ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

コロナより深刻?

2020-11-28 08:33:53 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「差別といじめ」11月24日
 『ハンセン病とコロナ差別』という見出しの記事が掲載されました。ハンセン病問題に取り組んでいる弁護士徳田靖之氏へのインタビュー記事です。その中で徳田氏は、『差別的な行動をしている人たちには、共通する四つの考え方があると思います。一つは感染者、その家族は社会に害をなす迷惑な存在だから排除されても仕方がないという論理。二つ目に感染したのは自己責任であるという考え方。三つ目は、自分は感染することはないという前提に立っていること。そして最後に「自分は正義の行動をしている」という確信』と、「排除」の背景について語っていらっしゃいます。
 実は、この記事の見出しを見て私は、学校におけるいじめ問題につながる知見が述べられているのではという「勘」が働き、読み始めたのです。しかし、同じように集団から特定の人を排除するという行為でありながら、両者には相反する要素の方が多かったのです。
 まず、「自分は感染しないという前提」についてですが、いじめの加害者においては、中核をなすごく少人数を除いて、いつ自分がいじめられる側に回されるかという不安を抱き続けているけーすがほとんどです。また、「自分は正義の行動」という点についても、いじめ加害者では、内心では「悪いことだ」「いじめられている人は可哀想」などと考えている場合がほとんどです。それにもかかわらず、先ほど述べたように、いじめを止めようとすると自分が標的にされるという恐怖からいじめに加わっているのです。
 「自己責任」ということについても、被害者への同情があるのですから、いじめられている子に原因があるのだからいじめられて当然という意識ではないのです。「迷惑な存在」という捉え方についても同じです。
 つまり、いじめの大半を占める無視や仲間外れという集団からの排除は、ハンセン病やコロナにおける感染者排除とは違う心理状態によってもたらされているということです。その他にも、いじめと感染症差別には違いが目立ちます。いじめ被害者は孤立していますが、感染症差別被害者には、メディアや世論という味方がいます。いじめ被害者は、今の地獄が未来永劫続くような絶望感に囚われていますが、コロナ差別被害者は完治する日を予測できます。学校を主たる生活の場とするいじめ被害者は逃げ場がありませんが、コロナ差別被害者は短期間なので自宅等に引き籠ることが可能です。
 もちろん、そうだからといってコロナ感染差別の被害が軽いと言っているわけではありません。ただコロナ差別との比較を通して、改めていじめは被害者に深刻なダメージを与え、解決の難しい大問題なのだということを痛感させられました。

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