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父さんと母さんは驚いて、いっしょにいくといいはり、ノミに姿をかえてついていくことになりました。人間の大人は重いのでね。

 

 

「北の町の小さな神社の床下で、そろそろ猫の子が産まれそうなんだ。ぶじに産まれたかしっかりと見てきておくれ」

「うん、わかった!」

 

 

空には月の道があります。すきとおったガラスのような広い道です。

綿雲にむっことギンがのり、ギンの耳のうしろに2匹のノミが…いえ、父さんと母さんがのりました。見おろすと、遠くの山、近くの川、にぎやかな町、さみしい道が、くっきりと見えます。

 

 

迷子になった男の子が、公園で泣いています。腰の曲がったおばあさんが買い物かごを落っことしてしまいました。おやおや、はらはら、どきどき。

 

「そら、あそこの林の神社ですよ。お月さまがいってた神社だ」

「あ、猫の家族がいる。あれ?ギンと同じ毛皮だよ」

見おろすと、猫のおかあさんが、産まれたばかりの子猫3匹を、ぺろぺろとやさしくなめてあげていました。

 

「あれは、ギンさんのお母さんと妹弟たちですのさ」と綿雲が静かにいいました。

 

 

ああと、そこでみんなは、知りました。

お月さまがむっことギンに仕事をたのんだわけを、です。

 

 

にゃあ、と空からかすかな鳴き声がきこえると、お母さん猫がにゃあとこたえました。

 

 

 

 

 

お月さまは、それからときどきむっこの家の庭に落っこちてきます。そのたびに、むっことギンは、綿雲にのってでかけるのでした。

 

 

 

 

おしまい