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細野豪志氏、自民入り探る 、除染「年1mSv」は民主党政権の大失策だ 

2019-01-13 23:14:41 | 政治

仮題
細野豪志氏、自民入り探る 、除染「年1mSv」は民主党政権の大失策だ

細野氏は批判に応えて、13年3月4日のブログで「福島の声で決めた」「1ミリシーベルト除染の目標は、健康の基準ではない」と、自分には責任がないことを主張し、1mSvに科学的根拠がないことを事実上認めている。それなのに、なぜ国会で丸川氏の発言を追及するのか、理解に苦しむ。

民間団体の国際放射線防護委員会(ICRP)は各国に放射線の安全基準を提言している。2008年公表の勧告111号で、原子力災害では「緊急時には100mSv、事故の収束過程では1mSvから20mSvを目標に被ばく対策を行うべきだ」と提案した。(GEPR記事「放射線防護の重要文書「ICRP勧告111」の解説 –規制の「最適化」「正当化」「住民の関与」が必要」)

広島・長崎の原子爆弾の被ばく者の研究によれば、生涯線量が100mSv以下の被ばく量の増加で、健康被害の増加は観察されなかった。

政府は、ICRPの勧告を参考にして、原発事故直後の11年夏に有識者、さらに日本学術会議の提言を受けて当面の被ばく基準を決めた。1−20mSvを被ばく基準にし、除染では国が直轄して行う原発周辺地域で、年5mSvを目指すとした。いつまでにそれを行うとは明示しなかった。
ところが福島県の自治体が除染を「低くしてほしい」と要望した。当時は民主党政権で11年9月から環境相は細野豪志氏だった。彼はこの要望を受けて最初から、年1mSvを目指すと政策を変更した。一度決めた政策を変えたのは、細野氏ら民主党の政治主導によるものだ。

しかし徹底した除染が本当に福島の被災者のためになるのだろうか。政府は東電福島第一原発近郊で放射線量の高い場所で避難勧告を行っている。避難者数は約16万人だ。その地域での除染を公約したために、それが進まなければ人々が帰れない状況だ。



(抜粋引用、仮題、放射線の専門家)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrsm/12/1/12_46/_pdf
2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故の後,放射線被ばくに対する恐怖が多くの日本国民の間で
広がった.事故後初期の恐怖は,一般環境中の空間線量が非日常的に高く,環境試料からは高濃度の
放射能が検出され3),破損した原子炉が今後どのような過程をたどるのか予測できず,そして何よりも
必要な情報が決定的に不足していたことなどに起因するものと思われる.

これは放射線環境の解釈,特に将来の健康影響予測についての専門家の意見が一致を見なかったことに
よるところが大きい4).広島,長崎の原爆被爆者の長期追跡調査では,
100 mSv以下の外部急性被ばくによる発がんリスクの程度は統計的に検出できない5).
そのため放射線専門家によるいかなる解釈も不確実性を伴い,断言できる証拠はない.
恐怖を感じる度合い,すなわち放射線の影響の受け止め方には,認知心理学的な側面がある.日本人による放
射線のリスク認知についてはすでに複数の調査結果が報告されている68).我々も長崎大学の職員及び学生を対
象とした長期リスク認知調査を2004年より実施してきた9).これらの結果はすべて,医療放射線と比較して原
子力,核エネルギーに対する高いリスク認知が時期を問わず維持されていることを示している.そのため,放射
線,原子力の正しい理解と,それに基づく放射線健康リスクに関するコミュニケーションの重要性が指摘されて
きた.そして,きわめて重大な原子力発電所事故を目の当たりに経験し,現在でも多くの同胞の生活が犠牲とな
っている現在の日本人にとって,その重要性はさらに高まっている10).
コミュニケーションの場でファシリテーター,コミュニケーター,講師などを務めるのはいわゆる「放射線専
門家」であるが,この集団が専門とする領域は物理学,化学,生物学,工学,医学,などきわめて多種多様であ
り,職種も技術者,科学者,教育者,医療関係者等の異種が混じり合い,規制科学と法令の理解についても恐ら
く均質ではなく,「放射線」というただ一点の繋がりで一括りに「専門家」とされている.この雑多な集団が個
人的な考え方やポリシーまで述べようとすれば,専門家による意見が必ずしも一致をみないことは当然とも言え
る.この個人的見解やポリシー形成には,一般公衆の場合と同様に専門家の放射線リスク認知が深く関わるはず
であり,専門家のリスク認知の違いがコミュニケーションの場を通して一般公衆のリスク認知に作用し,ある時
は混乱を招く要因となっているかもしれない.しかしながら,放射線専門家自身による放射線のリスク認知に関
する調査はこれまで行われていない.
放射線の基礎的な知識を有し,放射線を使用,あるいは管理している専門家に対して,一般公衆に対する調査
と同様に他の活動や事象(例えばインフルエンザや飛行機搭乗など)のリスクとの相対比較を行ったとしても,
おそらく低認知が示されるのみの結果となろう.我々は,各専門家の考える放射線の「安全線量」を指標に,
専門家のリスク認知の多様性を明らかにしようと試みてきた.本研究では,放射線の基礎から規制に詳しく,教
育訓練の場で定常的にコミュニケーションを行うことの多い全国の放射線施設の放射線安全管理担当者を対象と
して,東京電力福島第一原子力発電所事故直前となる
2010年12月に実施した調査の結果を解析し,他の小規模集団に対して行った予備的な調査との比較も交えて,事
故直前の放射線専門家による放射線リスクの認知の状況について考察する.2
方法
2010年12月に全国の大学等放射線施設に対して,匿名性を完全に確保した上で,自分,配偶者・恋人,子ど
も,親,および親友に対する「安全と考える年間実効線量(急性,外部被ばく)」の郵送アンケート調査を行っ
た.アンケート用紙をFig. 1に,添付文書をFig. 2に

(引用終わり)

(文中から引用)
http://www.gepr.org/ja/contents/20160215-03/
丸川珠代環境相は、除染の基準が「年間1ミリシーベルト以下」となっている点について、「何の科学的根拠もなく時の環境相(=民主党の細野豪志氏)が決めた」と発言したことを批判され、撤回と謝罪をした。しかし、この指摘は間違いではない。本当の事を言えない「タブー」が除染をめぐる問題で存在し、正しい政策が打ち出せない。この状況は大変危険だ。問題を整理し、解決策を考えたい。
1mSvは民主党政権の政治主導で決まった
報道によれば、丸川氏は2月7日の長野県松本市での講演で、除染について①1ミリシーベルト(mSv)基準には科学的根拠がない②民主党の政策が失敗した③この基準で住民の帰還が遅れているという3点を指摘した。彼女の理解の程度は不明だが、実はいずれも正しい。詳細は筆者の記事を参考されたい。(「福島の「除染1ミリシーベルト目標」の見直しを」(上)(下)
(引用終わり)



2011年3月に起きた福島第一原発、これに関しても、原因を探る。
原因を他に押し付ける為に、旧旧民主党菅直人が、安倍晋三首相を提訴する事態も
つとに知られている。

ICRPレポートを実際に読んだ者は、その記載者が広島、長崎の原爆被災者の研究に勤しんだ
日本人研究者である事を、認識しているだろう。
原子力利用に、軍事目的と平和利用があり、原発事故は平和利用が放射能事故になった事例である。
ロシア、チエルノブイリ、英国スリーマイル島、ウイグルでの中国核実験、ビキニ環礁(第5福竜丸)などが
知られている。

当時の環境相細野氏の丸珠氏への詰問で、除染と言う原発事故の後処置は逸機を迎える。
事故当時の放射線専門家は、真摯に除染数値を限定すべきであった。
細野氏の論点には、正当性が無いが、民主党政権時代の政治数値が適用されたと見るべきであろう。

物理学専攻の研究者から見れば、人文科学系の研究課題は、アンケートによると聞いて、大いに笑ったものである。
引用文、仮題、放射線の専門家、についても、アンケートか、と忸怩たる思いがする。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrsm/12/1/12_46/_pdf

除染に対する予算措置は、数兆円に至るが、数値によって変動する。
それから、避難者16万人の数字も除染数値によって決まる。民主党政権時代の数値が持ち入れられれば
自宅には、金輪際帰れないのである。まして、生産拠点、生計維持費をこれまでの用地に頼る人々は、
離散して別の土地で生計維持費を得なければ成らない。加計問題ならず、家計の問題は根っこが深い。
これに加えて、韓国が、福島産は、汚染されていると宣伝し、数値を計ってみれば、ソウルの数値が
跳ね上がっては、笑い話にもならない。

引用文
2008年公表の勧告111号で、原子力災害では「緊急時には100mSv、事故の収束過程では1mSvから20mSvを目標に
被ばく対策を行うべきだ」と提案した。(GEPR記事「放射線防護の重要文書「ICRP勧告111」の解説 –規制の「最適化」「正当化」「住民の関与」が必要」)

ICRP2008、勧告111、での数値は、緊急時被爆と事故の被爆対策とは、1mSvから20mSvを目標とするのは、
資金に余裕があれば、数字は低く、予算に限界があれば、数字は高く、規制の「最適化」「正当化」「住民の関与」が必要」
と言う部分は、社会が許容する数値とも言うべき事態であろう。

民主党政権時代の数値が何故、決定されたか?
この政治決定に、正当性は無いと、理解している。民主党環境相細野氏の話が出たついでに、
ICRP2008、勧告111、での数値の高いほう、20mSvにすると、概算値で除染に掛かる費用は20分の1になる計算である。
実際には、汚染地域の分布で高濃度汚染が広ければ、費用は20分の1に近づきはすれども、正確にはその数値には
ならないが、低濃度汚染が広大であれば、民主党政権は巨大な無駄、穴掘りを繰り返す羽目となる。
除染と言うと、何やら、訳がわからないと思うが、土砂、草木などをビニール袋に入れて、人が立ち入れない場所に集積するだけである。

引用文の予算、3.6兆円の無駄使いに付いては、同意する。

原爆投下と言う純軍事目的、核実験と言う目的には、高濃度汚染が付き物と理解しているが、
原発事故の際には、汚染空気の放出具合で除去範囲は変化する。
3.11当事の米国海軍軍艦が海上に放出されると、踏んで急遽退去に及んだとも聞いているが、
原発立地点から北方に放出したのも、菅直人の性だという言葉も聞くが、活動家の彼ならば、
日本国民に悪意があったと取られても、致し方のない事である。





細野豪志氏、自民入り探る 無所属の展望見えず二階派接触、地元は反発
1/13(日) 21:37配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190113-00000546-san-pol

細野豪志元環境相の歩み
 旧民主党政権で環境相を務め、現在は無所属の細野豪志衆院議員(静岡5区)が自民党入りを模索している。“野党のホープ”として将来を期待され、小池百合子東京都知事らと旧希望の党を結党して政権奪取を目指したが失敗に終わり、展望が開けないためだ。二階俊博幹事長率いる二階派(志帥会、44人)の関係者らと水面下で接触し、機会をうかがうが、地元の反発は強く、ハードルは高い。(奥原慎平)

 「早々に細野氏を二階派に迎え入れてもいい」

 昨年12月17日、二階氏は自身に近い静岡県連幹部らと党本部で地方選情勢について意見を交わした際、こう述べた。細野氏は旧民主党などで一貫して自民党と対峙(たいじ)してきた。それだけに、二階氏の発言を聞いた関係者は驚きを隠せない。

 細野氏は当選7回を数え、旧民主党政権で原発事故担当相や環境相、党幹事長を歴任。旧民進党で代表代行も務めた。しかし、憲法改正に関する見解の相違などから平成29年8月に離党。旧希望の党を結成したが、野田佳彦前首相らの入党を拒んで反発を招き、昨年5月以降は無所属を続ける。

 政治活動は活発とはいえず、八方ふさがりの細野氏は二階派議員らと会食を重ね、地元の自民党県議にも入党への感触を確かめているという。細野氏は自民党入りを否定せず、「いろいろな人が努力してくれている。自分の口からは話すことはできない」と含みを持たせる。

 二階派は平成研究会(現竹下派、56人)に在籍経験のある今村雅弘元復興相や桜田義孝五輪相ら他派閥からの移籍組を積極的に受け入れ、勢力を拡大してきた。二階派幹部は細野氏について「政治キャリアを考えれば自民党で仕事をしてもらいたい議員だ」と前向きだ。二階派の関係者は「特別会員として二階派に加入させ、次期衆院選で勝利したら追加公認する可能性がある」と道筋を描く。

 ただ、細野氏と長年敵対してきた地元の反発は強い。自民党県議らが昨年12月初旬に行った意見交換では反対意見が大勢を占めた。参加した県議は「選挙のたびに辛酸をなめた相手だ。党本部が決めても自分たちには意地がある。『はい、そうですか』と認められない」と率直に語る。

 政党を渡り歩く細野氏には「節操がない」との声も上がる。そんな細野氏に二階派側は「踏み絵」を用意。今年の統一地方選と参院選の自民党候補支援といった貢献を内外に示すことだ。ただ、静岡5区は岸田派(宏池会、48人)所属の吉川赳・元衆院議員が党支部長を務め、再起に意欲を示す。岸田派の中堅は「細野氏が5区から出るなら新たな党内対立を招きかねない」と警戒している。


希望の党の細野豪志憲法調査会長
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 民進党と希望の党を軸とする新党設立が現実味を帯びてきたことで、希望の党の細野豪志元環境相ら党創設メンバーが苦悩を深めている。憲法や安全保障に関する見解の相違を理由に民進党を飛び出した細野氏らにとって、同党への「先祖返り」は自己否定ともいえる行動だからだ。民進党側からも「細野切り」を求める声は絶えない。(松本学、奥原慎平)
 細野氏は2日夜、日本維新の会の馬場伸幸幹事長、遠藤敬国対委員長、下地幹郎国会議員団政調会長と東京都内の中華料理店で会食し、自嘲気味に語った。
「オレ、嫌われているから…」
 実際、民進党内には細野氏を合流の「足かせ」とする向きが多い。細野氏が昨年の衆院選前、民進党の野田佳彦前首相らに対し露骨な「排除」発言をしたからだ。希望の党幹部は、民進党に配慮し「新党への細野氏の参加は拒否する。ケジメをつけさせる」と語る。
 こうした雰囲気を感じ取り、細野氏は周辺に「民進党の大塚耕平代表が唱えているのは『帰ってきた民主党』だ。くみするつもりはない」と語り、新党に参加しない意向を示している。
 希望の党は今週、民進党との合流に反対する松沢成文参院議員団代表らと「分党」交渉を本格化させる。ただ、細野氏が松沢氏らと行動をともにする気配はない。「松沢新党」が実現しても5人程度の小政党となる見通しで、展望は開けないと踏んでいるためだ。
 細野氏と同じ党創設メンバーの長島昭久政調会長、笠浩史衆院議員も置かれている環境は同じで、新党不参加の公算が大きい。長島氏は3月30日の党会合で「分党そのものに反対だ」と唱え、現在の希望の党の枠組みの維持を主張した。
 2日の会食は、希望の党創設メンバーとの連携強化を狙う下地氏が設定し、細野、長島、笠各氏に参加を呼びかけた。しかし、長島、笠両氏は姿を見せず、細野氏が党創設メンバーを束ねることができていない状況を印象づけた。
 昨年8月に「新たな政権政党をつくる」と宣言して民進党を離れた細野氏の展望は開けていない。



除染「年1mSv」は民主党政権の大失策だ
2016年02月15日 14:00
GEPR編集部
http://www.gepr.org/ja/contents/20160215-03/


丸川珠代環境相は、除染の基準が「年間1ミリシーベルト以下」となっている点について、「何の科学的根拠もなく時の環境相(=民主党の細野豪志氏)が決めた」と発言したことを批判され、撤回と謝罪をした。しかし、この指摘は間違いではない。本当の事を言えない「タブー」が除染をめぐる問題で存在し、正しい政策が打ち出せない。この状況は大変危険だ。問題を整理し、解決策を考えたい。
1mSvは民主党政権の政治主導で決まった
報道によれば、丸川氏は2月7日の長野県松本市での講演で、除染について①1ミリシーベルト(mSv)基準には科学的根拠がない②民主党の政策が失敗した③この基準で住民の帰還が遅れているという3点を指摘した。彼女の理解の程度は不明だが、実はいずれも正しい。詳細は筆者の記事を参考されたい。(「福島の「除染1ミリシーベルト目標」の見直しを」(上)(下)
その誤った政策決定をした民主党の細野議員は10日の衆議院予算委員会で丸川氏に「間違いだ」と詰め寄り、丸川氏は謝罪した。細野氏は後述するように、1mSv目標は科学的根拠がないことを自分で認めている。彼の行動は理解不能だし、謝る丸川氏もおかしい。
簡単に除染をめぐる事実関係を確認してみよう。
東京電力福島第一原発事故が発生した後で、被ばく放射線量を減らすことが検討された。
研究者でつくる民間の団体、国際放射線防護委員会(ICRP)は2008年の「勧告111」で、原子力災害での放射線の被ばくは「平時年1mSv」「収束過程では年1mSvから20mSvを目標にし、長期的に平時の1mSvを目指すべき」「その基準は住民参加で決めるべき」と提案した。
これは自然被ばく量(=世界平均で年2.4mSv)を大きく上回らない目安としての提案であり、20mSvを超えれば病気になるという意味の数字ではない。(参考「放射線被ばく基準の意味」)丸川氏の言う「科学的根拠」という言葉がどのような文脈で、またどのような意図で使われたか不明だ。仮に「1−20mSvの水準の被ばく基準に抑えれば、健康被害が発生しないことに科学的な根拠がある」との意味かといえば、彼女の言う通り違うのだ。科学的根拠があって定められた数字ではない。
広島・長崎の原子爆弾の被ばく者の研究によれば、生涯線量が100mSv以下の被ばく量の増加で、健康被害の増加は観察されなかった。この水準では、影響は統計に表れないほど極少であると推定される。そして幸いなことに福島事故で20mSv以上の被ばくをした住民はほとんどいなかった。また福島第一原発周囲の高線量地域は立ち入りが制限されている。おそらくこのまま除染をしなくても、健康被害は起きないだろう。
政府は、ICRPの勧告を参考にして、原発事故直後の11年夏に有識者、さらに日本学術会議の提言を受けて当面の被ばく基準を決めた。1−20mSvを被ばく基準にし、除染では国が直轄して行う原発周辺地域で、年5mSvを目指すとした。いつまでにそれを行うとは明示しなかった。
ところが福島県の自治体が除染を「低くしてほしい」と要望した。当時は民主党政権で11年9月から環境相は細野豪志氏だった。彼はこの要望を受けて最初から、年1mSvを目指すと政策を変更した。一度決めた政策を変えたのは、細野氏ら民主党の政治主導によるものだ。
健康被害はないのに3.6兆円の除染コスト
その政策変更の結果、除染を無制限に行ったことで国と地域に大変な負担をもたらした。そもそも放射線による健康被害の可能性は極少で、おそらく何も起こらない。実際に、福島での被ばくの増加はほとんどなく、5年が経過しても健康被害は観察されていない。これからもないだろう。
除染は表土や堆積物を取り除く形で行われる。たしかに放射線による健康被害のリスクは今よりも減るだろう。しかし徹底して実施するほど時間と手間がかかる。メリットとデメリットを比較するべきであった。ICRPの科学者らは個人で、また国際原子力機関などは1mSvまでの除染について、日本政府に意味がないと勧告している。
政府は除染の見込み額を約2.5兆円と試算したが、15年度までその支出は累計約1.8兆円に膨らんだ。まだ手つかずの地域もあり、見込み額を大幅に上回りそうだ。土建業を中心にして地元にお金が落ちた効果はあっただろう。この原資は税金であり、こうした効果のないことに無意味に使うことが打倒であるとは思えない。
除染を国の直轄地域が行ったことで、周辺地域でも徹底した除染が行われた。その請求は東電に行き、総額は900億円だ。その支払いをどうするか今もめている。
除染では、推計最大2200万立方メートル(=東京ドーム約17.6個分)の廃棄物が発生する。福島県では各所で除染廃棄物が山積みになっている。中間貯蔵施設の建設が遅れ、廃棄物を持ち出せないためだ。中間貯蔵施設の建設費用は用地買収費用も含め1.1兆円になる。土地は福島県双葉町に決まったが竣工のメドはまだ立たない。そして除染の遅れが避難住民の帰れない一因だ。
除染費用(約2.5兆円)と廃棄物処理(約1.1兆円)を合計すれば、計画段階で除染による負担増は約3.6兆円にもなる。細野豪志氏ら民主党政権の判断ミスで、膨大な負担が発生した。1mSv除染の追求による負担と社会的混乱というデメリット、リスクゼロを目指したことによるメリットを比較した場合に、前者の方がはるかに大きいだろう。丸川氏の指摘の通り、民主党政権の除染政策は失敗し、帰還と復興が遅れているのだ。
政治は政策失敗の責任を取れ
細野氏は批判に応えて、13年3月4日のブログで「福島の声で決めた」「1ミリシーベルト除染の目標は、健康の基準ではない」と、自分には責任がないことを主張し、1mSvに科学的根拠がないことを事実上認めている。それなのに、なぜ国会で丸川氏の発言を追及するのか、理解に苦しむ。
除染政策が決まった際に、細野氏と民主党の政治家がするべきだったのは、人々を説得して失敗が予見された1mSvまでの除染目標を止めることだった。民意に従えば、誰にも批判されず、楽であろう。しかしそこで手を抜いたばかりに、数兆円の無意味な負担増と福島の復興の遅れが発生している。今からでも、細野氏と民主党は政策の誤りを検証し、必要なら是正を政府・与党に提案する試みるべきだ。
そして自民党政権も惰性で現在の政策を続けているのは問題だ。丸川氏は評論家ではなく、政権の当事者なのだ。政府・自民党が、どこかで除染を限定的にする方向に是正しなければならない。
そして問題は政治家だけではない。メディアと世論は感情的に危険を煽り、除染の強化ばかりを訴える。また事故の被害者である福島の方々の苦悩は承知し、除染の徹底化を求めることも理解できる。しかしどこかで除染範囲を縮小しなければ、負担は増え続け、福島の復興は遅れる。それを理解し、政策転換を受け入れるべきだろう。
無責任の連鎖によって、除染問題は負担だけが膨らんでいく。丸川氏の失言騒動で注目を再び集めた今、もう一度、この問題を考え直すべきだ。
(2016年2月15日掲載)



福島の除染「1ミリシーベルト目標」の見直しを(上)--意味はあるのか
2013年06月12日 09:10

GEPR
http://agora-web.jp/archives/1541921.html

 経済・環境ジャーナリスト 石井孝明
【GEPR編集部より】雑誌Will のご厚意で同誌7月号に掲載したリポートを転載させていただく。同誌スタッフの皆さまに感謝を申し上げる
このリポートはGEPRの編集スタッフの石井孝明が、以前掲載した論考「福島の除染、「1ミリシーベルト」目標の見直しを」 を福島の方のインタビュー、識者コメントを加えて加筆したものである。

(除染の状況、環境省ホームページより)

【以下本文】
東日本大震災、東京電力福島第1原発事故で、困難に直面している方への心からのお見舞い、また現地で復興活動にかかわる方々への敬意と感謝を申し上げたい。
原発事故に直面した福島県の復興は急務だ。しかし同県で原発周辺の沿海にある浜通り地区でそれが進まない。事故で拡散した放射線物質の除染の遅れが一因だ。「被ばく水準を年1ミリシーベルト(mSv)にする」という、即座の実現が不可能な目標を政府が掲げていることが影響している。
この目標は時間と金の無駄を生み、そして避難者に「帰れない」という心理的なストレスを与えている。一連の政策は民主党政権の残した負の遺産の一つ。1mSv目標の見直しを、政府は早急に行うべきだ。
人影の減った町がきれいになる「むなしさ」
図表1 除染の範囲

(環境省ホームページより)
「除染の目標達成に苦慮している。できる数値を示してほしい」。今年2月に佐藤雄平福島県知事は、国との意見交換会で除染の目標の非現実性を訴えた。それに国側は答えを示せなかった。福島県の困惑をもたらしたのは、遅々として進まない除染の現実だ。
環境省は今年3月、除染の進捗状況について福島の11町村の除染特別地域の状況を公表した。この地域は事故を起こした福島第一原発の近郊で、国の計画の下で除染を行う。2月時点で実施は田村市など4町村にとどまり、ほかは計画策定さえできていない。2年前には除染を13年度末に終える計画だったが、達成はおそらく無理だ。
図表2 除染の状況
「除染」とは、環境省によれば福島原発事故問題の場合で言うと放出された放射性物質を取り除くことだ。(環境省除染情報サイト)具体的な取り組みでは、放射性物質が拡散した表土や、樹木などを集め捨てる。個人宅では家を高圧放水で洗い流す。
1mSvは自然界からの放射線の被ばくレベルであり、そこまで下げれば事故による健康被害の可能性はほとんどなくなる。日本での自然放射線の被ばく量は平均で年間2・1mSv程度だ。ちなみに当然のことだが、数値を引き下げようとするほど、除染には手間がかかり、それにともなってコストと時間が必要となる。
しかし徹底した除染が本当に福島の被災者のためになるのだろうか。政府は東電福島第一原発近郊で放射線量の高い場所で避難勧告を行っている。避難者数は約16万人だ。その地域での除染を公約したために、それが進まなければ人々が帰れない状況だ。
福島県の浜通り地区には東京電力の原子力発電所2つと火力発電所1つがあった。隣接する広野、楢葉、富岡、大熊、双葉の5町では東電関係で約1万人の雇用があった。それらの人々が去ってしまい、原発事故で汚染され帰還困難区域(年20mSv以上)も点在している。この地域では人が去って地域社会が崩壊した。閑散とした町で、人が残った一部の建物が高圧放水できれいになる。「何の意味があるのだろう」。福島県富岡町に住む北村俊郎氏(69)は、その光景を見ると原発事故への怒りと虚しさを感じるという。
北村氏の家は帰還困難区域に含まれてしまい、除染は後回しだ。帰宅しても健康被害はないと思っているが、地域全部が避難しているため、インフラが麻痺状態で住むことはできない。北村氏は原発事故後に避難所生活を送った後で、今は同県須賀川市の一戸建て住宅を借りて住む。
北村氏はかつて日本原電に勤めており、「原発推進側」と社会では見なされかねない立場だ。しかし、かねてから原子力業界の閉鎖性には批判的だった。「原発問題では当事者が賛成・反対のレッテルをそれぞれ貼り、意見の違う人と対話を深めることがありませんでした。放射能問題でも、同じように安全か危険かの単純な二分論で問題を語る人が目立ち、議論が深まりません。政治家にもそうした考えの人が、かなり多くいます。とても残念なことです」。
北村氏は、個人的には1mSvまでの除染は必要がないと考えているが「すべての福島の人々が受け入れることは難しい」と話す。当然のことだが、子供を持つ母親などでは放射能に不安を抱き、完全除染を求める人が多いという。浜通り地区では多くの人は引っ越してしまい、地域社会の再建は日ごとに難しくなっている。
「基準を20mSvにして、住民に正確な情報を提供するという取り組みをすれば、復興ははやまったのではないでしょうか。もちろん反対はあったでしょうが、政府は困難を乗り越えて断行すべきでした。問題はここまでこじれなかったはずです」。
効果への疑問、福島に広がる
「時間が経つごとに解決は難しくなっていきますね」。福島県郡山市で学習塾を経営する佐藤順一さん(31)は指摘した。郡山市は浜通り地区から山を隔てた場所にあり、東日本大震災でも、地域社会全体が麻痺することはなかった。しかし原発事故後は不安が広がり、佐藤氏の塾でも、子供や父兄が動揺した。
佐藤さんは大学院で放射線の工業利用を学んだ。「人々の不安を取り除きたい」。そうした願いから佐藤さんは講演活動や解説パンフレットを自発的に続けた。(佐藤さんが、郡山市内での講演向けにつくったパンフレット「放射能について学ぼう」)人々の心は落ち着きを取り戻しつつあるが、除染へ見方はさまざまという。
「私は1mSvまでの除染は意味がないと考えます。それよりも福島県に蔓延する『放射線に対する必要以上の恐怖感』や『福島の農産物や福島県民に対する偏見・差別』を払拭する方が先でしょう。ところが除染の意味の乏しさを頭では理解できても、感情面で拒否反応を示す人はいます。仕方がありません」。
そして除染は、始まってしまった以上、今やめることはできないそうだ。「まだ行われていない地域の人が除染を待つ人が不公平感を持つためです」。
1mSvまでの除染について「効果がない」という疑問は、県民から県や自治体に頻繁に寄せられる。一方で「徹底的に除染してほしい」という声も根強い。ある福島県職員は次のように述べた。「いろいろな意見があります。住民や自治体は現時点で金銭的な負担はないし、除染で現地の一部の建設業者にお金は落ちます。このために、おかしいと思いながら、是正しようという声がなかなか強くなりません」。
示されない除染の全体像–費用28兆円の試算も
除染活動に環境省は12年度で3712億円、13年度(概算要求段階)で4978億円の予算を支出する。巨額の税支出について、国はその実現可能性、政策効果、またいつ終わるのか、総額など、除染事業に関わる論点を明確にしていない。さらに除染によって出た大量の汚染物質は、福島県内に設置が検討されている中間貯蔵施設に保管される予定だ。しかしその設置も現地の反対で設置の調整が難航している。
原則として除染費用は事故を起こした東電、特別地域では国が負担する。しかし東電は経営破綻状態にある以上、東電への請求は税金が肩代わりすることになる。
福島県飯館村の除染計画では、1mSvまでの除染で総費用3224億円が必要と推計している。反原発活動組織である原子力資料情報室は、これを根拠にして汚染物質の拡散場所を2万平方キロメートル(飯館村は約230平方キロ、福島県全域で約1万3000平方キロ)とした上で、除染だけで28兆円かかると試算した。
非現実的な金額だが、国が「行わない」範囲を明確に線引きしなければ、東電負担分も含めて、この支出が現実化しかねない状況だ。除染は国民全体の問題なのだ。
効果はあるのか?– 健康被害の可能性は極小
 
ところが除染の効果はあるのだろうか。「被災者が健康な生活を送る」ことが、除染の目的であるはずだ。ところが現状では、除染の遂行そのものが目的化して、本来の目的を達成させない奇妙な状況を産んでいる。2年で9000億円も除染のために支出される税金は、もっと有効な使い方があったはずだ。
福島の健康をめぐる朗報が繰り返される。世界保健機関(WHO)は今年3月に、除染を考慮しなくても福島では健康被害の増加の可能性は少ないと発表した。(GEPR解説記事「WHO、福島原発事故の健康被害を予想せず–リスク向上は警告」)福島県は今年2月「18歳以下の調査で甲状腺異常は発見されていない」、東大のチームは同3月に「食事などによる内部被曝はほぼゼロ」と発表した。原子放射線の影響に関する国連科学委員会は5月、健康リスクの可能性についてはないという予想を示した。(GEPR解説記事「「福島原発事故で差し迫った健康リスクはない」福島原発事故で国連機関が評価」)
原発事故から2年が経過したが、各種の調査で事故由来の健康被害は福島県と東日本では確認されていない。
一方で除染の遅れは、約16万人の避難者の帰還の遅れを生じさせている。原発事故に限定されないが、震災関連死は12年9月末時点で2303人にもなる。内訳は「避難所における生活の肉体的・精神的疲労」が約3割 、「避難所への移動中の疲労」が約2割
、「病院の機能停止による初期治療の遅れ」が約2割などだ。特に高齢者の健康被害が目立つ。(GEPR資料、水野義之京都女子大学教授「原発事故の現在の状況~避難者、健康、ICRP」)
こうした福島をめぐる政策には、海外で批判的な意見が広がる。心理的負担による避難者の健康被害は12年5月に全米原子力学会などで取り上げられた。そこでは「避難の長期化は適切ではない」という批判が出た。(GEPR解説記事「海外の論調から「放射能より避難が死をもたらす–福島原発事故で・カナダ紙」)
「福島のガンの増加の可能性は、仮にあるとして、0・0000から0・0002%の間。それなのに人々は避難を強制され、毎日表示されるガイガーカウンターの数値に囲まれ生活している。必要なことなのか」。
これは米国のロバート・ストーン監督のドキュメンタリー映画『パンドラの約束』の冒頭部分だ。ナレーションの後に原発と、福島の人々の姿、そして除染の光景が示される。今年1月に開催されたアメリカの映画祭サンダンス映画祭で注目を集めた。この映画は原子力の再評価を訴える立場だが、放射能への過度の恐怖に疑問を示すために福島で行われている政策を、批判的に紹介している。(GEPR解説記事「原子力への恐怖は正しいのか?–映画「パンドラの約束」」)
旧ソ連のチェルノブイリ事故で、事故被害者の救援活動にかかわった米国の骨髄移植の専門医であるロバート・ゲイル博士に、筆者は12年春の来日の際にインタビューをした。その活躍はゲイル氏の著書『チェルノブイリ』(岩波書店)に詳しい。
「福島では健康被害の可能性はほとんどない。モニタリングポストや、甲状腺の詳細な検査は、安心のための意味しかないだろう。日本の皆さんの判断次第だが、私は事故原発の周辺以外は帰宅し、健康診断も、放射線量の公表も、除染も、無理に行わなくていいと思う。日常生活に戻って大丈夫だ。そして詳しすぎる情報は、社会に混乱を招く可能性があることも忘れないでほしい。毎日放射線量を目にする生活は多くの人にストレスになるだろう」
チェルノブイリ事故では、低線量の放射線被ばくでの健康被害は観察されていない。それよりも移住などによる地域住民の精神的疲弊、地域経済の低迷、デマなどによる社会混乱のコストが目立ったという。この事実をゲイル博士は強調した。
海外の人々は日本人のように原発事故を体験したことによる精神的動揺を経験していない。それゆえに冷静に「放射線量に関心を向けすぎる日本の現状」について疑問を示している。そうした一連の指摘の通り、福島では事故そのものの直接の被害に加えて、その後の混乱によるさまざまな損害が発生している。
「福島の除染「1ミリシーベルト目標」の見直しを(下)–パニックが政策決定に影響」に続く。


福島の除染「1ミリシーベルト目標」の見直しを(下)--パニックが政策決定に影響
2013年06月12日 09:18

GEPR
http://agora-web.jp/archives/1541922.html


経済・環境ジャーナリスト 石井孝明
福島の除染「1ミリシーベルト目標」の見直しを(上)–意味はあるのか」から続く

(除染の状況、環境省ホームページより)

民主党政権の失政、無責任な除染決定
それでは1ミリシーベルト(mSv)の除染目標はどのように決まったのだろうか。民主党政権の無責任な政策決定が、この問題でも繰り返された。
民間団体の国際放射線防護委員会(ICRP)は各国に放射線の安全基準を提言している。2008年公表の勧告111号で、原子力災害では「緊急時には100mSv、事故の収束過程では1mSvから20mSvを目標に被ばく対策を行うべきだ」と提案した。(GEPR記事「放射線防護の重要文書「ICRP勧告111」の解説 –規制の「最適化」「正当化」「住民の関与」が必要」)
これは20mSvを被ばくすると健康被害が起こるという意味ではなく、放射線から身を守るための目標値だ。また基準は勧告であって、どのように下げるかは、それぞれの地域住民の参加の中で決めるべきとした。日本政府もこの勧告を採用して、「20mSvを当面の目標にして、長期的に1mSvまで下げる」と、11年9月に有識者を集めた内閣府の会議で決定している。(内閣府「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」など)
大規模な放射性物質の拡散がすでに起こっていない以上、時間の経過と共に雨や風による水や土の動きによって放射性物質はさらに拡散し、地域の放射線量は減少していく。そうした時間の経過も利用することにした。
ところが原発事故後に、放射能をめぐって一部の人によるデマが拡散した。放射能への恐怖が強まる中で「自然被ばく量は年1mSvだから、そこまで早急に下げなければならない」という、意見が唱えられるようになる。放射線関連の医師などの専門家でその説を主張する人はほとんどいなかったにもかかわらずだ。
福島の各市町村議会は「1mSvまでの除染」を政府に要請する決議を12年夏に行った。民主党政権は除染の線引きを放棄し、なし崩し的に除染が12年秋から始まった。そして当時の環境大臣だった細野豪志氏が繰り替し強調したことで、「1mSv」は除染の事実上の目標値になった。
読売新聞は「帰還を阻む1ミリ・シーベルト」という今年3月3日の記事で、細野氏がこの目標を事実上設定したことを批判した。細野氏はこれに自分のブログ記事で3月4日に反応した。「(記事は)私が1ミリ・シーベルトという目標を独断で決めたかのように書かれています」「1ミリ・シーベルトという除染の目標は健康の基準ではないこと、帰還の基準でもないことは、私自身が再三、指摘していました」「福島県の皆さんの要請によるものです」と、弁明した。(参照・細野氏ブログ記事3月4日「ソーシャルメディアの可能性」)
細野氏に取材を申し込んだが応じてもらえなかった。ところが環境省の会見記録を読むと細野氏自ら12年秋にこの基準を強調している。(細野大臣会見議事録)
「1ミリから5ミリについてもやります」(12年9月30日)「元々、1ミリシーベルトを目標とするというところは、一貫をしてます。それに向けて、できるだけ一歩一歩着実に進んでいくという形で対応したいと思っております」。(同10月4日)こうした記録が残る。
「年1mSvまでの除染は国が責任を持って請け負います」。福島県富岡町に住む北村俊郎氏は、12年9月に郡山市で行われた同町の住民説明会で民主党の吉田泉復興副大臣が明言したことに驚いた。配布された資料には「20mSvを目標にする」と書いてあるにもかかわらず、厳しい目標をわざわざ政府側が市民に口約束したのだ。
一連の政治家の発言と行動を見ると、「1mSv」に決めた責任は、細野氏と当時の政権与党だった民主党の政治家が引き受けなければならない。彼らは手間のかかる被災者との対話ではなく、限度を設けない除染を行い税金の形で国に負担を負わせるという安易な解決策を選択した。そして、いかにも民主党らしいが、この決定は行政通達、法律などで明文化されず、「誰が決めかたか分からない」無責任な状況になっている。
それなのに12年末に政権を奪還した自民党の動きは鈍い。担当大臣になった石原伸晃氏は、1ミリシーベルト問題について見直しを明言していない。政治的な反発を避けようとしているのだろう。
政策の是正で復興を進めよう
除染をめぐる政策は、かなりおかしな状況に陥っている。
まとめると、第一の問題点は、除染のための13年まで約9000億円の巨額な税支出は、それに見合う政策効果がないということだ。第二の問題点は、被曝量が1mSvとなることで、除染の手間とコストが増えて長期化して、福島の避難者が帰れないということだ。
そのために、次の政策転換が必要である。
1・国が特別除染地域で、除染計画の目標を明確にすること。またそれ以外の地域でも、ムダな除染を避けるために、公金支援の線引きをすること。ICRP基準を参考に、当面の被曝量を「20mSv未満」と設定し、「長期的に1mSvを目指す」という当初の政策の方向に目標を設定、明確化すべきだ。
2・除染を山地や森林などを含めて無制限に行うのではなく、居住地、道路など生活環境に限定をすること。実施の際には現地の意見を聞くこと。これによってコスト減と、早急な達成が可能になる。
3・放射能のリスクに対する啓蒙活動を行い、除染の合意を地域、市町村で積み上げること。
こうした方向に政策の舵を切るべきだ。筆者の個人的意見では、現状は除染などしなくても原発近郊以外では普通に暮らしても健康被害は起きないと考えており、除染は必要ないと思う。しかし世論の納得と安心、そして安全性を重視して除染は限定的に行うことはやむをえないだろう。
もちろん、この政策転換は福島県民の方の反対を産むかもしれない。しかし、やらないと決めないと、福島の復興は進まないし、国の財政負担が無限に広がりかねない。丁寧に事実を示し、対話と合意の擦り合わせを国、県が行う必要がある。
そして除染は国だけの問題ではない。私たち一人ひとりの国民が行うべきことがある。
第一に福島県の住民の方の意思決定、復興活動を情報の面で支えること。デマの流布や、自分の政治主張の押しつけなどの干渉は慎み、正確な情報に基づく意思決定を静かに行える環境を整えることだ。これは福島県以外の地域の除染問題にも当てはまる。
第二に除染での税金の無駄な使われ方に、批判を向けることだ。
原発事故によって今も続く混乱を、収束に向かわせたい。福島の復興は、解決すべき問題は相互に関連し、一つを解決しても別の問題が生じるためになかなか進まない。しかし障害の中で大きなものの一つである「1mSv目標」の見直しは状況を改善するはずだ。
地域の繁栄は、人々がそこに集い、生活を営まない限りありえない。福島の復興もそうであろう。パニックが影響してつくられた民主党政権の悪しき政策の残滓を、私たち国民の声と行動で取り除かなければならない。





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