2019年は前年2位から一転して、最下位に低迷。2020年は高津臣吾新監督の下でAクラス返り咲きを狙う東京ヤクルトスワローズ編です。
2019年チーム成績
順位 セリーグ6位
勝敗 59勝82敗2分 勝率.418
打率 .244 (リーグ6位)
本塁打 167 (リーグ2位)
得点 656 (リーグ2位)
盗塁 84 (リーグ2位)
犠打 84 (リーグ4位タイ)
防御率 4.78 (リーグ6位)
失策 97 (リーグ5位)
2019年は前年度2位になりながらもCSではファーストステージで敗退。その悔しさを晴らすべくシーズンへ臨んだ。
開幕戦では入団2年目の村上宗隆が自身初の開幕スタメンを勝ち取り、最年少での開幕スタメンの球団記録を塗り替えた。チームは開幕直後から好調で、4月は巨人との激しい首位争いを展開するなど勢いを見せていた。
5月に入ると11日には村上が2リーグ制では史上18人目の高卒2年目以内での2桁本塁打を達成し、翌日の試合からは4番を任されるなど活躍が光っていた。
しかし5月14日から6月1日にかけて16連敗を喫するなど序盤で見せていた勢いは失われ、一気に最下位にまで転落する事態に陥った。
坂口智隆の不振やサードやショートが流動的になるなど、守備での綻びが目立ち、投手陣も小川泰弘やブキャナンが打ち込まれるなど、先発陣が試合を作れないという状況が続き、6月29日には早々に自力優勝の可能性が消滅した。
その後は徐々にチームの月間勝率自体は改善されていったものの、やはり16連敗の重みは強く、上位5球団との差はどんどんと離されていく時期が続いた。
9月には山田哲人が通算200本塁打、日本記録となる38連続盗塁を達成。またシーズン途中から4番を任された村上は10代の最多本塁打記録、高卒2年目の打点記録を大幅に更新するなど個人の活躍が目立ったが、最下位を抜け出すことは出来ず、59勝82敗2分と借金23を背負い、5位とは9ゲーム差、11球団に負け越しを許す屈辱的な結果で最下位に沈んだ。
小川淳司監督、宮本慎也ヘッドコーチが成績不振を理由に辞任。2軍監督を務めていた高津臣吾氏が新監督へ就任した。
オフには館山昌平、畠山和洋、三輪正義、寺原隼人が現役引退を表明。また外国人選手もデービット・ブキャナン、デーブ・ハフに加えて、9年間在籍したウラディミール・バレンティンが退団した。
ドラフトでは夏甲子園準V右腕の奥川恭伸を1位指名するなど6名の新人を獲得。また楽天を自由契約となった嶋基宏や長谷川宙輝、今野龍太を獲得。
また外国人選手では先発ローテーション候補のガブリエル・イノーア、マット・クック、MLB通算1367安打、ゴールドグラバーのアルシデス・エスコバーを獲得した。
キャンプ中にはヤクルト黄金時代を築いた野村克也氏が亡くなり、その教え子でもある首脳陣たちにとっては強い気持ちをもって望むシーズンとなり、今季は崩壊ともいえる状況の投手陣の再構築を進め、2015年以来のリーグ優勝を目指す。
投手陣予想
【投手陣寸評】
先発陣では、開幕投手に内定している石川に加えて、小川も開幕ローテ入りは当確。オープン戦で好投を続けるイノーア、スアレスの両名もローテ入りは有力という状況だ。
1軍では現時点で6名が競っているという状況で、この中では高梨が好投が続いており、この中では抜け出している印象。しかし開幕投手候補に挙げられていた高橋は、オープン戦での内容が冴えておらず、不安が残るがどこまで巻き返せるかがカギとなりそうだ。
2年目の清水やルーキーの吉田大喜、大西広樹らもアピールを続けており、まだまだ激しい競争となりそうだ。
中継ぎ陣では、守護神のマクガフ、守護神奪回を目指す石山が1軍当確。昨年中継ぎ陣を支えた梅野、近藤、五十嵐も1軍のメンバー入りは有力的な立場と言えそうだ。
残りの3枠を巡っては、6名が争っている状況。この中では今季ソフトバンクから加わった長谷川が大きくアピール。最速150キロのストレートを武器にオープン戦3試合で無失点と好調が続いている。
またドラフト3位ルーキーの杉山も4日の試合で最速156キロを計測し、2回無失点を記録。高津監督も「ヤクルトにはいないタイプ」と高評価を受けている。
昨シーズン大きく低迷した投手陣は、新戦力を加えて、巻き返しを図ろうという姿勢が明確だ。昨年のドラフトで指名した即戦力の大学生投手が開幕1軍争いに残り、イノーア、長谷川も好調を維持するなど、補強した面々が期待を持たせてくれる内容を示している。
開幕投手争いをした石川、小川の活躍も投手陣には大きな影響を与えているだけに、今年は良い形でシーズンを送るかもしれない。
野手陣予想
【野手陣寸評】
野手に関しては、中村、坂口、山田、村上、エスコバー、雄平、青木の開幕スタメンが有力的だ。特に村上はキャンプ中盤に足の張りを訴え、2軍での調整が続いていたが10日から1軍へ合流し、2軍では守備にも就くなど状態は問題なく、開幕4番もほぼ確実と言えそうだ。
バレンティンが抜けたことで青木がレフトに回るため、センターのレギュラー争いとなったが塩見が最有力候補となっている。オープン戦ここまで9試合打率.367(30-11)、2本塁打、3打点、5盗塁と好調。昨年もオープン戦では絶好調だったが、シーズンでは不振に終わるという結果だっただけに、今年は二の舞だけは避けてほしいところだ。
また楽天から加わった嶋が、若手投手らと組んで好リードをする場面も多く、投手陣の底上げ役も担っているという印象で、中村に何らかのアクシデントがあった際には手薄感もあっただけに、嶋の加入は心強い。
野手陣全体を見ると、バレンティンの抜けた穴をどうやって埋めていくのかという点が焦点だ。
山田、青木、村上という打線の軸がいるだけに、その脇をどのように固めるかによっては、バレンティンが抜けた分を補える可能性は高い。
またここ数年の課題となっているショートにエスコバーが加わり、内野守備に強固さが出てきている印象で、こういった部分も高津監督の方針が出ていると感じる。
今シーズンのキーマン
中村悠平
正捕手を担い続ける中村にとって、2019年の12球団ワーストのチーム防御率は大きな責任を痛感させることになった。
打撃成績では規定打席に到達し、自己最多53四球を選ぶなど好球必打の姿勢が顕著に表れる結果となったが、シーズンでは悪夢のような16連敗に加えて、チーム防御率4.78は12球団ワーストと扇の要として強く責任を感じさせることになった。
また8月下旬頃からは右肘の違和感を訴え、途中交代や試合を欠場するという事も増えるなど、終盤は正捕手としての役割を果たせないという状況も続いた。
そんな中で楽天で正捕手を担い続けてきた嶋が加わり、キャンプは12球団最多の捕手5名が1軍キャンプメンバー入りするなど正捕手がいる中でも競争を行わせるという方針を球団側は示してきた。
中村にとって今シーズンは自身の立場を左右するかもしれないシーズンとなるが、正捕手として不動の存在だった2015年はリーグ制覇を果たしたという事を考えれば、中村が定位置を守り抜けば大きな成果に繋がるかもしれない。
チームを支える大黒柱が、自身の立場とチームの浮上をかけた1年が始まる。
2020年注目の若手選手
長谷川宙輝
ソフトバンクで育成選手として3年間を過ごし、NPBの規約に沿って自由契約となった19年オフ。育成再契約の打診を断り、2020年からはヤクルトで新たなスタートを切る事を決意した。
その潜在能力の高さは、育成選手ながらも早くから注目を集め、幾度となく首脳陣からも高い評価を与えられ続けてきていた。
厚い選手層に阻まれた事や制球力の課題もあり、残念ながら支配下登録を勝ち取ることは出来なかった。そんな中で子供の頃から憧れていた球団からのオファーが届き、挑戦の場を移すことを決めた。
キャンプでも力強いストレートとスライダーを武器にオープン戦では好投が続き、現状では開幕1軍入りは堅い立場だ。
22歳で迎える新天地でのスタートだが、この1年で大きく輝けるか注目だ。