Fish On The Boat

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『詩のこころを読む』

2020-08-09 22:35:09 | 読書。
読書。
『詩のこころを読む』 茨木のり子
を読んだ。

なんておもしろく詩を読める本だこと!

詩人の著者が、
「生まれて」
「恋唄」
「生きるじたばた」
「峠」
「別れ」
の5つのカテゴリーに分けて選んで、
いろいろな詩人の現代詩を教えてくれます。
この5つのカテゴリー自体が、ひとつの人生の流れでもあります。

詩は、感情や感性のもの。
散文は論理を積み重ねていきますが、
そうやって分析することができないものを、
詩人は、詩として表現する。

だから、
読んでみて浮かぶ感想ははっきりした言葉にならず、
大かたは、
「ああっ」
だとか
「はああっ」
だとか、
「そうなんだよ!」
だとかの感嘆や納得の気持ちが多い。

あるいは、詩は自分の内部に埋もれている感覚や感情や記憶を
呼び起こすトリガーになったりもするでしょう。

詩でこそ開いていける、というところがある。
社会に対してだってそうだし、
人間理解だってそうだし、
世の中そのものだって、過去や未来や宇宙にだってそうなんだなと
今回、本書を読んでそう思いました。

繊細だけれど力強くもあり、
まあるくなってそうで、とがってもいる。
体内を流れる血であり、流れ出た血でもある。

何を書いているかはっきりはからないから苦手、という人は多くいそうです。
僕だって、ずっとそうでした。
言葉の遊戯、言葉のパズル、言葉のコラージュなんだろう、
と決めつけたこともあります。
そういった面は、技術としてあるのでしょうが、
詩が発現してくる源に目を凝らしてみると、
また考えが改まります。

本書は、著者・茨木のり子さんの解きほぐし方が、
丁寧だし、いろいろと察してもいるし、
大事に詩を扱っているし、
言葉がわかりやすいしで、
詩にひたる経験がしたい! 
という人にはうってつけの本でした。

教科書で詩を読んだし、国語の授業で作ったことだってあるけれど、
いまいちよくわからないんだよなあ、という人にはもっと推奨したい本です。
子どもにも大人にもおすすめでした。


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