「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

「スターマンアルチ」が放つ!「爆音レコード!45回転」〜今夜この曲をあなたに〜 (カンサス編)

2019-08-22 09:42:00 | アナログ盤(レコード)
毎日蒸し暑い日々が続く8月です。
連日、外に出るのが危険なぐらいの猛暑と報道されていて、
各家庭でも、街の色々な施設やらショッピングモールとか、とにかく至る所で、
冷房をガンガンに効かせています。
 
こんなに電力を使っているのに、
数年前まで大きく叫ばれていた
「電力不足」
は一体何だっただろうと思う今日この頃です。

あの「原発が停止しているため、可能な限りの節電を」と
呼びかける東京電力のアナウンス。
(関東限定でしょうか?)
 
そう言えば、当時のYahoo Japanのトップページには、
「現在の電力使用状況」という類のグラフまで掲載されていましたっけ。
まるで「原発が再稼働しないと、あなた達の生活は大変なんですよ~」
と、国と企業が束になって、我々民衆を脅迫している感じ。
 
でもご安心ください。
あの頃よりも、圧倒的に暑い夏がやって来ている今ですが、
電力不足を大々的に報じるメディアはいません。
あの脅迫的な報道は何だったんだ!
と叫びたくなるのですが、
要するに電力は足りているのです。
 
だからってどんどん電気を浪費しましょう!
というわけではなく、
何事も無駄遣いは良くありません。
 
やっぱり夏は、ある程度汗をかかないと代謝も悪くなりますし、
体温調節の機能も麻痺してしまいます。
 
代謝が悪くなると、当然太りやすくなるわけで、
色んなダイエット方法が溢れている昨今、
一旦冷静になって考えれば
「運動=ダイエット」という、
もっともシンプルで基本的な解決方法に辿り着くはずなのですが、
「楽して痩せたい」というユーザーの願望を満たすため、
多くの企業は創意工夫、研究を重ね、あれこれと「これで楽して痩せます!」的な
商品を売り出すわけです。
 
話は少しそれましたが、何が言いたいかと言うと、
 
国やメディアは常に根拠のない情報操作で、
我々の不安を煽り、統制しようとしています。
そんな中、毎日雪崩のように押し寄せる情報(そして誘惑)を自分で精査し、
何が正しいかを見極める「自分の価値観」を持つことが大事なんだと思います。
 
その姿勢こそが「ロック」なんだと、僕は思うのです。
 
この記事を書いている今日、
僕の住んでいる藤沢の気温は最高35.0℃でしたが、
僕は毎日のルーティーンである
「30分のランニング」をこなしました。
 
と、強がってはいますが、
こちらの編集長「MASH氏」のようなトレーニングを日々積んでいない僕は、
さすがの暑さで少しフラフラ…
頭痛もしています。

ただ、この暑さの中でハードに戦った!
という、何とも言えない充実感があります。
 
そして、この「戦っている感覚」も、
「ロック」なんだと、声を大にして言いたい!
薬物にトリップする時代はとっくに終わりましたからね。
 
やはりこれからは、ポール・マッカートニー、ボブ・ディラン、ミックジャガー等の「師匠達のような
「演り続けることの強さ」から学んでいかねば、と思うわけです。
 
さてさて、そんな中、今回、MASH氏から送られてきた45回転シングル盤に針を落としました。
 
今回紹介する盤は
「カンサス」の1976年のアルバム「Leftoverture(永遠の序曲)」からのシングル
「A面:Carry On Wayward Son」
「B面:Questions Of My Childhood」
のカップリングです。
 
以前、地名を冠したバンドということで
「アメリカ」の盤を紹介し、
その際、カンサスというバンドが存在することも紹介しました。
 
しかし、「アメリカ」以上に「カンサス」というバンドについて、
話をしたことがないし、当然「カンサス好きです」という人に会ったことがないのです。
 
「カンサス」英語の表記では「KANSAS」。
アメリカ中西部に位置する州の名前なのですが、
この言葉を聞いて第一に思い浮かべるのが、
何と言っても、
「Ah~Kansas city!!」というポール・マッカートニーの熱唱でお馴染み、
ビートルズによるカバー、その名も「Kansas City」でしょう!
 
どうもそのイメージが拭えないのですが、
このバンドは「カンサス」と名乗った理由!
以前、「アメリカ」というバンドについて書いた記事で、
メンバーがバンド名に託した想いについて紹介しましたが、
カンサスの場合、
単純にカンサス州を中心に活動していたから名付けたそうで・・・・
 
そのエピソードから分かるように、カンサス。
一般的に「アメリカン・プログレッシブロック」等と表現されていますが、
プログレなど「何処吹く風」というような、
あっけらかんとした明るさがあります。
 
この「プログレッシブ・ロック」という言葉(ジャンル)について少し説明しましょう。
 
50年代の「ロック創世期」から、
その音楽は「シングル盤(45回転)」が中心で、
基本的に2分30秒~3分前後のものがほとんどでした。

シングル盤よりも、多くの曲を収録する事ができる
「LP」は、価格も高く、当時は「シングル盤の寄せ集め」というイメージで、
特に若い世代にはあまり浸透していなかったようです。
 
60年代に入り、ビートルズが、LPアルバムを、
単なる曲の寄せ集めでなく、一つの統一性を持った作品として制作し、
そこから、アルバムを一つのコンセプトに基づき制作する
「コンセプト・アルバム」の考えが広がっていきました。
 
そして、60年代後半から現れたバンド達、
代表的なのは「キング・クリムゾン」「イエス」「エマーソン・レイク&パーマー」等が、
所謂「プログレッシブロック」のバンドとされており、
一曲が20分を超えるほどの大作を多く発表しています。
 
もちろん、ただ延々と同じビート、アレンジで演奏しているのではなく、
その間にリズムチェンジもあれば転調もあり、幾つかのパートに分かれて構成された、
要するに「組曲」、クラシックにおける「交響曲」のようなことをロックで演ってみよう!というのが
「プログレッシヴ・ロック」の発想なのです。
 
そして、そうなると当然、
クラシックの影響の強い「キーボーディスト」がバンドの主導権を取る傾向が強くなり、
プログレッシヴ・ロックというジャンルでは、僕の敬愛する「キース・エマーソン」
「リック・ウェイクマン」を始めとする、それまでギタリストの影に隠れて脚光を浴びなかった
「スターキーボーディスト」達が登場します。
 
さて、そんな「プログレッシヴロック」ですが、
イギリスを始め、ドイツ、イタリア、オランダなど、クラシックの影響が強い国々で、
多くのバンドが誕生してきました。
 
じゃあ、イギリスと並ぶ、
もう一つの「ロック大国」であるアメリカはどうかと言うと、
60年代から70年代にかけて、
たとえば「オールマン・ブラザーズバンド」や
「ポール・バターフィールド・ブルース・バンド」
またはアル・クーパーが多くのミュージシャンとの共演を記録した「スーパーセッション」等で、
20分近い演奏を繰り広げることがありました。
 
ただ、これらは「ブルース」をベースにしたアドリブ(即興演奏)で、
その時々のミュージシャンの調子や、メンバー同士の掛け合いにより演奏のクオリティが左右され、
クラシック的に緻密に計算された「プログレッシブロック」とは、全く異なるものでした。
 
やはりヨーロッパには「クラシック」、
そしてアメリカには「ブルース」
という音楽が根底にあり、
たとえば生まれ育った地域の方言が中々抜けないように、
その血というか、土壌は中々乗り越えられないんだなーと、僕は思っていました。
 
さて、話は戻りますが、
今回紹介する「カンサス」は、
一般的に「アメリカン・プログレッシブロック」と呼ばれています。
 
正直言うと、僕の中のイメ―ジでは、
プログレッシヴロックは、イギリスを中心としたヨーロッパの物であり、
アメリカ人がそれらしいことをしても、やはりアメリカの土壌というか、
ブルース等のルーツミュージックの影響は隠せず、
ただの「ロックミュージック」に聴こえてしまうんじゃないかと思ってしまう。
 
同じアメリカのプログレッシブロックとしてカテゴライズされているバンドは、
「ボストン」「ジャーニー」「スティクス」などなど、
うーむ、どちらかと言うと、僕が敬愛する渋谷陽一先生が名付けた
「産業ロック」という言葉が良く似合うバンドばかりじゃないか。
 
その中で「カンサス」は、もっとも
「アメリカにおいて、最もプログレっぽいバンド」だと思っていて、
彼らのアルバム、特に1970年代までは、
文学的な歌詞だったり、キーボードを中心とした緻密なサウンドだったりは、
ヨーロッパのプログレッシブロックに通じる部分がある。
 
ただ、先ほども言ったように、やっぱり彼らのサウンドは「明るい」。
ボストン等よりも、もっと深みのある、プログレっぽいサウンドですが、
イギリス勢のそれとは違う、
その絶妙さがカンサスのオリジナリティであり、
最大の強みだと僕は思っています。
 
今回紹介する「A面:Carry On Wayward Son-B面:Questions Of My Childhood」も、
1976年にリリースされたもので、
バンドにおいてはバリバリの「プログレ期」の曲。
 
では、針を落としてみましょう!
今回は特に、
「アメリカのバンドにプログレが出来るのか?」という
部分に着目して聴いていきたいと思います。
 
レコード特有のチリノイズの後に聴こえてくるのは、
「Carry on my wayward son(疲れ果てた我が子よ、前に進むのだ)」
から始まる力強いアカペラのコーラス。
 
イギリスのプログレ勢で感じる、
ヨーロッパ的な霧がかった湿ったサウンドは一切なく、
コーラスなんてCSN&Yやカントリーミュージック的な、
太陽に照らされた爽やかさを感じる。
 
ギターなんては、なるべくブルース的なフレーズを排除したり、
曲もクラシック的なコード進行を加えて工夫しているのですが、
さすがに「歌」まではごまかせないなー、と痛感。
そこには、実に明るく美しいコーラスが響き渡ります!
 
演奏時間は5分ですが、その間に細かいリズムチェンジがあったり、
一瞬ピアノを中心としたバラードっぽいアレンジになったり、
ハードなロックサウンドかと思いきや急に、
エレキギターが一切カットされ、カントリーぽくなったり、
ギター、キーボードが互いにソロを掛け合ったりと、
しっかりと考えて作り込まれたアレンジで、
アルバム1枚をぎゅっと凝縮したような密度とダイナミック感があります。
 
「よくこれだけのアレンジを5分にまとめたなー」と感心してしまいます。
 
カンサスのドラマー「フィル・イハート」は、
ドラムを学びにイギリスへ渡り、
そこでプログレッシヴロックに出会ったことから、
そのサウンドを取り入れた方向に転換したそうなのですが、
 
イギリスのプログレをリスペクトしながらも、
しっかりと自分達のオリジナリティに消化している辺り、
ミュージシャンシップと、ロックの美しさを感じる!
 
さて、次にB面「Questions Of My Childhood」に針を落としましょう!
いきなり、ピアノの激しいタッチによるバッキングと、オルガン、シンセサイザーの
軽やかなリフが絡み合い、
キーボーディスとの僕としては、「大好物」な一曲。
 
カンサスには、キーボーディスとが二人もいるので、
2台の鍵盤によるアレンジが実に豊富!
 
この曲はもちろん、他の作品を聴いていても、
「あっ!こんなアレンジがあるのかー」
と、一人拳をぐっと握りしめてしまいます。
 
そして驚くべきことに、エレキギターの音は全く聴こえません。
アコギのバッキングが後ろの方で薄く聴こえる程度で、
その代わりに、重要な位置をしめているのが、
メンバーの「ロビー・スタインハート」によるヴァイオリン。
 
この人は、基本的にヴァイオリンと歌しかやらない、
ロック界でも中々珍しい「ロック・ヴァイオリニスト」で、
カンサスのサウンド、特にこの曲では、通常のロックバンドが、
リードギターを演奏するような個所で、ヴァイオリンのソロが入る。
 
彼のサウンドは、クラシックでは無く、カントリーミュージック的な、
どちらかと言うと「フィドル」と呼んだ方が良いような、
軽やかで陽気なプレイが多く、
それがカンサスの演奏の特徴の一つにもなっています。
 
さて、ここまで聴いて思うのは、
「えっこれってプログレなの??」ということ。
もちろん、シングル盤ですから、
アルバムとは違いポップで短めの曲が選ばれているのは確かですが、
 
どうも「アメリカン・プログレッシブロック」という言葉が、
彼らのイメージを捻じ曲げてしまっているように思えてしまう。
 
どの音楽もそうですが、
実際に「カンサス」の音楽を知るには、彼らの音楽に針を落とすしかないのです。
 
針を落とせば、縦横無人に広がる、
45回転シングル盤ならではの美しい世界があります。
 
最近、色々な人と話していて、
「これ、ネットでこんな評価でしたよ!」的な言葉をよく聞く。
まるで、自分の価値観や信念を、自分自身で決めるのではく、
インターネットなど、他人の評価で決めてしまっているようで、
毎回、悲しくなってしまいます。
自分の考えを否定されること、多くの人と自分の意見が違うことを、
極端に恐れているように思います。
 
安倍首相の言葉が詭弁か
真実かを見極めるように、
 
世に出回るダイエット商品の美辞麗句が
本当か否かを見極めるように、
 
その音楽が素晴らしいかどうかは、
最終的には、自分自身で決めるしかないのです。
感動するのは自分ですからね。
 
僕は音楽を通じて、
自分自身の価値観でしっかりと判断すること、
信念を持つことを教わりましたので、
 
そういった人が
「今後、少しでも増えれば良いなー」
と思うばかりなのです。
 
そして、良い音楽は、
必ずあなたの肩を
そっと「一(ひと)押し」する糧になるはず!
 

さあ、僕と一緒に

今夜も45回転シングル盤に針を落としましょう!

(企画・編集・校正・加筆リライト「Mash」)
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ゲストライター陣紹介
〈Starman☆アルチ〉
 
俺「Mash」のバンド
「マッシュルームハイ」の現メンバー
ドラム、キーボード、広報担当。

ジェリーズ軍団では
「ハウリンメガネ」
「ジョーカーウーマン」
と共に、音楽専門ライター陣
「ロック・マニアックス」
を2019年新規結成
 


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