小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

イエス・キリスト物語・第4話(小説)

2020-09-23 03:51:31 | 小説
「イエス・キリスト物語・第4話」

という小説を書きました。

ホームページ、「浅野浩二のHPの目次その2」

http://www5f.biglobe.ne.jp/~asanokouji/mokuji2.html

に、アップしましたので、よろしかったらご覧ください。

(原稿用紙換算48枚)

170作目

「イエス・キリスト物語・第4話」

イエスは、パレスチナのヨルダン川西岸地区南部のベツレヘムという所の馬小屋で生まれました。
そして、ガリラヤ湖の西にある、ナザレという土地で、幼少期を過ごしました。
父親は、ヨセフという大工で、母親は、マリア、という女性です。
人間は、男と女の、セックスによって、生まれてくるはずですが、イエスは、なぜか、セックスによらずに、生まれました。
イエス・キリスト、は、子供の頃から、非常に賢い子でした。
IQは、300以上、あったと推測さています。
そして、大人になると、荒野で、40日間、断食して、その時、悪魔の質問を、全部、論破しました。
イエス・キリストは、ユダヤ教の排他的できびしい教えを批判しました。
そして、「汝の敵を愛し、汝を迫害する者のために祈れ」、という、博愛の教えを、説きました。
こうした宣教によって、イエスのまわりにはしだいに弟子が増えていきました。
ガリラヤ湖で漁師をしていたペテロやヤコブ・ヨハネ兄弟、徴税人だったマタイ、そしてユダなどです。
かれらはイエスとともにガリラヤ湖周辺をまわり、ときにエルサレムまで足をのばしました。
そしてイエスが社会的弱者によりそったり、教えを説いたりするのを間近で見ていきました。
そして、目が見えない、人の目を見えるようにしたり、ラザロ、という死人を蘇らせたり、湖の上を歩いたり、と、様々な、奇跡を起こしました。
しかし、ユダヤ教のサドカイ派とパリサイ派の人々は、イエス、を、嫌いました。
なぜなら、どちらの宗派もローマ支配下で指導的立場にあったので、もし、イエスの教えを認めると、ローマから責任をとらされて、指導的立場を追放されるかもしれない、からです。
つまりかれらは、既得権益を失うのがこわかったのです。
彼らは、イエスを捕まえて、殺そうという、計画を立てました。
イエスは、自分が、殺される、ことを、知っていました。
なぜなら、イエスは、預言者で、将来、起こる事を知っていたからです。
なので、ユダが裏切ることも、知っていましたし、ペテロに対しても、「あなたは鶏が三度、鳴く前に、私を知らない、と言うだろう」、と、予言しました。
そして、その通り、イエスの弟子の一人である、ユダの、裏切りによって、イエスは、捕まえられてしまいました。
キリストは、大祭司カヤパの所に連れて行かれました。
カヤパは、ローマ皇帝から、派遣された、ポンテオ・ピラト総督、の元に、イエス、を送りました。
ピラト総督は、イエス、が、ガリラヤ人であることから、ガリラヤの国主ヘロデ王の元に、送りました。
ヘロデ王は、イエス、が、何も答えないので、ピラト総督の元に、送り返しました。
ピラト総督は、キリスト、を、
「この男は、それほどの罪を犯したとは思えない。鞭打ち、の罰くらいで、釈放してやるのが、適当であると思う」
と言って、イエスを、ムチ打ちました。
そして、イエス、を、釈放しようとしました。
しかし、群衆は、キリスト、を、「十字架につけろ」、と、叫びました。
群衆の、怒りは、激しいものでした。
ピラト総督は、群衆が、暴動を、起こすのを、おそれました。
ピラト総督は、どうしたらいいのか、わからず、とりあえず、キリスト、を、牢獄に、閉じ込めました。
イエス・キリスト、の12弟子は、キリスト、の身を案じました。
12弟子の一人、マタイ、が、牢獄の、キリスト、を見舞いました。
「私は、群衆によって、十字架に磔にされて、殺されるだろう」
と、キリスト、は、言いました。
キリスト、は、預言者なので、将来、起こることが、わかるのです。
マタイは、敬愛する、キリスト、が、このままでは、殺される、ことを、知って、おそれました。
そこで、マタイ、は、キリスト、を、国外脱出させようと、しました。
マタイは、密かに、イエス・キリストの、パスポートを取得して、イエス・キリスト、を、夜中、イスラエル発、日本行きの飛行機、JAL365便で、日本に、脱出させました。
マタイも、キリスト、に同行しました。
・・・・・・・・・・・
キリスト、は、日本で、大歓迎を受けました。
カトリック、プロテスタントの区別なく、インマヌエル教会、はじめ、エホバの証人、モルモン教、など、日本の、キリスト教信者に、絶大に、歓迎されました。
キリストは、日本全国の、教会を回って、博愛の教え、を、説きました。
それまで、キリスト教を信じていなかった、無神論者も、キリストの、教えに感銘を受け出しました。
・・・・・・・・・・
その頃、日本では、自民党、公明党、の連立与党が、政官財、癒着の、腐敗した政治を、1955年から、続けていました。
「先生。どうか、今度の衆議院選挙では、立候補して、日本の政治を良くして下さい」
日本中の、牧師が、イエス・キリスト、に、頼みました。
「わかりました。そうしましょう」
キリストは、彼らの熱烈な要望を引き受けました。
日本で、立候補するには、日本国籍を取得していることが、必要ですが、キリストは、日本国籍を取得するための条件。
住宅条件・国籍法第5条、
「引き続き5年以上日本に住所を有すること」
能力条件、
国籍法第5条、
「二十歳以上で本国法によって行為能力を有すること」
能力条件、
国籍法第5条、
「二十歳以上で本国法によって行為能力を有すること」
素行条件、
国籍法第5条、
「素行が善良であること」
生計条件、
国籍法第5条、
「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること」
などを、満たしていましたから、法務省も、イエス・キリストの日本国籍、取得を許可しようと、していました。
・・・・・・・・・・
しかし、これを、聞いた、自民党、公明党、は、あせりにあせりました。
なぜなら、イエス・キリストの支持者は、日本国民の半分以上に、ふくらんでいましたから、解散総選挙を、したら、自民党、の、議席数が、極度に減ってしまい、野党が、議席を大幅に、増やし、政権交代して、与党になり、イエス・キリスト、が、総理大臣になってしまう可能性が高いと判断したからです。
そこで、自民党、そして、安倍政権は、急いで、法務省に、命令して、キリストの、日本国籍取得を禁じました。
さらに、安倍政権は、検察に命じて、キリストを、共謀罪で、逮捕しようとしました。
日本の、キリスト教信者たちによって、イエス・キリスト、を、イスラエル大使館に、逃げ込ませようと、しましまた。
その時には、キリスト、は、まだ、日本国籍を取得していませんでしたから。
キリストが、イスラエル大使館、に、入ろうとした、まさにその時です。
東京地検特捜部が、キリスト、を、共謀罪、で、捕まえました。
強引な、でっちあげ、の国策逮捕です。
キリスト、は、東京拘置所に入れられました。
・・・・・・・
数日後。
政権与党の自民党、は、イエス・キリスト、の証人喚問を、求めました。
野党も、これには、反対せず、全会一致で、イエス・キリスト、の証人喚問が行われることが、決まりました。
・・・・・・・・・
証人喚問は、令和元年9月20日に行われました。
キリスト、の補佐人には、冤罪弁護士の今村核、が、つきました。
・・・・・・・・・・
委員長「ただいまから予算委員会を開会いたします。予算の執行において、イエス・キリスト君に関しまして、様々な疑義がありますので、証人喚問を行います。証言を求めるのに、先立ち、申し上げます。証人には、宣誓を求めることとなっております。証言を拒むことの出来る場合は、議院証言法第4条、に基づきまして、次の場合に、限られております。これから述べる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある場合は、議院証言法第4条第1項、により、証言を拒むことが出来ます。これは、日本国憲法第38条の、自己負罪拒否特権・証言拒絶権、の観点から認められます。
1.証人自身。
2.証人の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は証人とこれらの親族関係があった者。
3.証人の後見人、後見監督人又は保佐人。
4.証人を後見人、後見監督人又は保佐人とする者。
証人が以下の職にある場合、又はこれらの職にあった場合は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものである時。ただし、本人が承諾した場合は拒否できません。これは刑法ほか、各種法令上の守秘義務の観点から認められています。
1.医師。
2.歯科医師。
3.薬剤師。
4.助産師。
5.看護師。
6.弁護士(外国法事務弁護士を含みます)。
7.弁理士。
8.公証人。
なお、証人は以上の事由により宣誓や証言を拒むときは、その事由を示さなければなりません。ただ、本人が承諾した場合は、この限りではありません。正当の理由なく証人が出頭・宣誓・証言を拒否したものと認められるときは、証人喚問を行った委員会等は議院証言法第8条の規定により告発を行うことが出来ます。正当の理由なく証人が出頭・宣誓・証言を拒否した時には、議院証言法第7条第1項、に基づきまして、1年以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処せられます。また、宣誓した証人が虚偽の、証人が虚偽の陳述をした時には、議院証言法第6条第1項、に基づきまして、3月以上10年以下の懲役に処せられることになっております。なお、今回の証人喚問にあたり理事会の決定事項については、すでに証人には、文書をもって、お知らせした通りでありますが、この際、その主要な点について、申し上げておきます。
第一点は。
証人は補佐人に助言を求めることができますが。
証人が補佐人の助言を求めたい場合には、その都度、委員長の許可を得て助言を求めなくてはなりません。
なお、補佐人自身が発言することや補佐人の側から証人に助言することは認められていません。
第二点。
資料の利用について、でありますが。
本日は、証人は、資料の申し入れがありません。
よって、証人は、資料を利用しては、いけません。
第三点。
メモの筆記について、であります。
証人は尋問の項目程度であればメモをとることが、出来ます。
なお、補佐人は自由にメモを取ることが出来ます。
以上の点を、十分、ご理解ください。
証人の、宣誓、証言における、撮影、録音につきましては、第五条7の規定につきまして、委員長が証人の意見を聞いた上で、委員会にはかり、これを、決定することとなっております。本日の委員会における証人の、撮影、録音につきましては、証人の、受託がなされました。これを受け、理事会で、協議いたしました結果、本日の、証人の、宣誓、証言、の撮影、録音は、許可することに意見が一致いたしました。
まず、委員長から、確認をさせて頂きます」
委員長「あなたは、イエス・キリスト、君、御本人ですか?」
イエス・キリスト「はい。そうであります」
委員長「本日の証人の宣誓、および、証言、を、撮影、録音、することに、御異議ございませんか?」
議員全員「異議なし」
委員長「御異議ないと認めます」
委員長「それでは、法律の定める所により、証人に、宣誓を求めます。全員、御起立を願います」
全員、起立した。
委員長「イエスキリスト君。宣誓書を、朗読して下さい」
イエス・キリスト「宣誓書。令和元年9月20日。良心に従って真実を述べ何事も隠さず、また、何事も付け加えないことを誓います。証人、イエス・キリスト」
委員長「着席ください」
全員、着席した。
委員長「証人は、宣誓書に、署名、捺印して下さい」
イエスキリスト、が、宣誓書に、署名、捺印した。
委員長「それでは、これから、証言を求めることと、致し、証人は、御発言を求められた事項の範囲を、超えてはなりません。そして、御発言の際は、その都度、委員長の許可を求めてから、御発言ください。おな、質問を受けている時は、御着席のままで、結構ですが、御発言の時は、起立して御発言を、お願いいたします。この際、各委員に申し上げます。本日は、申し上げの時間内で、質疑、応答、致しますので不規則発言や、議事進行を妨げる、言動の無いよう、特に、御協力をお願い申し上げます。それでは、イエス・キリスト君に対して、質疑のある方は、順次、御発言、願います」
自民党の西田昌司が質問席に着きました。
西田昌司「自由民主党の西田昌司です。まず、お聞きしたい。あなたの、お父さんは、ヨセフ、という大工で、お母さんは、マリア、という女性なのですね?」
キリスト「その通りでございます」
西田昌司「あなたは、処女懐胎、つまり、マリア、と、ヨセフ、は、性行為なしに、あなた、を、産んだ、と、あなたは、は、言っている。マリア、は、処女、のまま、あなた、を産んだ、と言っている。それで、間違いないのですね?」
キリスト「その通りでございます」
人間が性行為なしで産まれてくるわけ、ないだろー、と、自民党から野次が飛んだ。
委員長「御静粛に願います」
西田昌司「私は、人間が、性行為なしに、産まれてくる、ということは、あり得ない、と思っています。これは、医学的にも、証明されています。私は、あなたが、ウソを言っている、としか、思えない。それについて、あなたの、意見を、お聞きしたい」
キリスト、は、後ろに控えている、補佐人の今村核に相談した。
キリスト「その点に関しましては、刑事訴追のおそれがありますので、答弁は、控えさせて頂きたいと思います」
西田昌司「あなたは、湖の上を歩いた、と、聖書には、書かれている。マタイ伝14章22節、マルコ伝6章45節、ヨハネ6伝15節、に、書かれてある。私は、人間が、水の上を歩くのは、物理的に不可能だと思います。これは、ウソなんじゃないでしょうか?」
キリスト、は、後ろを振り返って補佐人の、今村核に相談しました。
キリスト「その点に関しましては、刑事訴追のおそれがありますので、答弁は、控えさせて頂きたいと思います」
西田昌司「あなたは、ガリラヤのカナでの婚礼で、六つの水がめに入った水をぶどう酒に変えた、と言っている。ヨハネ伝2章1節に、書かれている。一体、水をぶどう酒に変える、なんてことが、出来るものでしょうか?これは、ウソなんじゃないでしょうか?」
キリスト「その点に関しましては、刑事訴追のおそれがありますので、答弁は、控えさせて頂きたいと思います」
西田昌司「あなたは、五つのパンと二匹の魚を、増やし五千人の人々に食べさせた、と、書いてある。マタイ 伝1章13節、マルコ伝 6章30節、ルカ伝9章10節、ヨハネ伝6章1節、に、書かれている。私は、そんな事は、不可能だと確信している。これは、ウソなんじゃないでしょうか?それとも、あらかじめ、たくさんの、パンと魚を用意していたんじゃないでしょうか?私には、そうとしか、思えない。証人の意見を聞きたい」
キリスト「その点に関しましては、刑事訴追のおそれがありますので、答弁は、控えさせて頂きたいと思います」
西田昌司「あなたは、ガリラヤでおびただしい民衆の病気、苦しみ、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、あらゆる病人が癒やした、と書いてある。マタイ伝24章23節、ルカ伝6章17節に、書かれてある。病気は、気から、と言いますからね。精神的な暗示によって、病気が治る、ということも、あり得ない、とは、言い切れない、と私は思っています。しかし、あなたは、死んで、4日、経ち、土葬されている、ラザロ、という死人を、生き返らせた、と、書いてある。ヨハネ伝11章43節、に、書かれてある。私は、いくらなんでも、死人を、生き返らせる、などということは、あり得ない、と確信しています。これは、ウソなんじゃないでしょうか?」
キリスト「その点に関しましては、刑事訴追のおそれがありますので、答弁は、控えさせて頂きたいと思います」
西田昌司「あなたは、私の質問に、対して、全て、刑事訴追のおそれがあるので、答えない、と言っているが、それが、すでに答えになっているじゃないですか。つまり、たとえば、(死人を生き返らせました)、と言ったら、偽証罪になるから、答えられないんじゃないですか。まあいいですよ。それでは、次の質問にうつりたい、と思います。あなたは、(平和ではなく剣を。私がこの地上に来たのは平和をもたらすためではない。私が来たのは平和をもたらすために来たのではなく、剣をもたらすために来たのである。私は人々をなかたがいさせるために来たのである。私は人々を敵対させるためにきたのである。こうして、自分の家族の者が敵となる。親と子は敵対し、兄弟は離反する)、と、マタイ伝10章34節、に書いてある。ルカ伝10章34節にも、全く同じことが書いてある。これは、間違いなく、あなたの発言なのですね?」
キリスト「間違いございません」
西田昌司「我々、自民党は、安保法制による積極的平和主義で、平和を保とうとしている。あなたは、それでも宗教者なのですか?宗教者とは、平和を求める者なのではないですか?」
キリスト「その通りです。私は、救い主です」
西田昌司「では、あなたの、この発言の意味をうかがいたい」
キリスト「私は、(彼らは、見ても見ようとせず、聞いても聞こうとせず、理解できないからである)、と言っています。また、失礼だが、私は、(豚に真珠を与えるな)、とも言っている。これが、私が、あなたに、答弁しない理由です。旧約聖書にも、まず、最初に、(言葉は神なりき)、とあります。つまり、私は、喩え、で、弟子たちに、私の思想を伝えてきましたが、その意図は、私の言葉を、(よほど、聡明な人間でないかぎり)、自分の都合のいいように、解釈して、利用する危険があるからなのです」
西田昌司「豚とは、私のことですか?」
キリスト「失礼ですが、そうです。あなた、および、自民党議員、全員がそうです」
西田昌司「ともかく、こういう、危険な思想を持った人間は、破壊活動防止法の適応になると、思います。では、続けて質問します。あなたは、(わたしが暗やみであなたがたに話すことを、明るみで言え。耳にささやかれたことを、屋根の上で言いひろめよ)、と弟子たちに言っている。マタイ伝10章27節、に書かれている。このことに、間違いありませんね?」
キリスト「間違いございません」
西田昌司「私は、これは、非常に、卑怯な事だと思います。自分は、語らずに、弟子たちに、自分の思想を語らせる、というのは。この意味をお伺いしたい」
キリスト「私は、マタイ伝10章16節、で、弟子たちに、(迫害を予告する)、と言っています。だから、弟子たちに、(蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい)、と言っています。そして、(一つの町で迫害された時は、他の町へ逃げなさい)、と言っている」
西田昌司「私には、どうしても、あなたは、自分の身は、安全にして、弟子たちを、危険にさらそうとしている、ように、思います。この点に関し、あなたの意見をうかがいたい」
キリスト「私は、マタイ伝5章10節で、(義のために迫害される人々は、幸いである。天国はその人たちのものである)、と言っている。あなたは、この世での、生命、や、財産、が、保障されることだけが、幸福だと思っているようだが、私の思想は、そうではありません。人間の精神的な幸福のことを、私は言っているのです。西田委員は、誤解しているようだが、私は、自分の思想を、自分の口で、多くの人に語ってきました。私は、預言者であり、私は、私自身も、迫害される運命にあることを、知っています。私は、決して、自分の身の安全だけ、守ろうと思ったことは、ありません」
西田昌司「あなたは、奇跡を起こせるんですね?」
キリスト「その通りです」
西田昌司「では、実際に、13階建ての、ビルの屋上から、飛び降りて下さい。あなたが、アスファルトの道路に叩きつけられる前に、天使たちが、あなたを、手で支えてくれるはずです?そうしたら、私も、あなたの奇跡を信じますよ」
キリスト「聖書には、『主なる神を試みてはならない』、と、書いてある」
西田昌司「全く納得いかないが、一応、これで、私の質問を終わりにします」
委員長「これをもちまして、イエス・キリスト君に対する証人喚問の午前の部を終了と致します。引き続き、1時から、イエス・キリスト君に対する証人喚問の午前の部を開始、致します。みなさん。御退席ください」
国会議員たちは、ゾロゾロと、国会を出ていきました。
・・・・・・・・・・
昼食では、安倍総理が、与党の、自民党、公明党、の議員、全員を、高級料亭に連れていきました。
しかし、野党議員は、ある弁当の仕出し屋、に、弁当を、注文していました。
しかし、注文先の弁当の仕出し屋、から、出している、弁当に、食中毒が発生しました。
そのため、野党議員たちは、昼食を食べることが、出来なくなりました。
共産党委員長の志位和夫が、
「イエス・キリストさん。証人喚問は疲れたでしょう。午後も証人喚問があります。腹が減っては戦が出来ません。私は、パン、と、魚、の粗末な昼食を持っています。どうぞ、食べて下さい」
と言って、自分の弁当を、イエス・キリスト、に差し出しました。
「志位さん。ありがとう」
キリスト、は、それを受け取ると、天を仰いで、一心に祈りました。
すると、一つの、パン、と、魚、が、見る見るうちに、大量に増え、野党議員、全員分の昼食になるほどになりました。
「この方は本当に奇跡を起こせる方だ」
と、野党議員たちは、あらためて、イエス・キリスト、に感銘をうけました。
午後の証人喚問が始まりました。
質疑者は、共産党の小池晃氏でした。
委員長「では、午前に引き続きまして、イエス・キリスト君の、証人喚問の午後の部を行います。では、小池晃君」
小池晃「日本共産党の小池晃です。自民党は、あなたの行った奇跡について、さかんに、医学的、物理的、に不可能、だと、あなたに、詰め寄っていますが、我々、共産党は違います。イエス・キリストさん。我々は、あなたの、行った、と言っている奇跡について、ムキになって、問い質すつもりは、ありません。なぜなら、我々、共産党は、あなたを、立派な人だと思っているからです。我々、共産党は、イエス・キリストさん、と、すでに、何度も話し合って、あなたの、考えは、知っています。我々、日本共産党は、科学的社会主義の立場で、世界平和、平等、福祉、人権尊重、など、を主張し、イエス・キリストさんと、目指す、思想の方向性は、同じであると思っています。しかし、自民党が、圧倒的多数の数の力で、あなたを、証人喚問の場に、引きずり出したのですから、この際、あなたの思想を、日本国民に、話すいい機会でも、あると、思います。どうか、あなたの思想の、趣旨を、述べて下さい」
キリスト「今、小池委員が、述べられたように、私の、思想は、世界平和、平等、福祉、人権尊重、など、の実現であり、共産党の目指す思想と、ほとんど、違いがない、と思っております」
小池晃「あなたは、(平和ではなく剣を)、と、述べられておられるが、これは、戦争を肯定する、ということでしょうか?」
キリスト「いえ。そのような意図では全くありません」
小池晃「あなたは、集団的自衛権を認める、安保法制に賛成ですか、反対ですか?」
キリスト「反対です」
小池晃「その根拠を示して頂きたい」
キリスト「私は、(汝の敵を愛し、汝を憎む者のために祈れ)、と、言っており、また、(右の頬を打たれたら左の頬をも差し出せ)、と言っております。これが、私の思想信条であります」
小池晃「わかりました。では、もう一つ、うかがいたい。あなたは、(持てる者はますます持って豊かになり、持たぬ者は、その持てる者をも盗られるべし)と、言っている。これは、新自由主義の肯定ですか?あなたは、格差拡大を肯定する考えですか?」
キリスト「違います。これは、心の聡明さ、のことです。聡明な、人間は、何事においても、主の御心を、どんどん、理解して賢くなっていきますが、心が邪悪な人間は、自分の都合のいいように、物事を解釈するので、何事にも、どんどん、主の御心から離れて愚か者になっていく、ということです。また、私は、マタイ伝19章24節で、(金持ちが天国に入るのは駱駝が針の穴を通るより難しい)、と説いています」
小池晃「わかりました。では次に、あなたは、(あなた達はただはっきり『はい』とか、『いいえ』とだけ言え。これ以上は悪魔が言わせるのである)、と言っている。マタイ伝5章37節に書かれている。日本では、言論の自由が認められている。あなたは、個人が自分の意見を言う事に反対なのですか?」
キリスト「これは、人との対話に対する時の、答え、のことです。人が、質問してきたら、自分の考えは、(はい)、か、(いいえ)、のどちらかを、しっかり、明瞭に言いなさい、ということです」
小池晃「わかりました。これは、まさに、国会での、安倍政権の答弁、でいえることですね。安倍内閣は、野党の質問に対し、はぐらかして質問と関係ないことを長々と言って時間を浪費するか、同じことを繰り返すか、抽象論で誤魔化すか、答弁を控える、と言って答えないか、の、どれかで、まともに、(はい)、か、(いいえ)、のどちらか、で、答えたことが、一度もない。では、次に、あなたは、マタイ伝5章27節、で、(だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである)、と、述べられている。これが、あなたの思想であることに間違いありませんね?」
キリスト「間違いございません」
小池晃「これは、情欲のことでだけ、述べられていますが、あなたは、全ての、ことにおいても、心の中で悪いことを、思っただけで、それが罪になる、という思想なのですか?」
キリスト「はい。そうです」
小池晃「私は、これは、ちょっと、行き過ぎなのではないかと思います。これは、自民党が強行採決した、共謀罪、と同じだと思います。我々は、自民党が強行採決した、共謀罪、に反対の立場です。この点に関して、あなたの、意見をうかがいたい」
キリスト「私は、確かに、(だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである)、と、言っています。そして、それは、すべての事柄についても、同様です。しかし、私の本意は、(情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたようなものである)、という戒めの意味です。私は、その者を、罰するべきだ、とか、ゲヘナに落ちる、とまでは、言っていません。聖書のどこを、見ても、そんなことは、書かれていません。そして、私は、共謀罪、に関しては、反対の立場です」
小池晃「わかりました。今まで、わからなかった事がわかりました」
委員長「時間となりましたので、これをもちまして、イエス・キリスト君に対する、証人喚問は終了と致します。どうぞ、御退席ください」
・・・・・・・・・・
議員たちは、ゾロゾロと国会を退席していった。
「全く、詭弁だらけだよな」
「奇跡なんて、ウソに決まっているのに」
「あいつは、大ウソつきだ」
などと、自民党員たちは、ブツブツと、不満げに、言いながら、国会を出ていきました。
・・・・・・・・
イエス・キリスト、は、令和新撰組の山本太郎代表のように、各地を回って、主の教え、を説いていきました。
そして、各地で、多くの、不治の病人が、
「主よ。どうか、私をお助け下さい」
と、イエス・キリスト、に、すがりつきました。
イエス・キリスト、は、
「さあ。立って歩きなさい。あなたの信仰が、あなたを救ったのです」
と言いました。
すると、足が不自由な患者は、立って歩けるようになり、目が見えなかった盲人は、目が見えるようになりました。
実際に、イエス・キリスト、が、奇跡を起こしたので、多くの人が、キリストを信奉するように、なりました。
政党支持率も、各紙の世論調査で、
イエス・キリスト党80%、共産党8%、立憲民主党2%、令和新撰組5%、公明党5%、自由民主党0.1%、と、圧倒的に、イエス・キリスト党が、支持率を伸ばしていました。
自民党は、あせり出しました。
このままでは、次期、衆議院の解散総選挙では、イエス・キリスト党、および、共産党、立憲民主党、などの、連立政権が、誕生して、政権交代が、起こるのは、明らかだからです。
そこで、安倍晋三は、内閣人事局に、命令して、安倍晋三のイエスマンである、黒川弘務検事長を、定年延長する法案を、強行採決して、黒川弘務検事長を、検事総長に任命しました。
黒川拡務が検事総長に就任した翌日です。
イエス・キリストの所に、黒いスーツの男たちが、数人、やって来ました。
そして、イエス・キリスト、の前に、仁王のように立って、背広の内ポケットから、紙切れ、を取り出して、イエス・キリスト、に見せつけました。
「イエス・キリスト。お前を、民衆扇動罪、破防法違反、偽証罪、容疑で逮捕する」
と言いました。
彼らは、東京地検特捜部の検事たちでした。
「わかりました」
そう言って、イエス・キリスト、は、東京地検特捜部へ連行され、東京拘置所に入れられました。
日本国民は、
「これは、明らかに、自民党に都合の悪い、イエス・キリスト、を捕まえるための、冤罪、国策捜査だ」
と、言いました。
安倍晋三は、東京地検特捜部に、加計学園卒の、検察官を、多数、送り込んでいました。
イエス・キリスト、の第一審の裁判が行われました。
検察は、イエス・キリスト、を、民衆扇動罪、破防法違反、偽証罪、で、死刑を求刑しました。
キリストの弁護人である、今村核は、キリストに、控訴するよう、勧めました。
しかし、イエス・キリスト、は、控訴しませんでした。
なぜなら、裁判長も、内閣人事局によって、安倍晋三のイエスマンである、裁判長が任命されていたからです。
あまりの、自民党の卑劣さに、自民党を離党する議員が出始めました。
安倍晋三はあせりました。
それで、まだ、自民党、公明党、の連立与党で、衆議院で、2/3の議席、参議院で、過半数の議席がある時に、「悪質性の高い犯罪の死刑は公開とする」、という法律を、いつものように、強行採決しました。
森まさ子法務大臣の死刑執行命令によって、イエス・キリスト、の死刑が行われました。
イエス・キリスト、は、南千住にある刑場で、十字架にかけられました。
警察官が死刑執行の役を勤めました。
警察官は、十字架の上に、イエス・キリスト、を乗せ、イエス・キリスト、の手足を、釘で、十字架にうちつけました。
イエス・キリスト、は、十字架に、手足をうちつけられる痛みに、「うっ」、と苦し気な声をあげました。
「父よ。彼らを許してやってください。彼らは自分たちが何をしているのか、わからないのです」
と、イエス・キリスト、は言いました。
「何を、わけのわからないことを、ゴチャゴチャ言っていやがるんだ」
と、警察官たちは、イエス・キリスト、に唾を吐きかけました。
そして、イエス・キリスト、の十字架が立てられました。
イエス・キリスト、の左右にも、罪人が、イエス・キリスト、と同じように、十字架にかけられました。
左は、石破茂で、右は、佐川宣寿、です。
石破茂は、安倍晋三に逆らったため、安倍晋三殺人未遂の罪を、検察に強引にデッチあげられ、死刑判決を下されていたのです。
佐川宣寿は、国会での証人喚問での偽証罪、および、近畿財務局職員だった赤木俊夫に公文書の書き換えを命じ、そのため、赤木俊夫さんは、自殺したため、死刑判決を受けていました。
イエス・キリスト、の処刑を見ようと、多くの野次馬が集まっていました。
十字架にかけられた佐川宣寿は、イエス・キリスト、に向かって言いました。
「おい。イエス・キリスト。お前は、神の子なんだろう。お前は、人は救えても自分は救えないのか?」
それを聞いた、石破茂は、佐川宣寿に、向かって言いました。
「お前は、神を畏れないのか。私たちは、罪を犯したから、その報いを受けているのだ。しかし、この人は、何も悪いことは、していないのだ」
と、石破茂は、言いました。
そして、石破茂は、イエス・キリスト、に顔を向けました。
「イエス様。私は、安倍晋三首相の行いを悪いと思いながら、自分の自民党議員としての、地位、保身のため、安倍政権を面と向かって、批判する勇気がありませんでした。私は罪深い人間です。あなたが、天の御座につかれる時、どうか、私を思い出して下さい」
そう、石破茂は、言いました。
イエス・キリスト、は、石破茂の方を見ました。
「あなたに、真実を言う。今日、あなたは、私と共に、パラダイスにいる」
十字架は、苦しみを長引かせるための凌遅刑なので、なかなか、死ねません。
午後3時になりました。
突然、黒雲が、空を覆い、鋭い雷が、ゴゴゴッ、と鳴り響き、雷は、安倍晋三の家に、落ちました。
イエス・キリスト、は、天を見上げ、
「エリ。エリ。ラマ。サバクタニ(我が神、我が神。どうして私を見捨てるのですか)」
と、言いました。
そして、イエス・キリスト、は、息絶え、死にました。
人間が、神の子、イエス・キリスト、を殺した報いでしょう。
その翌年、西暦2020年、に新型コロナウイルス、COVID-19、が、全世界に広まり、世界は、リーマン・ショック以上の、大不況になりました。



令和2年9月23日(水)擱筆

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