ZOZOのつけ払いとアルバイトの時給1300円

2019年07月17日 | 社労士
ある月刊誌で藤田孝典さんが、賃上げの重要性を訴えていた。藤田さんはベストセラーとなった『下流老人』の著者であり、非正規雇用やワーキングプアといった問題に詳しい。
月刊誌の記事タイトルは「賃上げこそ、日本社会の活力を引き出す源泉」である。
コンビニのファミリーマートが始めたこども食堂に対しても、コンビニの低賃金が貧困やワーキングプアを生み出している、こども食堂を名乗る前に誰が貧困を生み出しているのかを考えて欲しいと批判している。
今回の記事で藤田さんが評価しているのは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営する株式会社ZOZOが行った時給1300円のアルバイト募集です。3日間で募集人員の2000人に達したそうです。
ZOZOと言えば、つけ払いです。支払いを2か月先に延ばせるっていうやつです。決済上限は54000円。お金のない若者向けのサービスであり、親を当てにできる金額の上限とも言えます。このつけ払いの問題点は、決済が2か月を超えないため、割賦販売法の適用を受けず、支払い能力の判定なし、未成年が親の同意なしで購入できるということです。手数料が324円というのも。
労働者の低賃金がサービスや商品の低価格を可能にしているという面がありますが、ZOZOの場合は、その逆でしょうか。未成年など若年層から(実質親世代)脱法で得た利益をもとにアルバイトの時給を上げている。
藤田さんはこの辺をどう思っているのでしょうか。
人間であれ、企業であれ、いいところもあれば悪いところもある。
並べてみて総合判断すべきですが、「いいこと」で胸がキュンとなってしまい、思考停止になる場合が多いようです。貧困層からの搾取で低価格の商品を作っていても、環境・エコなどへの取り組みが見られると、もうそれだけで優良企業のようなかんじがしてしまうみたいです。なので日本の企業はこういうことをせっせとやります。残業代は絶対払うつもりはないと豪語する企業が、海外への援助で表彰されたりなんかしています。
雇用関係の助成金を申請するとき、要件チェックのところに、労働法規違反をしていないとか、労働保険料を滞納していないとかがあります。あとは風俗とか暴力団とか。自分の管轄さえよければそれでいいってやつです。電通もくるみんマークもらってたしね…均等部署においてはなんの矛盾もないわけです。
賃上げに夢中な人はそこを一生懸命やってる。奨学金問題を追いかけてる人はそれはそれでいっしょうけんめいやってる。ブラック企業、外国人労働者、介護問題…みんなそれぞれがんばってる。てんでばらばらに。
悪は連帯しやすいが、善はそうではない。でも善の連帯なくして悪に打ち勝つことはできないからもう一歩踏み込んだ視点で考えて欲しい。
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