Sam Myersの仄々としたVocalとBlues Harpはいつ聴いても本当に心を和ませてくれる。Mississippi州はLaurel生まれのBlues Harp奏者/Singerとして知られるSam Myersは80年代にAnson Funderburghとの活動によって、素晴らしい作品を世に出し、その歌声がより多くの人に聴かれるようになった。幼いころからGospel Choirで歌ってきたMyersの歌声は実に深みのある魅力的なもので、57年にKing Mose Royal Rockersと録音した“My Love Is Here To Stay”を初めて聴いた時にすっかりMyersのVocalの虜になってしまったのだ。この曲はMyersが書いたもので、勿論Blues Harpも素晴らしいのだが、その張りのある黒々としたVocalが絶品なのであった。Blind FaceもCoverした“Sleeping in the Ground”も渋い曲で、このMyersのKing Moseとの初録音のシングルは、Songwriter/VocalistとしてのMyersの才能が光っている2曲と言えよう。さて、Jacksonの学校に通っていた頃、TrumpetとDrumsを演奏するようになり、いつしかBlues Harpも演奏するようになっていったというMyers。Multi-instrumentalistとしても知られるMyersのプロとしてのキャリアは、何とElmore Jamesのバンドでドラムスを叩いたところから始まるという。Anson Funderbergh & The Rocketsのフロントに迎え入れられて以来、ようやくその実力が全米中に届くようになったSam Myersであるが、TJ RecordsというMinor Labelからリリースされていた70年代のソロ・アルバムは、Myersの仄々とした和みの世界が楽しめる個人的なお宝でもあり、今でも引っ張り出しては、そのマッタリユッタリした世界に浸りたくなる大好きな音盤である。
『Down Home In Mississippi』はSam Myersが78年にギタリストのTommy Lee Thompsonと組んで、TJ Recordsからリリースしたアルバム。MississippiのFannieでのRecording Liveのようだ。
アルバム1曲目の“What's Wrong”はイントロからBlues Harpとギターの実にマッタリした絡みで始まる。そして何とも温かみのあるSam MyersのVocalが登場すると、身体中の力が抜けてくる。そして鄙びたBlues Harpの味わい深さときたら最高である。、
続いてもイントロのギターのフレーズとBlues Harpのユル~イ絡みがたまらない“Bad Acting Woman”。下手すると転寝が始まってしまいそうなユルフンなBeatの何と心地良いこと。ハエが止まりそうなBoogieを刻むギターにのったBlues Harpは極上の味わい。
“Things You Do”は一転して軽快なBoogieが調子よく刻まれていく。MyersのVocalも張りがあってイイ感じ。
“Homage To Elmo”はSam MyersへのInterviewでElmore Jamesのことなどが語られている。
ご機嫌なBlues Harpで始まる“Crutch And Cane”。この曲もノリの良いBoogieで、ジャッカジャッカと心地良いギターの刻みにMyersのBlues HarpとVocalがイイ感じで乗っかってSimpleだけど味わい深い独自の世界を創り上げている。
“From Now On”も似たような調子の曲だが、Myersの語り口が小洒落た感じで、聴いていて本当に気持ち良い。
中毒性の高いDopeなSlow Blues“Sad And Lonesome”は60年にFuryからリリースされた同曲の再演。
1分足らずですぐに終わってしまうインスト曲“Little Bit”。
前曲の続きとなる“What Have I Done”。MyersのVocalも絶好調。
最後をシメる“Jackson”。何ともマッタリユッタリしたBluesで心地良く終わるかと思ったら、コレはコレで楽しい終わり方。
(Hit-C Fiore)