『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1457

2019-01-22 05:20:48 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 最終の試乗客を見送る水夫頭とオキテス、顔を見合わせる二人、水夫頭がオキテスに話しかける。
 『オキテス隊長、今の客だが引き合いをしてくれれば、ありがたいと思うのだが』
 『そうですね、あの客はヘルメス艇に試乗していた客だな。操船担当に客に関する状況を聞いてみます』
 『それは、ありがたい。特別のことがあったかどうか、気になるところです』
 水夫頭とオキテス、二人は握手を交わす、水夫頭と一行が浜から引きあげていく。
 オキテスが空を見あげる、太陽の高さを確かめる、頃合いを測る。
 頃合いを意識して、今日のこれからを思案する。
 二艇の操船担当がオキテスに報告する。
 『隊長、試乗業務を終え、艇の整備を終えました。私ら一同、艇上にて待機いたします』
 『おう、ご苦労であった。ちょっとたづねる、ヘルメス艇の試乗客のことだが、何か変わったことがなかったかな?』
 『はい、そういえば、客の一人ですが、操舵席の近くに座して操舵を真剣に見つめていた客がいました。質問もありました。質問は、帆張り操作のこと、防御楯について質問されました』
 『そうか、解った。その客は最後に艇を下りた客かな?』
 『そうです。軽く礼を述べられ、最後に見送った客です』
 『解った。それだけ聞けば十分だ』
 『このあと、軍団長と俺はテムノス浜頭に挨拶をしてくる。戻ったら帰途に就く。ダックス、体制を整えて待っていてくれ』
 『解りました』
 軍団長とオキテスがテムノス浜頭の屋敷へと歩を運ぶ、オキテスが歩きながら、これからの予定を話す、二人は浜頭の屋敷に着く。
 姿を見せた二人に気づくテムノス浜頭。
 『おう、イリオネス軍団長にオキテス隊長、多忙の三日間ご苦労であった。盛会であった、俺にとって快挙と言える』
 オキテスがテムノス浜頭に口上を述べる。
 『テムノス浜頭、このたびの船舶売り出し展示試乗会の開催ですが満足いただけたでしょうか?』
 『おう、オキテス隊長、聞いてくれるのか。俺として満足している。君らの働きに大いに満足している』
 『テムノス浜頭の力を拝借して、いい成果をあげることができました。ありがとうございました。大変に世話になりました、日時を置くことなく納艇等その他の件について打ち合わせに参ります。船舶売り出し展示試乗会を盛会で終えたことに厚く深く礼を言います。ありがとうございました』
 代わってイリオネスが礼を述べる。
 『テムノス浜頭、ありがとうございました。テムノス浜頭の采配でいい成果をもって船舶売り出し展示試乗会を終えることができました。互いに重畳と言える結果であります。今後ともよろしく願います。ありがとうございました。私どもこれにて帰途に就きます』
 『おう、考えていたより盛会であり、その成果も、いい結果を得たと思っている。大変にご苦労であった。軍団長、あなた方の働きに礼を言います。ありがとう』
 テムノス浜頭が手をさしのべる、二人は手をさしのべ固く握り合う、目を合わせてうなずき合う。
 『イリオネス軍団長、帰途道中の無事を祈ります』
 テムノス浜頭、水夫頭、イリオネスとオキテス、会した一同四人が目を合わせ、再会の意を伝えて挨拶を終えた。


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