山之介です。

 

 「富山県」には言い伝えの残る山がいくつかあります。

 

 埋蔵金伝説の「鍬崎山」、幼い姉妹の民話が残る「人形山」など。

 

 

 

 

 10月半ば、小中学からの同級生に久しぶりに会ったので近況を聞いていると

 

 「人形山に登って来たよ。」って言うから

 

 「へっ?工事で迂回路が大変だったでしょ。」と聞き返すと

 

 「いや、普通に行けた。」って。

 

 さっそくネットで検索していると、どうやら日曜は工事が休みのようで工事区間の重機も隅に置かれて通れるようなのです。

 

 あの1時間30分もかかる迂回路を通らなくても良いのならさっそく歩いて来ようと、「医王山」を歩いた翌日の11月11日(日)に行って来ました。

 

 天気は11月に入って1番の陽気になるとの事で期待も膨らみます。

 

 

 

 

 朝6時過ぎ、工事区間を無事通過できました。が、これは日曜だからではなく早朝だから通れるのでは?

 

 問題は帰りですね。無事通過出来るのかどうか。

 

 6時を過ぎて周囲が明るくなって来ると、「五箇山」の集落方面はところどころ霞が残って幻想的な景色。

 

 工事区間を過ぎても角の尖った石がゴロゴロ転がる不整地を時速10Kmでしか進めず気が抜けません。

 

 6時30分、「人形山」登山口に到着。

 

 予想通りとは言え駐車場には1台も車が止まっていませんでした。今日は誰1人会わない登山になるかも?

 

 水場もある「人形堂」を参拝してから、7:00 登山スタートです。

 

 ここから「人形山」山頂までは距離にして6km、標高差約970mを4時間で登るコースです。

 

 今の季節は「ムラサキシキブ」。

 

 最初の休憩地までは杉の植林地を登ります。

 

 前日の「医王山」と同じ格好。

 

 今日も長靴登山です。

 

 途中で杉からブナの林に変わりますがまた杉の植林地へ。

 

 そろそろ第1休憩地かなと思う所で「ヌタ場」を発見。クマなのかイノシシなのか?それとも別の野生生物が使ったのか。

 

 いずれにしても今日は少し注意が必要そうです。

 

 スタートして50分で第1休憩地に到着。

 

 登っている時は汗ばみますが5分も休憩すると背中から冷えて寒くなったのですぐ出発。この日の気温は7℃、湿度62%です。

 

 登山口からここまで2.1km、ここから山頂までまだ3.9kmか。

 

 出発前には要所要所で火薬ピストルを鳴らして進みます。

 

 杉の植林地が終われば

 

 ブナ林。

 

 落ち葉フカフカの登山道。

 

 奥にうっすらと「人形山」が見えて来ました。

 

 平坦な道から一旦下って

 

 次は急な登り。

 

 振り返ればさっきの第1休憩地が下の方に見えました。

 

 第1休憩地から30分程で第2休憩地。左奥に見えるのが「人形山」です。

 

 休憩地のすぐ右手には「富山県」で1番大きいと言われる「ドウダンツツジ」の木。

 

 あの山頂までまだ3kmか。

 

 ブナの急坂が終わると森林限界になり、

 

 笹の林に変わりました。

 

 こういった植生の変化がある所でも火薬ピストルを鳴らしておきます。

 

 「ネマガリタケ」に実がなってるのなんて初めて見ました。

 

 「宮屋敷跡」までの登りがあと300mかぁ。

 

 きれいな苔。

 

 ここを登ると

 

 8:50 「宮屋敷跡」に到着。

 

 悲しいかな、正面に見える1番遠いところが「人形山」。これからあそこまで回り込みます。

 

 

 

 

 

 5分休憩で出発。ここからはしばらくは平坦道、その後アップダウンが3回ほど続いて尾根まで1時間のコースタイム。

 

 特徴ある大きな「ダケカンバ」。

 

 一番左が「三ガ辻山」、尾根には矢印の所に取り付いてそこから右の矢印の「人形山」に向けて移動です。

 

 一旦下って、手前の山、次の山、最後の急登を登って尾根に上がります。

 

 長靴を履いて来て良かったけれど、それでも膝から下は夜露で揺れた葉っぱでビショビショ。

 

 3年前の晩秋に登った時は大雨に降られてこの木であえなく敗退したのを思い出しました。

 

 2つ目の山を越えて尾根へ。

 

 その後尾根に沿って25分右へ移動です。

 

 最後の登りは笹原の中の1本道。「三嶺」の縦走路はきっとこんなんだろうなあと思いを馳せます。

 

 振り返って越えて来た山々。赤矢印が先ほどの「宮屋敷跡」です。

 

 分岐点に到着。右は「人形山」。

 

 左はここから「三ガ辻山」に行けますが、登山道があまり整備されておらず、いかにもクマが出そうなので今回もパス。

 

 5~6年前に1度チャレンジしましたが、藪漕ぎが酷すぎて諦めました。

 

 ここから「人形山」までは3つのピークで約25分。

 

 青空も良い感じで広がって来ました。気温はそろそろ12℃まで上昇。

 

 ピークあと2つ。

 

 あと1つ。

 

 右手後ろに先ほどの「宮屋敷跡」のあった丘が見えます。

 

 9:55 コースタイム4時間のところ、15分の休憩込みで2時間55分で登って来ました。

 

 「甲武信岳」の時みたいに両膝が痛くなければ、「自分もまだまだやれるな」と思いました。(左膝裏の痛みはまだ治っていないけれど。)

 

 ここが「人形山(1,764m)」山頂です。

 

 正面の丘の向こうに「大笠山」。あの丘までもその先へも縦走路があるみたいですが、どこに続くのか不明なので行きません。

 

 次回は「大笠山」か?

 

 真後ろに「三ガ辻山」。

 

 20mほど離れた場所に休憩適地があるのでそちらへ移動。

 

 今日は夜明け前におにぎりを1個食べただけだったので、まだ10時で少し早いけれどここでお昼にしました。

 

 左手に「三ガ辻山」、

 

 正面には雲に隠れていますが「白山」、

 

 そして右手にうっすらですが「大笠山」、「大門山」などがあります。

 

 今日のコースと位置関係はこんな感じです。

 

 山頂までのログ。

 

 

 

 

 う~ん、「石川県」側は曇ってはっきりしませんが、「富山県」側はかなり晴れて来ました。

 

 25分休憩して下山開始です。

 

 取りあえず分岐まで戻ってそれから「宮屋敷跡」までを目指します。1時間15分くらいかな。

 

 分岐からの下りでソロの男性に出会いました。

 

 「『三ガ辻山』まで行かれましたか?」と聞かれ

 

 「藪漕ぎがひどそうなので止めました。クマも居るかもしれません、自分はこの火薬ピストルを」と言いかけて、ウエストベルトのポケットに差し込んでおいた火薬ピストル出そうとしたら見当たりません。

 

 どこかで落としたようです。多分山頂付近だと思います。ここまで戻って来たので今から探しに戻る気にはなりません。

 

 「まあ、とにかくクマには気を付けて」と言っておきました。

 

 

 

 

 

 「宮屋敷跡」まで戻って来ると年配のご夫婦に遭遇。

 

 ここでも「三ガ辻山」まで行けるかと聞かれて、同じように答えておきました。

 

 すると「朝、工事場所を通って来たら工事の人が『今日は工事をするから夕方まで通れないよ』と言われたんです。大丈夫でしょうか?」

 

 と、言われました。

 

 「ええっ!?日曜は工事をしないんじゃなかったっけ?」って言うと、

 

 「進捗が遅れて来たから日曜もするんだそう」ってそんな事は知らないよ。

 

 と、ちょっとがっかりな情報を頂きました。

 

 

 

 

 

 12時近くになると日も高くなって来ました。

 

 あの「ダケカンバ」まで戻って来ました。改めて見れば見るほど特徴的。

 

 この木なんか1回上に向かったあと下に曲がって生えてるよ。

 

 

 

 

 

 この後の下りで最後に出会ったのがこの男性。

 

 「岡山県」から登りに来て明日は「松本市」でお仕事だそうです。

 

 100名山、200名山を完登されて今は300名山を半分ほど登ったのだそうです。

 

 昨日は「大門山」を登って今日はこの「人形山」。ちなみに先々週は「大笠山」に登りに来たそうです。

 

 「すごい、すごい。『岡山県』からわざわざ来られたのも凄いけど、300名山も半分登ったとはすごい。がんばって下さい」とエールを送ってお別れしました。

 

 

 

 

 この後、しばらく静かに下って行くと5m程先でガサガサ音がして、登山道の右の藪から小さい黒っぽいものが飛び出して左の藪に飛び込んで行きました。

 

 続いて一回り大きい黒っぽいものが登山道に出て来てこっちに向かって来ました。

 

 「うわー、やっちまった。親子クマに出くわしたか!!」と瞬時に思いました。

 

 火薬ピストルで脅そうにも落としてしまってどうにも出来ない。

 

 こっちに向かって来た獣と目が合うと・・・それはイノシシでした。(写真はイメージです。)

 

 一瞬「ほっ」としましたが、イノシシでも子連れだとかなり凶暴です。

 

 しかし、そのイノシシは失礼にもこっちを見ると「ぶひひぃ」と鳴いて藪に入って行きました。

 

 あれが「おっこと主」ならばきっと「人間は帰れ」と言ってたに違いありません。

 

 その後、群れの最後のウリボウが右の藪から飛び出して左の藪に入って行きました。(写真はイメージです。)

 

 クマでなくて良かったです。人生が終わるところでした。もちろん朝から熊鈴は鳴らしっぱなしです。

 

 朝通った時にはきれいに生えていた苔も、どうやらイノシシの鼻で掘り返されたようでした。

 

 この水溜りも朝通った時には澄んでいました。これもイノシシのせいなのでしょうか。

 

 今日は下山し終えるまで気が抜けません。

 

 

 

 

 長い、長い杉の植林地帯の下り。

 

 地中に埋められた土管が見える所まで来れば登山口まではもう少し。

 

 12:40 無事下山完了で「人形堂」にご報告。

 

 コースタイム6時間40分のところ、5時間20分で終える事が出来ました。

 

 今まで「人形山」に登った中で1番早いタイムです。途中で3人と20分くらい立ち話をしてたから、それを引くと5時間ちょうどかな。

 

 駐車場には出会った3人分の車。

 

 今日1日のログ。

 

 

 

 

 さあ、問題は帰り道の工事区間がどうなっているか。

 

 日曜でも工事をやっているのか、いないのか。

 

 ガタガタ道を時速10kmで下ります。

 

 青い実がなっていました。

 

 さあ、問題の工事区間へ進みます。左方向。

 

 赤線より向うの時間にして2分くらいの距離の工事の為に、ここは通行止めとなっているのです。

 

 なんとか進んで「やったぁ通れる」と思ったら

 

 カーブから重機がバックして来ました。

 

 おじさんに「今日は工事やってるから通れないよ」と言われました。

 

 「宮屋敷跡」で出会ったご夫婦の言う通りなら夕方には工事は終わるでしょう。

 

 それまで待つか、それともガタガタの迂回路を1時間30分かけて行くか?

 

 今の時間は13:30、工事が終わるのは多分17時頃でしょう。

 

 それまで待つくらいなら家に着いてしまいます。

 

 ここは迂回路まで戻って強行する事としました。

 

 しかし、春先に通った時はまだ伸びていなかった草木も、今は秋、伸び放題。

 

 迂回路は当然手入れなんてされていません。

 

 伸びて硬くなった草木が「キー、キー」車体を擦るのが聞えて来ます。

 

 「ススキ」なんて柔らかくてまだ優しい方です。

 

 9月中旬に3日かけて車体全体をポリッシャーでコンパウンド掛けしてキズ消しをしたのに、2ヶ月も経たずにまた白キズだらけです。

 

 硬い草木が「キー、キー」と車体を擦る音を聞き、半泣きになって迂回路を進みました。

 

 「ごめんなさい、車ちゃん。またポリッシャーでコンパウンド掛けして必ず白キズを消すからね。」

 

 3時間30分待つのをケチったばかりに3日かかるポリッシャー掛けの要らぬ仕事が増えてしまいました。

 

 こんな事の為に今日「人形山」を登りに来たのではないのに。

 

 迂回路を通らなくて済むと聞いたから「人形山」を登りに来たのに。

 

 クソ~、あの工事業者め、やるなら来週の日曜からにしてくれよ。

 

 大体「働き方改革」と逆行してるやろ!!日曜は休めよ。

 

 後から降りて来る3組4人は夕方になるので迂回路を通る事無く2分で工事区間を通過出来るでしょう。

 

 

 

 

 途中、「城端」の「天然温泉 桜ヶ池クアガーデン(620円)」に寄って汗を洗って帰りました。

 

 登山は楽しかったけれど余計な仕事が増えてしまったわ。

 

 

 

 山之介

 

 

 

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