Nivaldo Ornelasの名はEgberto GismontiやHermeto Pascoalのアルバムに参加しているSax/Flute奏者として記憶されていた。Minas Gerais州の州都であるBelo Horizonte出身のNivaldoは幻想的で静謐でありながら生命感に満ち溢れたMinasの香りをSaxやFluteで伝えてくれる。それだけでなく、自身のリーダー作からもわかるようにComposerとしてもMinasらしさに満ちた楽曲を書き、20世紀の音楽史上最も創造的で優美と思われる彼の地の音楽の伝統をしっかり受け継いでいるのがわかる。Nivaldoは本作と同じ78年にリリースされたWagner Tisoの1stソロ・アルバム『Wagner Tiso』のOpeningとなる“A Igreja Majestosa”をTisoと共作するなど2曲の楽曲を提供しているが、Tisoとの関係もありSom Imaginárioのメンバーとして活動することもあったようだ。 Nivaldoのソロ・デビュー作となる本盤にはSom ImaginárioからTisoの他にベースのLuís Alves、ドラムスのRobertinho Silvaを迎え、同郷の鍵盤奏者Helvius Vilela、ギターにはToninho HortaといったMinas人脈が結集している。さらにドラムスにBerimbau Trio出身で『Clube Da Esquina』にも参加しMilton NascimentoやElis Regina、Tim Maiaのバンドで活躍するPaulinho Braga、Tempo TrioのPascoal Meirelles、Cornett、Flugelhorn、Mellophoneを吹くMarcio Montarroyos、Banda Black RioのJamil Joanesもベースと12弦ギターで参加している。Coral De Pro Arteと名付けられたChoir他、子供や女性のChoirをFaetureした西洋の教会音楽の影響も受けたMinas独特の透明感のある静謐で敬虔な響きが、躍動感に満ちたリズム・チェンジを繰り返すリズム隊にのって夢見心地で見知らぬ世界を彷徨い歩くような心地良さを与えてくれる。
『Portal dos Anjos』はNivaldo Ornelasが78年にリリースした1stソロ・アルバム。BrazilのPhilipsがBrazilの有能なMusicianに世界への門出を開いたシリーズ"MPBC (Musica Popular Brazileira Contemporanea)" の中の一枚。
“As Minas De Morro Velho”は天使の歌声を思わせる清らかなChorusが歌うMinasらしいMagicalな旋律が素晴らしい。まるで夢の中をさ迷い歩いているようだ。
“Portal Dos Anjos”も重厚なイントロに続いて子供たちの歌声が清々しく響いていく。それにしても変幻自在の場面転換を経ながらMinasとしか言いようがない優美なChorusが心地良い浮遊感を伴う夢見心地の世界を描き出していく様は素晴らしい。Nivaldo OrnelasのSaxも決して派手に吹きまくることなくサウンドの重要な一要素としてImaginativeなソロを吹いている。
Minasらしい浮遊感に満ちた神秘的で美しいWaltzで始まる“Arqueiro Do Rei”はリズム・チェンジを繰り返しながら万華鏡のような世界を展開する。
“Ninfas”はMagicalな旋律を歌うScatによる幻想的なイントロから惹きこまれる。Toninho Hortaのギターの響きも素晴らしいがNivaldoのSaxが紡ぎ出す旋律に心奪われる。
Wagner TisoらしいMysteriousで壮大なArrangementが素晴らしい“Querubins E Sarafins”。CelloのClassicalな響きとピアノやChorusがElegantに描き出す風景が最高。
Jamil Joanesが弾くLyricalなTwelve-String Guitarで始まる“Sorrisos De Uma Criança”。NivaldoのFluteが軽やかに宙を舞っていく。ため息が出るほど美しい。
透明感に満ちたChorusに素朴なRecorderの響きが次第にスケールの大きい世界を描き出す“Cidadela”。
アルバム最後をシメるのは荘厳なChorusが圧巻の“O Que Há De Mais Sagrado”。
(Hit-C Fiore)