(フォード直系ディーラーシップ)

(トヨタ直系ディーラーシップ)

(大手中古車専門チェーン店)

(大手中古車専門チェーン店)

(小奇麗な中規模個人中古車販売店)

(街中によくあるタイプの中堅中古車販売店)

(日本人なら100%カモになる怪しい中古車販売店)

(こんなところで中古車を探す日本人のあなたは気が狂ってる?)

 

 さて、私が働いていたのは、一番上の写真にあるようなフォード直系のディーラーシップです。前述しましたが、フォードの新車と全てのメーカーの中古車を売っています。次の写真のトヨタ直系のディーラーシップも同じで、トヨタの新車と全てのメーカーの中古車を売っています。これが、「直系」の意味です。このカテゴリーに入るのが、メーカーの数だけ存在します。

 

 次のカテゴリーが、その次に続く2枚の写真に見られるように、「大手中古車専門店」といわれるものです。新車は売れません。直系ではありませんから、どこのメーカーの新車も取り扱うことができません。その代わり、直系のディーラーシップで中古車を買うより、こちらの方で買った方が、かなり割安です。その代わり、保証とか信用とかの話になると、「お値段相当」すなわち、ディーラーで買うと高いのは、この保証の部分がお値段に入るからです。私が働いていたディーラーシップの場合、中古車でも、10万マイルまでの機能的部分に対する保証と、5千マイル毎のオイルチェンジが最初の1年間は無料とか、そういうサービスが付いてきますが、そんな細かいサービスは、中古車専門店では付いてきません。ストレートに値段が安ければいい、と思うなら、こちらに行く方がいいです。それと、全国チェーン店の場合、近くのチェーン店にない場合、よそのチェーン店にあることが確認できれば、そちらから送ってもらうことができます。大学の図書館の相互貸し出しのサービスみたいです。

 

 個人経営の中古車専門店(次の写真)でも、経営がうまくいっている所は、小奇麗で、それほど「ぼったくり」はありません。20~30年くらいまでは、むちゃなぼったくりをするのが中古車販売店+中古車セールスマンだったので、カーセールスマンに対する既成観念(カーセールスマン=ぼったくりうそつき野郎)ができてしまって、車両販売に関する法律が整えられたいまでもそのイメージを払拭するのは難しいのです。

 

 20~30年前の「ぼったくりうそつき野郎」イメージをこの21世紀に地でいっているのが、最後の2枚の写真に見られるような中古車店です。アメリカ人でも、よほどの「プロの車両販売に従事する商売人」か「ウルトラどケチ(映画『トランスフォーマー』に出てくる主人公のオトン―金持ちの癖に息子の最初の車にはできるだけ金をかけたくないので、一番安い車を探す、という…)」しか入って行かない。「使い捨て」程度の車しか売っていない。責任感ゼロ。保証ゼロ。ロットを出たとたん、あなたは他人。お客ではない。

 

 さて、私の働いていたフォード直系ディーラーシップ、パワーフォードに話を戻します。値段だけから言うと、以下のような車が、最高級車であり、また、人気がある。要するに、フォードのブランド品ですね。

 

(ムスタング系シェルビーコブラ)

(フォードF-150/ラプター)

 

 この2種類は、セールスマンに言わせると純粋な「おもちゃ」なんですが、金持ちはその「おもちゃ」に喜んで10万ドル以上をつぎ込みます。つまり、直系のディーラーシップでは、正にピンからキリまでの新車・中古車を扱っている、ということです。となると、「客層は?」という話になります。そうです。超金持ちから、超貧乏人まで、あらゆる「人種」が客層なわけでありますが、さて、これがどのように本号のタイトルと噛み合ってくるか、いつものように私のユニークな分析を述べてみたいと思います。

 

 年収からすると、パワーフォードの客層は次のように分けられます。(顧客全体に占める割合)

 1.大金持ち(家族全員の合計年収が50万ドルから100万ドル:フォードの場合、これが限度。それ以上の年収があるお客はテスラとか外車のスポーツカーとかの直系ディーラーシップに行く) ― 2%

 2.中金持ち(家族全員の合計年収が10万ドルから40万ドル) ― 3%

 3.小金持ち(家族全員の合計年収がほぼ10万ドル) ― 10%

 4.「自称」上級ミドルクラス(家族全員の合計年収が10万ドル未満) ― 20%

 5.「自称」ミドルクラス(家族全員の合計年収が5万ドルから10万ドル) ― 30%

 6.初期貧困層(家族全員の合計年収が5万ドル未満) ― 30%

 7.中期貧困層(家族全員の合計年収が3万ドル未満) ― 25%

 8.ドツボ出口ナシ貧困層(家族全員の合計年収が1.5万ドル未満) ― 10%

 

 人間性で分けると、次のようになります。なお、『Intelligent』とはIQが100以上、『Idiot』とはIQが100未満をそれぞれ意味します。実際は、もっと細かく分けてもいいのですが、概略さえ分かっていただければよい、という考えで、簡単にしました。 (注:『Asshole』と『Jerk』との違いは「良心が残っているか否か」ということでしたね。前号をご覧ください。)

 

 【『Asshole』の部】 <客層全体の30%>

 1.『Intelligent Asshole』 ― 60%

 2.『Idiot Asshole』 ― 40%

 

 【『Jerk』の部】 <客層全体の50%>

 1.『Intelligent Jerk』 ― 70%

 2.『Idiot Jerk』 ― 30%

 

 【『Saint』の部】 <客層全体の10%>

 1.『Intelligent Saint』 ― 10%

 2.『Non-Intelligent(Idiot) Saint』 ― 90%

 

 【その他の部】 <客層全体の10%>

 1.『Criminal Type(刑務所から今出所してきたとか、ディーラーシップで銃をぶっ放すような…)』 ― 20%

 2.『性格不明』 ― 80%

 

 ということで、直系ディーラーシップとしては、顧客の大半を占める(合計80%)『Asshole』と『Jerk』の相手ができるセールスマンを雇用する必要がある。特に、顧客全体の50%を占め、その中でも、まともなIQを持つ(アメリカ人口全体でいうと少数派でしたね!)『Jerk』を相手にしないといけない(そして交渉に勝たなければいけない)。分かりやすく言えば、高卒(GEDはOK)くらいの学歴を持ち、負けず嫌いで、ジェネラルマネージャーやジェネラルセールスマネージャーの「おだて」に乗りやすく、「にんじんを鼻先にぶら下げられた馬」のように「ボーナス」目指してオフも働き、「超簡単な算数の計算ができること」をお客に自慢できて、『Jerk』の気持ちが分かる(換言すると、セールスマンも『Jerk』な顧客に負けないくらい『Jerk』じゃないとダメ)ような人間じゃないといけないわけです。

 

 ミーティングでジェネラルセールスマネージャーのグレッグがよく言っていました。

 

「学歴がなくても、頑張れば、そこいらの中小企業の社長と同じくらいの収入を得られる。カーセールスマンほどおいしい仕事はない。何もかも忘れて突っ走れ(オレの年収はお前らの売り上げにかかってるんじゃ!黙って必死で働け!)!」

 

 客層の分析ができた今、「直系ディーラーシップのマネジメントの分析は?」という疑問はありませんか?答えは簡単です。ディーラーシップのタイプがどうであれ(直系、中古車専門チェーン、隣の中古車屋、等々)、マネジメントは100%『Asshole』です。賢い皆さんなら、お分かりでしたね?

 

 次回からは、実際に、「『Intelligent Asshole』とはどんなお客?」、「『Idiot Jerk』とはどんなお客?」、等々、個々に実例を挙げてお話したいと思います。乞うご期待!