本盤は、 60年代にFranceを拠点を移し、素晴らしいLibrary Musicを世に出してきた奇才Janko Nilovićが70年代に残した総勢30名にも及ぶLarge Ensembleの傑作である。Giantと命名されたこのProject、ドラムスのAndré Ceccarelli、CelloにTrio PasquierのRoland Pidoux、ギターに名手Jean-Pierre Alarcen、Gérard Kawczynski、TrocのJacky Giraudo、José Souc、ViolaにPierre Llinares、ViolinにCatherine Bodet、TrumpetにFreddy Hovsepian、Michel Barrot、Ivan Jullien Big BandのMichel Poli、Bass tromboneに同じくIvan Jullien Big BandのGérard Massot、Michel Legrand BigbandのメンバーとなるMaurice Cevrero、TromboneにもIvan Jullien Big BandのJacques BolognesiとPierre Goasguen、ベースにはAntonio（Tonio) Rubio、FluteにはRhesus OのAlain Hatot、鍵盤にGraziella Madrigal、PercussionにJean Schultheis、SaxとFluteのJean-Louis Chautempsといった錚々たるメンツが集まったJazz Orchestraはスリリングで爽快感満点だ。変幻自在のリズム・チェンジをものともせず躍動的なドラミングで引っ張るCeccarelli、Emotionalにむせび泣くギターで魅了するJean-Pierre Alarcen、Clasicalで優美に響くViolinやCello、ViolaによるStrings Ensemble、次々に繰り広げられるめくるめくようなTrumpetソロやSaxソロ、手に汗握るSpectacleな展開に思わず惹きこまれてしまう。これだけの大編成を率いて、個々の名人芸を効果的に散りばめながら、聴き手を見事に自分の描き出す個性的で魅力溢れる世界に惹きこんでしまう、正ににMaestro Janko Nilovićである。

 

　『Giant』はGinatが72年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Black On A White Ground”。André Ceccarelliのドラムスが炸裂し高らかに鳴り響くHorn隊、厳かに鳴り響くCelloや男女混声Chorusが描きだすPrimitiveかつExoticな世界は唯一無二。Jazzyなギター・ソロも短いながら素晴らしい。

ギタリストJean-Pierre Alarcen作の“Underground Session”は10分越えの大作ながらアルバム一番の聴きモノ。Funkyにスリリングに盛り立てるリズム隊、Horn隊をバックにAlarcenの官能的に燃え上がるギター・ソロや抒情的な旋律を奏でるJazz Orchestraが鳥肌モノ。動と静のContrastの付け方も素晴らしい。

ゆったり始まる“Xenos Cosmos”も鮮やかなリズム・チェンジで一気に盛り上げるところが最高。迫力のChorus隊も圧巻。疾走するリズム隊、鳴り響くPercussionにのって風を切り裂くようなTrumpetソロが激カッコイイ。後半のChorus隊が入って来て一転、静かにStringsが鳴り響いたかと思いきや、再びChorus隊が炸裂。この辺のArrangementは実にニクイ。

Ceccarelliの激カッコイイFill Inから入るイントロが鳥肌モノの“Giant Locomotion”。SaxソロやTrumpetソロもカッコ良すぎ。Funkyなギター・カッテイングにFluteソロ、疾走感溢れるリズム隊、幻想的な鍵盤の響きからClassicalなStringsが織り成すElegantなEnsemble、心地良く舞うFuteソロへと連なっていくところはお見事としか言いようがない。

アルバム最後をシメるのは“Mouvements Aquatiles”。これまたClassicalなStringsの調べにChorus隊がLyricalな旋律を歌い上げ、心地良くも優美な世界に酔いしれる。

（Hit-C Fiore)