レミケード®の標的撃 TNFとは? | 潰瘍性大腸炎 & クローン病&過敏性腸症候群の改善・完治・根治

潰瘍性大腸炎 & クローン病&過敏性腸症候群の改善・完治・根治

                               ★ 仲間同士の情報交換サイト! ★

◆ TNFは、がんをやっつける。でも、がんを育てる
100年以上前、外科医コーリーは、がん患者が、細菌感染した時、がんが自然に治っていくことを発見しました。

長い年月が流れ、1975年に、細菌に感染した患者の血液の中に、がん末期の患者の血液の中に見られる悪液質の原因物質と同じ働きをする物質を発見しました。
がん細胞を壊してがんを治すると考えた研究者は、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)と名づけました。TNFとも呼ばれます。

このように当初は、TNFは、がんの治療に使えると考えられて今shチア。ところがどっこい。その後、がん細胞を作る働きもあることがわかったのです。つまり、両刃の剣。いったいどんなタイミングで、善から悪に変換するのか、まだわかっていません。

◆ マクロファージが、TNFを作る
TNFは、白血球のマクロファージなどが作り出します。細胞たちに指令を与える信号の働きがあります。

マクロファージは、潰瘍性大腸炎とクローン病の炎症についての説明があるとき、必ず登場します。正義の味方なはずなのに、なぜか悪党に変身。本来はあり得ないことです。

 

◆ TNFは、善と悪の両方の働きをする

TNFは、良い作用と悪い作用のふたつを引き起こします。

 

◎良い作用
1) 使用済み、期限切れの細胞が、いつまでも残っていると、邪魔になります。そこで、不要の細胞は、清くも自ら爆発し、若い細胞に場を譲ります。不要の細胞が、未練たらしく爆発し身を引かないと、粗大ごみは増える一方です。そこで、不要の細胞に、爆発を促す信号をマクロファージが送ります。この信号が、TNFです。

2) 細胞の中に、炎症を起こさせる信号を発する種類があります。マクロファージがばらまくTNFには、この細胞が張り切り過ぎないよう、おとなしくさせる働きがあります。

3)壊れたり古くなった血管細胞に替わり、新しい血管細胞が作られるとき、TNFは周りの細胞を刺激して、増産を促進します。

4)細胞が、危機に瀕した時、保護する働きをします。

 

◎悪い作用
TNFは、炎症を激しく引き起こす物質を排出します。ほどほどに排出してくれれば、細胞に熱を出させて、病原菌やウイルスの働きを弱めたり、血管を膨らませて広い場所を作ます。すると、大量の白血球を集まることができ、敵との戦いに有利になります。
一方、TNFが異常に多すぎると、潰瘍性大腸炎やクローン病、リウマチの炎症につながります。

なぜマクロファージが、必要以上のTNFを生産してしまうのか、原因はわかっていません。マクロファージに、「TNFを作るな!」と命令することができれば、良いのですが、手がありません。

 

◆ レミケード®の役割

研究者は、作られてしまった大量のTNFが、働けなくなるよう、ぺたぺたとお札を貼ることにしました。

 

このお札は、マウスのDNAを利用して作った生産工場細胞で作られ、霧となってばらまかれます。

霧の粒のひとつひとつは、Y字型をしています。これがレミケード®です。働きは、主にみっつあります。

 

1) TFNは、マクロファージから排出されたあと、ふわふわ飛び回っているTNFに貼りつき、動きを阻止する。

 

 

レミケード®を点滴中した場合 図の中のYはレミケードの成分

 

 

 

 

2) TNFが、ある白血球に貼りつくと、外敵をやっつけるためのシステムが稼働する。→善。でも、稼働しすぎると、炎症を起こす→悪。そこで、白血球に貼りついたTNFをばりばりと引きはがし、炎症を起こさせないようにする。

3) TNFがマクロファージの元をなかなか離れないと、製造元であるマクロファージを壊し始める。潰瘍性大腸炎の場合、マクロファージの数は少ないほうが炎症しにくい。このため、レミケード®は、TNFがマクロファージから離れないようさせ、壊してしまうよう仕向けます。


*図は、ステラーラ.jpから拝借改良

 

◆ あなたのからだは、レミケード®が外部者だと、いつ見破るか?


レミケード®は、マウスのDNAを利用し作られます。一部ですが、その配列を持っているため、からだが、「これは、わたしのからだの中で作られたものではない!」と気がつき、攻撃を仕掛けてきます。
気がつくのは、使い始めてすぐだったり、数か月後、あるいは、数年後だったりします。
このため、レミケード®の量を減らしたり、点滴注の時期を変えたりして、血液の中の濃度を落とします。
または、膠原病まがいの変化を引き起こさないように、レミケード®の働きを抑えるため、イムラン®やロイケリン®などを併用します。


****************
参考文献:
ステラーラ.jp