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中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

続・大映宣伝部 (50) 年賀状の思い出、池上三重子さん「妻の日の愛のかたみに」原作者

2020年06月01日 | 日記

      

  大映映画「妻の日の愛のかたみに」は水郷として名高い福岡県柳川市で、昭和28年ころ

  小学校の教師をしていた池上三重子さんの同名手記を木下恵介・脚色、富本壮吉が監督、

  主演は若尾文子・船越英二という作品でした。柳川は水と白壁に囲まれた美しい町です

  から、ロケは絶対に必要だとなり、私は原作者とロケ報告にはじまり、監督たちとロケ

  ハンに同行したり、柳川市長をはじめ関係先へのご挨拶と地元とのタイアップなどに当

  たりました。

  そして柳川で姿美千子扮する教え子が花嫁姿で川を下って行くシーンからロケが始まり

  ました。ロケは順調に進み、途中で若尾ちゃんを連れて池上さんのお家にお見舞いに行

  ったあたりから、池上さんとの間隔が縮まったような気がします。そして映画が完成、

  柳川市で最初の試写会をやろうと、監督以下俳優も全員揃って再び柳川に入りました。

  もちろん原作者の池上さんもお招きしたのですが、「私はきっと泣くでしょう。その姿

  は人に見られたくない。中島さんお願いだから私一人で見せて」と、私は気持ちよく了

  解しました。池上さん欠席の試写会でも大好評で、悪い夫に描かれるのではないかと心

  配していた元旦那さまもご覧になり、満足ですと涙ぐんでおられ、ホッとしました。

  次の朝は池上三重子さんひとりの試写会です。6人の教え子が担架に乗せて映画館に来

  場。映画が終わってやっぱり彼女は大きな声を上げて一時間ほど泣き続けました。とて

  も良かった、もう泣かないよ有難うと言われて面目をほどこした私に、彼女が「中島さ

  んもう一つお願い、映画のように舟に乗りたい」ここ数年家から出なかった人の願いで

  すから、私は気持よくOK。お弁当を買い、教え子と私も舟に乗りました。約一時間の川

  くだりが終わったら、彼女が「中島さん、もう一つ私の望みを叶えて・・・と」それは映画

  のラストシーンに使った"柳川市沖の端干拓の海の夕日"を私にも見せて・・・でした。一日

  中、赤ん坊のように喜ぶ彼女を見て、私もどんなに嬉しかったか。これこそ宣伝屋冥利と

  今でも思っています。池上さんとの交流は彼女が亡くなるまで続きました。毎年のように

  頂いた私への年賀状は、動かない手・指を使って書かれたもので、私の宝物の一枚です。

      

   

      

 

 

 

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