十五夜の想い出 秋(エッセイ)

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十五夜

9月24日は十五夜。
そして、母の命日でもありました。
夜遅く外に出てみると雲間から中秋の名月がこちらを覗いている。
庭で秋の虫の忙しない音と心地好い夜風に身を任せ。
縁台に座って満月を見ると数十年も前の懐かしい想い出が蘇ってきます。

十五夜
「ぼうじぼ当たれ、大麦小麦三角四角の蕎麦当たれ......」
「何人で来たんだい。」
「五人です。」
「それじゃ、これ。」
と、家主から紙包みをもらう。
そして、わらでっぽうを小脇に抱え礼を言って次の家に向かう。
もう30数年も前の十五夜である。(昭和30年後半頃)
農家で「五穀豊穣」を願い害虫を追い出すための行事である。
わらでっぽうは、稲藁を筒状に縄でぐるぐる巻いて握りを作り中に芋がらを入れた物で、前の日に父に作ってもらった。
部落中の家々を其れを持って回り、家々の庭を囃子ながらそれで叩きこずかいを貰うのである。
丈夫に作ってもらわないと縄が解けてバラバラになってしまった。
家々の縁側にはちゃぶ台を置き、その上に一升瓶に五本のススキを差し、皿には団子、さつま いも、大根、栗など新物が供えられていた。
部落には50件ほどの家があり、暗闇の中、月明かりを頼りに全部を回るのである。
その頃、一件で一人に5円から10円位貰えた。
病院や作り酒屋などは多く貰えるので顔ぶれを変えて数回行った覚えがある。
全部回り終えると、消防小屋の丸い赤電灯の下で貰ったお金を仲間で分けた。
お金はもうすぐやってくる秋の運動会や秋祭りのこずかいにあてた。
そして、使い終わったわらでっぽうは来年も沢山の実がなるようにと柿の木や梅の木などに掛けておいた。
もうすぐ秋、田舎では稲田が黄金色に輝いて居ることだろう。
(秋の雑木林より)

十五夜

上の火の見櫓の写真は、栃木県宇都宮市小林地区で撮影しました。

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