山之介です。
本当は8月末の週末にツアーを利用して登る予定だった「剱岳」。
「日本海」上に停滞する前線の影響から「大雨洪水警報」の発令で、出発2日前に「ツアー中止」の連絡。
ところが蓋を開けてみれば8月31日(土)はピーカンのお天気。
この日「剱岳」に登った方は「富士山」まで見えたんだとか。
そりゃそーですよね、大雨で大気中の水分が全部地上に落ちてスッキリしているんですから。
非常に悔しい思いをしながら過ごし、9月1日(日)の週間天気予報では6日(金)~8日(日)までは晴れるとの事。
「こりゃ個人で行くしかない」とその日のうちにパッキングも完了。
今まで変な先入観を植え付けちゃまずいと「YouTube」などでアップされている「剱岳」の動画はずっと見ない事にしていましたが、
「ソロで登るんならさすがに多少の予備知識は必要じゃない?」
って、事で4、5本の動画で予習しました。
「危険個所」の紹介はされていますが、肝心の攻略法がアップされておらず結局良く分からないまま。
ところが、ですよ、せっかく予習もしたのに3日(火)になると「小笠原近辺」で「台風」発生の可能性あり。
4日の「台風」進路では「台風15号」は「関東」に上陸した後北上し、「富山県」を直撃の可能性あり。
こりゃ前倒して行かないとこの先もう晴天のチャンスは無いかも知れない。
3連休2回は天気が良くなれば相当数の人出が予想され混雑は必至。
「台風15号」が来る前に6日(金)から出発して7日(土)にアタック、8日(日)は予備日か下山日とする事にしました。
さあ、前に進めば国内最難関の「剱岳」、後ろからは「台風15号」の接近。
どーなります事やら。
今シリーズは特別な思いで綴って行きますからかなり長くなります。
出来れば①から順にお読みいただいて、一緒に登っているような感じを味わってもらえれば幸いです。
9月6日(金)、家を出た時は真っ暗だったにのに、4:30を過ぎると山の稜線が徐々に白んで来ます。
そして5時30分には稜線から陽も昇り出しあたりはかなり明るくなって来ました。
この明るくなる時間は必ずチェックしておこうと思っていました。
「剱岳」に向けて朝何時頃出発するか決める為です。
お盆の頃なら4時過ぎにはすっかり明るくなっていたでしょうが、今はもう9月。
何時に明るくなるか知っておくのは難所が続く彼の山に登るには重要です。
今回も「立山」駅下の第2駐車場に止めました。
まだハイシーズンだと言うのにさすがに金曜の朝だと「立山」駅も閑散。
5:55 切符を買うのに並んだ人はたった40人ほど。これは楽勝でしょう。
7:00の始発に乗車。それでも出発までには140人溜まっていました。
「高原バス」の始発は7:40。
「タテヤマスギ」
「称名滝」
「大日三山」
「剱岳」の頭がチョコッと。
「ハンノキ滝」
2か月ぶりの「立山」も見えて来ました。
「剱岳」 とうとうあそこに登るんだなぁ。
「室堂ターミナル」までは40分ほどで到着。
ターミナルで登山届を提出。
皆さん次々と屋上に向かって行かれます。が、「剱岳」へ向かうような装備の方はこの時点でわずかしか見当たらず。
「立山そば」が開店するまで時間を潰します。
これは美味しそうだけど、300円はちと高いな。
そばの開店を待つ「兵庫県」から来られた年配の男性2人も「剱岳」に登られるそうで情報収集。
おかげで「カニのヨコバイ」の最初の1歩の出し方が分かりました。
8:30 山菜そば(750円) これを待っていただけで30分以上の高度順応完了です。
「剱岳」方面 特に問題はないようですね。だけど9/5に「剱御前小屋」直下にクマが出たのか。
2ヶ月振りの「立山」。
今日は「剱沢」まで約4時間歩くだけなので、お昼過ぎには着いちゃいます。
時間調整の為、本来は「立山」経由で行けば良いのでしょうが、
今回の第1目標は「剱岳に登る」。
第2目標が「生きて帰る」。
と言う事で無駄に体力は使わず温存しておく事にします。
9:00 寄り道せずに「剱沢」へ向けて出発。
「富山平野」も「富山湾」もその先の「能登半島」までも見えています。
「大日三山」
今年は登る事が出来なかった「浄土山」。また来年来るね。
「剱岳」がチョコッと見えているあの稜線を越えて「剱沢」に向かいます。
さすがに9月ともなれば高山植物もまばら。
ここで「立山」から離れて
「ミクリガイケ」方向へ。
「地獄谷」は今日も元気いっぱいですね。
「ミクリガイケ」 逆さ「立山」もバッチリ!
昔の人が「地獄に見えた」と言うのもうなづけます。
「天然記念物」の「山崎カール」
ここまで来たら「硫黄」の匂いしかしません。
「イワイチョウ」の葉っぱはもう黄色。
ぐるーっと回って「雷鳥荘」へ。
「血の池地獄」 昔はもっと赤かった気がしますが。
「リンドウ」
「シラタマ」ちゃん。
「雷鳥沢キャンプ場」とふさぎ立つような「雷鳥坂」。
キャンプ場も金曜の朝だとガラガラ。
1番下の「称名川」から稜線の「剱御前小屋」まで2時間かけて登ります。
「立山三山」を縦走した時はいつもこの「雷鳥坂」を1時間半下っていました。
下るだけでも大変なのに、登って来る人達の「ヒイヒイハアハア」の声を聞いて、「この坂だけは絶対に登りたくない」とずっと思っていました。
その「雷鳥坂」を今回登らなければいけないとは。
9:37 「雷鳥坂キャンプ場」
キャンプ場までのログ。
ここ最近はこの赤枠の中でテントを張る事が多いです。
正面にバッチリ「立山」が見えますからね。
「称名川」を渡ります。
「称名川」はこの先「ハンノキ滝」になり、下流では「称名滝」になります。
ここから標高差約400mの登りスタート。
日陰があるのは下の方だけ。あとは一切ありません。
長い長い「雷鳥坂」、稜線上の小屋がまったく見えません。
1時間ほど登ってやっと「室堂」と同じくらいの高さに。
登りはまだまだ。
「富山県警」のヘリ「つるぎ」がパトロール中。
この斜面近くの場所では「称名川」から吹き上げて来る涼しい風で助かりました。
でも風が吹くのは午前だけ、昼を過ぎると風はなくなります。
あとどれくらいあるんだ?
登山道は乾いて干からびています。
体も干からびそう。
久しぶりの晴れと明後日からは「台風15号」の接近、そして3連休間近とあって荷上げのヘリは大忙し。
20回以上飛び回っていました。
何回も手を振っていると荷下ろし後に突然の頭上通過。
この真上は通る場所じゃないのに手を振っているとパイロットのサービスでこんな事があります。
真ん中の尾根は「真砂岳」へと続く「大走りコース」。
ここまで来ればあと20分くらいかなぁ?
やっと「剣御前小屋」が見えて来ました。
小屋の下あたりには「イワツメクサ」がまだいっぱい咲いていました。
11:25 「剣御前小屋」に到着。
小屋までのログ。
休憩をしていると小屋の方達が次々と出て来て
「皆さ~ん、ヘリが来ますのでトイレや小屋の陰に隠れて下さい。」
と、すぐにヘリがやって来ました。
「おー、こっちに来るぞ。」
それを写真に収める方々。自分もですが。
この日ドラム缶3本(600kg)を2回荷上げしていました。
長居するつもりはなかったのに「シドニー」在住の50代後半くらいの「日本人」女性とお連れの「オーストラリア」人男女4名に話しかけられました。
なんでも今日は「剱岳」に登ってから「五色ヶ原山荘」まで行くのだとか。
「それは絶対無理。昼から『剱』に登るなんて自殺もんです。」ってゆーと
『じゃあ明日の早朝から登って『五色ヶ原山荘』まで行けますかね?』
「明日の早朝から『剱』に登ってここに戻って来た時の時間は13時ですよ。それから『五色』までは到底無理。」
とかアドバイスしていると30分くらい経っていました。
「まあ、いいっか。あとは下るだけだし。」
とにかく今日の正念場「雷鳥坂」は突破出来ました。
山之介
人気ブログランキング