「ただいま帰りました。すぐ着替えて来ますね。」
「お帰り。急がなくてもいいわよ。」
並んで部屋に入ってきた二人をキッチンからはグミが、リビングからはグミが見ていた。
「新婚時代が懐かしいわね。」
「新婚って、スンジョたちは結婚して6年だよ。」
トントントンと、野菜を刻む音がキッチンの方から聞こえて来る。
「新婚よ。むしろ今の方が二人が結婚した時よりも、ラブラブじゃない。まだ子供がいないのなら新婚でもいいと思わない?」
「それはそうだけどね。まぁ、夫婦が仲がいいのはいい事だ。」
二階に上がって行ったハニが急いで着替えて来たのか、バタバタと慌ただしくハニが降りて来た。

「お母さん、何をしましょう。」
エプロンの紐を縛りながら、シンクで手を洗うハニは、頬をピンク色に染めて幸せそうだった。
「今日も盛り付けをお願いするわ。ハニちゃんの盛り付けはとてもきれいで、食欲が出て来るわ。」
「作るのは苦手ですけど・・・」
家族が使う皿を並べて、カットした野菜を楽しそうにハニは盛り付ける。
出来立てのおかずが入った鍋をハニの前に置くと、ふたを開けて数を数え始めた。
「お母さん、一人分足らないですけど・・・・」
「ウンジョが今日からサークルの合宿でいないのよ。」

小学生だったウンジョも、この春から大学生。
ペク家は頭がいいと証明されるように、テハン大に首席入学をした。
スンジョほどではないが、顔も最近はよく似て来ているが、それでもハニは間違える事はなかった。
「なんだか楽しそうね。スンジョと良い事でもあったの?」
「特に・・・」
そう?っと聞かなくても、相変わらずグミは二人が出かけると、何かを聞きたくて仕方がない。
「あ・・今度出勤したら移動が発表されるんです。今度こそスンジョ君と同じ外科に行きたいのですけど・・・・」
スンジョと一緒に働きたいと、軽い気持ちで看護師を目指したわけではないが、少しでもそばにいたい気持ちは昔と変わらない。

「看護師も医師と同じ専門だといいのにね・・・」
「でも、医師は診療科での移動はなくても、他の病院に行く事になりますから。」
スンジョの咳払いがリビングから聞こえてくると、それは早く食事にしてほしいという合図だった。
ハニとグミが話し出すと、延々と続いて食事が遅くなる。
それでもハニは、スンジョに内緒で言いたい事があった。

「あのですね・・・・スンジョ君には言わないでくださいね。」
顔を近づけてグミにひそひそ声で話した。
「スンジョ君が・・・・移動して落ち着いたら・・・・って・・」
フフフと笑うハニに、グミは肘で突いてからかった。
チラチラとスンジョが二人のその様子を見ていた事を、ハニもグミも知らなかった。




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