みなさま、お久しぶりです。
今日はちょびっとだけ時間が取れたので、今流行りのMMT(現代貨幣理論)について。
貨幣論と言えば、4年くらい前に書いたコレ↓が懐かしいですね。
・『21世紀の貨幣論』 フェリックス・マーティン (遠藤真美 訳)
その1 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11967558085.html
その2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11967558291.html
その3 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11967558477.html
その4 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11967558682.html
MMTの詳細な説明は他に譲るとして、ここはひとつたとえ話を
「包丁は刃物である」
包丁には刃がついてるので当たり前ですし、刃がついているから食材を切ることができるわけですね。
しかし、とある世界では包丁を刃物と認識しておらず、刃の部分を握って、柄の部分で食材をこねくりまわしたり、あるいは峰の部分でゴリゴリやったりしているわけです。そして、手は傷だらけで血まみれだと。
そこに「いやいや。包丁は刃物ですよ。」という人が現れたのでビックリ仰天。
人々は集中砲火を浴びせます。
「そんな馬鹿な。包丁が刃物なわけないだろ。」
「包丁が刃物なんて、ブードゥーかよ。」
「包丁刃物論なんて聞くに値しないクズ論だ。」
とかいう根拠なきただの否定や…
「包丁が刃物だって!? だったら食材が切れてしまうじゃないかーーっ!!」
「いやいや食材にとどまらず、まな板まで切ってしまうのでは。」
「あぁ、なんと恐ろしいことだ…。」
とかいう大げさな妄想や…
(というか…もともと食材を切るための道具なんですけど…)
「刃物というと殺人を連想するので、包丁は刃物ではないことにしよう。」
「刃物という響きは悪いから、料理道具と呼ぼう。」
「包丁が刃物かどうかなんて、どうでもいいじゃないか。」
「包丁を刃物とみなす奴は殺人犯の手先だ。」
という現実逃避や…
(どう呼ぼうが包丁は刃物であるという事実は変わらないけど…)
「包丁は刃物ではない、刃がついている物だ。」
「ノコギリは刃物である、よって包丁は刃物ではない。」
「包丁など使わなくとも、料理はできる!!」
とかいうまったく議論にならないレベルのいちゃもんだったり…
結局のところ誰も「包丁は刃物ではない」ことの根拠は示せていないわけで、最初から議論なんて発生していないわけですね。
MMTに関する論争もこれと同じで、MMTの是非をめぐる議論なんてものは今のところ、まだ発生していないとみるべきでしょうね。傾向として、MMTを概ね理解できている者はMMTに肯定的ですし、MMT批判者はMMTをまるで理解できていないようなので、そもそも議論が成立するはずもないのですが。(中にはMMTに肯定的な方でもMMTを理解できているのか怪しい方もたまに見かけますが…)
なので、MMTをきちんと理解できていない方は批判する前にきちんと勉強しましょう。
MMT日本語リンク集
で、MMTが正しいかどうかなんてものを言い争うのは本来ハッキリ言って時間の無駄。
包丁が刃物だって知ってても美味い料理が作れるとは限らないわけですから。
問題はその先なわけです。
年金では老後の生活に2000万円足りないだとか言ってるけど、政府にカネの問題はないわけで、問題はそこじゃないんです。
MMTはカネの話をしているように一見みえますが、「問題はカネではない」ことを言っているのです。
財源の話は抜きにして、真に重要な問題と向き合うことができる。ここまでがMMTの役割というわけです。
包丁だって使うもの次第でいかようにもなりますが、国の舵取りだって同じです。
政府はいくらでもカネを使えると仮定して、日本をどのような国にしたいのかを考えることこそが大事なのです。(現政権は国民生活を破壊して、自分やお友達の利益を最優先にしようという考えだとしか思えませんが。)
さて、MMTについての補足ですが、よく政府支出の制約はインフレだと言われますが、少々わかりにくいですよね。これはどういうことかというと、政府はいくらでもカネを使うことはできるので無制限に何でも買えそうですが、カネを出しても買えないもの、買うべきでないものは買えないというわけです。100個のおまんじゅうがあったとして、いくらカネを出しても101個は買えないわけです。これが政府支出の制約です。
インフレになったら政府支出を絞ればいいという意見がありますが、これはナンセンスで、必要な支出はずっと続けるべきですし(医療費の抑制などもってのほか)、日本の国力増強には公共投資の継続性・漸増性が不可欠(筋トレと同じ)です。
じゃあ、増税すればいいという意見がありますが、消費税とかを上げたり下げたりするのは法律の手続きとかの問題で機動的な対応は困難です(そもそも消費の抑制については物価が機動的に対応してくれそうですが)。これをバチッと解決させるのは累進課税の強化一択です。最初に税率さえ決めておけば、あとは景気にあわせて自動的に税の量が調整されるというわけですね。
何にせよ、社会保障の拡張と消費税増税にはな~~~んの関係もありませんので、この期に及んで消費税減税・廃止を主張しない候補者には落ちていただきましょう。