24冊目捨てる本 不信のとき下 有吉佐和子 | リメイクし隊!使い切り隊!

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やったー٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

ネタバレ同書感想文

不信のとき 下 有吉佐和子


続き

本妻 道子との間にできた男児は1歳半
愛人 マチコとの間の女児は2歳になった。


浅井はうまく二重生活を送っていた。


才能のある妻
控えめで、自分が会いにいくのをひたすら待つ控えめな愛人
この二重生活に満足していた。



満足な生活が功をそうしてか
子供が生まれてからというもの
仕事にもツキも生じて部長に昇進した。
異例の大抜擢だった。




そうしてるうちに
子供を産んでからも、書道に命を捧げる様な妻は
とうとう日展で賞をもらい時の人となる。
それに伴い、書道教室も拡大していき
家の中には、子守の看護師
道子の母親も住む様になり、
他人の目を気にする肩身の狭い、居心地の悪い身分となっていく。





しかし、浅井には
マチコという素晴らしい愛人と、娘がいる。



愛人のマチコは将来は、
子供が小学生になる頃には地に足つけて暮らしたい。
だから今のうちに資金を作りたい。と
銀座のクラブで子供を預けて働き出す様になる。





そんなある日
浅井は、腹部に激痛が走る。
意識が遠のく様な痛みだ。
虫垂炎に腹膜炎を併発した重症だった。
手術を行い、2週間の療養が始まった。



入院中も
妻の道子と愛人マチコが
鉢合わせしない様に、やっていたのだが…



ある日、女2人が病室で顔を合わす。
ごめんなさい。間違いました。と部屋を出て行く愛人マチコ。
でも愛人との子供、文子が「パパ〜パパ〜」と泣き叫ぶものだから
すぐに事情を把握する妻


その場を切り抜けようと去っていく愛人。
それを追って出て行く妻


浅井は手術後の傷もある身。
どうすることも出来ず1人残されてしまう。
2人の女の間に何が起こったかわからず
途方もない不安を抱える。


気がかりで仕方ない。
その日以降、浅井の元には誰一人面会に来なくなった。
とうとう退院の日まで、誰も手伝いにくる事もなく、
一人で荷物を抱えて、家路に着く。


家には妻がいた。



あの女は、あなたに300万(今でいう3000万くらい)出してもらって、田舎に帰っておにぎり屋を出すと言ってましたよ。
お金さえ出してくれればいいって。
あの人は、あなたの事愛してないんですって。
ただ子供だけが欲しかったんですって。
結局のところ、血のつながりが1番ですからねって。
子供だけがどうしても欲しかったんですよって。

なんであなたを選んだのかと言えば
ちょうどいい適当な男だったから、
子供の父親としていいと思って
あなたにしたんですって。


これまでの男の様に、子供ができたら逃げるかと思ってたけど、
オタクの旦那さんは逃げなかったし、
あの人は、私と子供を守るって言いましたからね〜。
こちらから言ったんじゃないですからね。
でも言ったことには責任を持ってもらわないと…


そんな事をあの女は言ってましたよ。
よくも騙されて…


そして道子はとうとう切り出す。

あの女の子供は、あなたの子じゃないんですよ。
だって、あなたは無精子症なんです。
わたし達の子供は、人工授精によってできた子供です。
あなたに精子がないので、子供ができるはずがありません。
でもね、うちの子は、
あなたとわたしの子供なんですからね。



あちらの子供は全くの他人。
よその子ですからね。

まんまと騙されたんだと…


大学病院には証拠も残ってるのだという。


浅井は全くを持って混乱してしまう。



そして、間もなくして
浅井は会長に呼ばれる。
会長は、マチコのクラブの常連客だ。


君、マチコくんとの手切金に300万出してやってくれよ。
なんの、金で済むのなら楽なもんなんだよ。
300万はそれゃ高い。
それでも君は、責任は取るって言ったそうじゃないか。
彼女には、証拠を握ってるんだよ。



愛してるよ。子供と君の事は
出来る限り、責任を持ちたい。などと
マチコ宛に甘く書いた手紙や写真を突きつけられた。


なんなら
向こうは300万と言ってるが
僕が仲介に入り、200万にしてもらうよ。
退職金を前借りすればいいんだ。
君、男として惨めなことはしてはいけないよ。



こうやって、会長は
マチコとの関係は取り持つ様にして
会社内の派閥にも自分を誘いこんでいるのである。


200万と言えば
何十年も身を粉にして働いた
有終の美である退職金をそのままそっくり持っていかれる算用だ。

残りの、サラリーマン生活
楽しみを全て奪われた様な気分だ。

努力の証をまんま、あの女に持っていかれるなんて…
僕は騙されていたんだ。
僕の子供ではなかったのだ…
あの女に渡すわけにはいかない。


浅井は混乱した頭で
あの女の子供は僕の子供ではないんです。
僕は無精子症で、調べればわかります。
妻との子供も、人工授精なんです。
もう後のない浅井は取り乱して
恥も外聞もお構いなしで成り行きを暴露する。


会長は、沈黙の後
君、僕は余計な事をしてしまったね。
この話は無かったことにしておくれ。
と出て行く。


事についての弁解はできたが
これで浅井は会社では、誰の後ろ盾もなくなる事になった。


浅井には、パニック状態で
小柳老人に助けを求める。


しかし小柳老人も、
ハタチの愛人が、マンションから荷物と一緒に失踪していた。
夜中に、荷物を売り出て行ったのだ。


愛人の行きそうな街、店を探し回る小柳。


だが、愛人はいない。


家に帰ると
妻が身支度を整えて、姿勢を正し
今日、女の人がやってきて
この子はおじいちゃんの子供だから
育ててください。
本当は産みたく無かったのに、どうしてもって言われて産んだのよ。
わたしのせいではないからね。って
この子を置いて行ったわよ。
泣き叫ぶし、本当に大変だったんだから。
女はさっさと、男とタクシーに乗って出て行ったわ。


あなたは殺されかけてたんですよ。
女がね、
ムショに入ってた彼氏が、シャバに出てきたの。
おじいちゃんとの生活は終わりにして
彼氏と暮らすわ。


本当は私、おじいちゃんに3千万(今の3億)の保険が入ってるから、
おじいちゃんを殺しちゃおうって話してたの。
でも、あいつが又ムショに戻るのは嫌だから、
殺すのはやめようっていうのよ。
えらいでしょう?あいつ。


なんて言ってましたよ。
あなた、命も取られるところでしたよ。


あなたに愛人と、子供がいることは知ってました。
ですので、あなたの資産はとっくの昔に
私と4人の子供達に振り分けてます。

ちょうど、長男の嫁が一緒に暮らそうって言ってくれてますからね。
私はこの家から出ていきます。
この年になって、子育てなんてごめんです。

そして、小柳老人は60にして出来た
まだ2つの幼子と取り残された。
幼子は又泣き叫んでいる。




終わり


仕事の運もなくし、家でも肩身の狭い思いで妻と暮らして行くだろう浅井。

幼い2つの子供に、
大きな家で格闘しながら暮らしていくだろう小柳老人。


どちらの男も大失敗。
それでも、子供達との小さな幸せを感じられる小さな時間を持ちながら暮らしていくんではないかと思いました。


劇場型の小説で
ドラマを見る様で、面白い本でした。


やっと24冊捨てた。
今年中に100冊は厳しいな汗