけれど、明日のことを思うとそうもいかない。
雅紀の起床時間を考えるとそろそろ就寝時だ。


「俺は仕事の中に趣味の延長上なものが入ってるからいつもに増して疲れを感じないから大丈夫。ワクワクしかないよ。翔ちゃんも明日早いよね、取材でしょ?」


「・・・大人になったなぁ」
俺の予定を把握してくれていることが嬉しい。
思わずにやけてしまった。


「は?
意味わかんないよ」
雅紀からはなんだか不機嫌な声。




・・・雅紀がいろんな言葉を知っているのは長年いろんな場所で進んで学んできた賜物。
・・・スケジュールを把握してるのは俺の体調を気遣ってのこと。



そんな説明をする訳ではないから
雅紀には俺の真意は届かない。

俺だけがわかっていればいいことだし。



雅紀自身もそれを掘り下げることなく
「まぁ、いいや。
写メじゃなくて、本物を一緒に見たいけど無理だから音だけで我慢する」



「音?」


「蝉。こっちも鳴いてる。
そっちも鳴いてるよね?」


言われてみると
聴こえる夏の風物詩。



「儚いけどな」


1週間のみのものだから



「うん」



多分一人で聴いていればうるさいと感じるこの鳴き声も


今は愛おしく感じる




それに混じり
他の虫の鳴き声が・・・


二人して自然の音に耳を傾けた











冷房をかけて寝るつもりが網戸のまま

いつのにか寝落ちしてしまい




予定外の朝一番
「おはよう」
の声




今日も
1日乗り切ろうと気合を入れた





fin








お久しぶりです。るぅです。

めっちゃ久々に携帯使って書きました←普段はほぼPCで書きます。


夏の暑い暑い日々

涼しくなる訳ではないけれど
夏の夜の
素敵な部分も感じられたら嬉しいなと。


相変わらず即席話なので
中身がなくてごめんなさい




おやすみなさい



るぅ