<ざっくり言うと>
  • 一部のトランプ支持者が不正選挙を主張する姿は、オウムが衆院選敗北後不正選挙を主張した姿と酷似している。
  • 一部のトランプ支持者がマスコミを敵視する姿は、オウム信者が社会を敵視した姿と重なる。
  • カルトにならないためには、自分に都合のいい情報こそ疑うべきである。
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(2018年7月17日放送、日本テレビ『ザ!世界仰天ニュース』「オウム事件 元死刑囚からの手紙」
オウム真理教は1990年に衆院選に集団立候補した)


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このブログでは「愛国『カルト』」という言葉を使ってきましたが、今回の大統領選での一部のトランプ支持者の行動は、まさに「カルト」にふさわしいものでした。彼らの行動は、1990年にオウム真理教が集団立候補したときの行動に酷似しています。

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目次

1.まったく根拠なしに圧勝を信じる


事前の世論調査では軒並みバイデン優勢が伝えられていたにもかかわらず、百田尚樹、有本香、木村太郎、藤井厳喜らやそのフォロワーたちは、トランプ圧勝を予想、いや、予言していました。

これは、オウム真理教が本気で圧勝を信じていたことを思い出させます。

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(2018年7月6日放送、フジテレビ『金曜プレミアム 教祖麻原ら7人死刑執行』)

勝つことを期待するのは当然としても、なぜ世論調査などをすべて無視してトランプ圧勝と思い込めるのか。百田尚樹など、「フタを開けたらトランプが圧勝するのは最初からわかっている」とまで言っていますが、何の根拠もなく、自分の信じたいことを信じられるのが、彼らの不思議なところです。

2.勝たないと世界が滅びるとか言い出す


彼らは、トランプが勝たないと日本や世界が滅びるぐらいのことを言います。

百田はトランプが勝たないと世界が終わる、日本が滅ぶとまで言うし、孫向文は尖閣どころか北海道や沖縄まで取られると言うし(なんたる他力本願)、門田はトランプが負けたら地球は滅ぶと思ってるみたいだし、「トランプが再選されないと世界中の民主主義国家の危機」なんて言うやつもいるし…。私はトランプ自身が民主主義国家の危険因子だと思うんだけど…。


彼らは「トランプが負けたら世界は中国に支配される」と主張します。なんで彼らの脳内ではバイデンが中国の傀儡化しているのかよくわかりませんが、危機を煽って支持を得ようとする方法は独裁者がよく使う手で、オウムも冷戦を利用して「核戦争が起る」などと言って恐怖を煽り信者を獲得しました。

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(2015年3月20日放送、フジテレビ『激動!世紀の大事件 オウム真理教と闘った家族の全記録』)

冷戦を利用し、恐怖を煽り、カリスマ指導者を求める姿はよく似ています。歴史上、そういうのに碌なやつはいないんですけどね。

3.選挙で負けたら「不正だ! 陰謀だ!」と根拠なく主張する


オウム信者とトランプ支持者が最も酷似しているのは勿論ここです。選挙で敗れたら、「本当は勝っていたのに、不正のせいで負けた」と妄想し、選管まで巻き込んだ大規模な不正があったと主張しました。まさに今回トランプ支持者たちが主張していることです。

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(2018年7月17日放送、日本テレビ『ザ!世界仰天ニュース』「オウム事件 元死刑囚からの手紙」)

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(2015年2月21日放送、テレビ朝日『オウム20年目の真実~暴走の原点と幻の核武装計画~』)

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(2018年7月6日放送、フジテレビ『金曜プレミアム 教祖麻原ら7人死刑執行』)

もちろん、根拠はありません。不正選挙陰謀論は悉く誤りが指摘され、裁判も次々と棄却され、それどころか裁判所に「フランケンシュタインの怪物のようにでたらめに縫い合わされたものだ」とまで批判される始末。

 
 
 

彼らにあるのは「負けるはずがないのに負けた」「自分の票がこんなに少ないのはおかしい」もしくは「相手の票がこんなに多いのはおかしい」という直感と願望だけです。トランプは「バイデンが8000万票取ったなんてあり得ない! 100%不正選挙だ」と主張していますが、選挙後の麻原の主張に実に酷似しています
なぜか彼らの脳内では「バイデンが8000万票も取るなんてありえない」となってるようなのですが、もともと全米世論調査でバイデンの方がリードしていました。

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Real Clear Politicsから)

全米の世論調査では常にバイデンがリードしていたのですから、トランプが7400万票も取ったのなら、バイデンの8000万票は多すぎるどころかむしろ少なすぎるぐらいです。もしも不正があったというのなら、バイデン8000万票よりトランプ7400万票の方がよっぽど怪しむべきだと思いますが、そんな当たり前のツッコミは彼らには届きません。


(ちなみに、4年前ヒラリーがトランプに負けたとき、「世論調査が間違えた」「世論調査は役に立たない」なんて言われましたが、実際の得票数ではヒラリーがトランプに300万票近い差をつけて勝っています。州ごとに勝敗が決まる制度のためヒラリーはトランプに敗れましたが、得票数的を見れば、世論調査は間違っていたとは言えないでしょう)


普通、陰謀論って、首相とか大統領とか、権力を持っている側を疑うもんだと思うんですが、なぜトランプ支持者は、野党候補に過ぎないバイデンの方を疑うのか…。個人レベルの不正ならともかく、全米規模の陰謀なんて話なら、真っ先に疑うべきは大統領だと思うんですけどね。


ところで、トランプは「バイデンはバカげた8000万票が詐欺や不正で得られたものでないと証明できたら、ホワイトハウスに入ることができる」と言ってますけど、どうやったらトランプは「不正はなかった」と証明されたと信じるんでしょうか?

米国サイバーセキュリティー庁がドミニオン疑惑を否定しても、「サイバーセキュリティー庁は嘘つきだ!」と言って長官を解任するような奴に、どうやったら「不正はなかった」ことを証明されたと示すことができるのか想像がつかないんですが、「バイデンに不正はなかったと証明しろ」と言っている人たちは、「トランプに不正はなかった」と証明できるのでしょうか? 是非とも「トランプに不正はなかった」ことを証明してみてほしいです。できるものなら。

4.被害妄想をこじらせ、社会を敵視する


「本当は勝っていたのに、不正のせいで負けた」と思い込んだオウムは、自分たちを不当に扱う社会を敵視するようになります。

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(2018年7月17日放送、日本テレビ『ザ!世界仰天ニュース』「オウム事件 元死刑囚からの手紙」)

これは、日本の愛国カルトの場合は、マスコミへの敵視という形で特に顕著に現れます。ネット上で自分たちだけで陰謀論情報を共有しあい、エコーチェンバー現象を起こして結束を高め、自分たちの知っている「真実」を伝えないマスコミを敵視するようになります。オウム信者が信者の中だけでエコーチェンバー現象を起こして陰謀論に浸かり、社会を敵視した構図と非常によく似ています。

社会を敵視したオウムはこの後武装化するのですが、『J-Castニュース』の記事では、

「必要とあらば、武器を手に戦うつもりだ。武器を持っているのは、僕ら共和党支持者の方だからね」

と答えるトランプ支持者が紹介されています。



もちろんトランプ支持者全員がこんな過激派なわけではないですが、陰謀論を信じ、社会を敵視し、「敵」を倒すために武器を持って戦うという思考は、オウムと実に似ています。オウムの場合は麻原彰晃自身が音頭を取ったわけですが、もしもトランプが「武器を取れ」と言えば、少なからぬ数のトランプ支持者が本当に武器を持って民主党を襲撃することでしょう。

5.自分に都合のいい情報こそ疑え


百田尚樹は、「一番大切なのは直感」「相反する情報が溢れた時、最も頼りにすべきは直感」と言っています。

しかし、これまでのことを見れば、その直感が何の役にも立っていないことは明らかです。彼の場合、単に「自分が信じたいことを信じる」だけのことを「直感」と言っているのでしょう。


相反する情報が溢れた時、最も頼りにしてはいけないのが直感だと言っても過言ではないでしょう。単に自分に都合のいいことを信じるだけのことを「直感」などと呼んで正当化すべきではありません。今回の一部のトランプ支持者の陰謀論は、本当に衆議院選挙後のオウムに酷似しています。百田尚樹が「直感」で不正選挙を信じ、シドニー・パウエルを「正義の人」と信じたのとまったく同じように、オウム信者も「直感」で不正選挙を信じ、麻原彰晃を「正義の人」と信じたのでしょう。


直感は大切ではありますが、それは物事の取っ掛かりとしてであり、結論を直感に頼ってはいけません。直感的に思ったことを自ら疑い、検証するのが科学的思考です。直感で「信じたい」と思ったことこそ疑うべきです。


オウム信者もトランプ信者も、「本当はオウムが勝った」「本当はトランプが勝った」という絶対的結論に合う情報だけを見るので、それを認めない社会を敵視するようになりました。これまでこのブログで繰り返し繰り返し言ってきましたが、自分に都合のいい情報こそ疑うべきです。特に、情報ソースが曖昧なことは信じるべきではありません。


そして、自分自身がカルト化しないためには、カルト化した人の言うことを信じないことが大切です。いまだに「不正選挙だった」「トランプは勝っていた」と信じている人たちの言うことは、今後信じないようにしてください。彼らは事実を信じているのではなく、信じたいものを信じているだけであることに疑いをはさむ余地はありません。

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