「あめふり」「ペチカ」「この道」など多くの童謡を残した詩人・北原白秋の波乱に満ちた
半生を、音楽家・山田耕筰との友情とともに描いていくヒューマンドラマです。
天賦の才を持ちながら、酒におぼれ、隣家の人妻に手を出して姦通罪で入獄するなど、
自由奔放な天才詩人・北原白秋。ドイツ留学を経て、日本初の交響楽団を結成した生
まじめな性格の秀才音楽家・山田耕筰。性格も生き方も異なるこの2人が、衝突をしな
がらも当時起こった関東大震災の被害で意気消沈する子どもたちを元気づけるため、
数々の童謡を世に送り出します。しかし、時勢は戦時下へと突入し、2人は子どもたちを
戦場へ送り出すための軍歌を作ることを命ぜられることに・・・。
北原白秋を大森南朋、山田耕筰をEXILE AKIRAが演じ、貫地谷しほり、松元若菜などが
出演、「陽はまた昇る」「半落ち」なとの佐々部清監督がメガホンをとっています。
この映画を見てから5日が経ちますが、いつの間にかこの映画に出てくる童謡を口ずさ
んでいるにの気が付くこと往々です。それほど私の脳裏に入り込んだという印象です。
まず題材がいいし、佐々部監督は今の時代に珍しいくらい正攻法の演出をされる人な
ので非常に好感を持っているかが、こう言った分野の見直し作として大いに啓蒙の役を
果たしているとは思います。ただ脚本が不備で、全体的にやや厚みが欠けているのが
残念です。白秋が何をやらかしても憎めない人間である表現にも物足りませんし、もっと
捨てる挿話と入れなくてはならない挿話があると思いますが、帰するところは脚本の不
備ということになります。色々と書きましたが、どんなことがあってもこの監督は好きです。
次回作を心待ちしています。