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以前お世話になった仕事先でのこと。
会社の社長が現場に来所されるとのことで、仕事を早めに切り上げ、会議室で待機となりました。私を含め20人くらいが、社長との懇談会に参加しました。
社長は来所した目的を
『今は上と下の年齢層が離れてしまっていて、コミュニケーションがうまくいかない、どうやってコミュニケーションをとったらいいかわからない、という話をよく聞く。その背景はどうなっているのか、を自分で見たい』
と述べられていました。
そして、現場職員と社長との懇談が始まりました。そこで、ある役職者から発言がありました。
「下の人たちが何を考えているのか、何に悩んでいるのか、わからない。今まで部下を持ったことはあったが、1人とか2人だった。この現場で初めてこれだけの人が下についたことはなかった。彼らが何を考えているのか、まったく見えない」
社長は
「風通しがよくない状況ではないだろうか。風通しがいいとは、本音で言い合えること。言いたいことを気兼ねなく言えること。そのような場になっているだろうか、をよく考えてみてはどうだろうか。
何を考えているかわからない、ということは、相手が言いたいことはあるけれどそれを言おうとしない（言えない）からかもしれない。そのことをよく見つめてみる必要がある」
との答え。
社長の意見はよくわかるが、わからないこともありました。それは、発言した役職者が、なぜそんな発言をしていたのか？です。
なぜかというと、その役職者は部下や後輩の言い分を途中で遮り、自分（役職者）の言い分だけを押し通すことがしょっちゅうだからです。
傍らから見ていて、
「少しは言い訳聞いたげてよ」
と思ったのですが、その方はただただ自分の意見を主張するばかり。相手の言い分をすべて跳ね返しているように見えました。
それなのに、「部下の考えていることがわからないことが悩みだ」と聞いたとき、思わず吹き出しそうになったのです。
『聞く気ないのに、なんでそんなことに悩むのか？お笑いじゃないか？』
その直後、気づいたのです。
「この人はそもそも、相手を受け入れる気が無いんだな。特に下の人たちのことは」と。
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この方の、本当の悩みは
「なんで自分の言うことをわかってくれないのか？」
「なんで言うことを聞かないのか？」
ではなかったのではないかと、今更ながらに考えてます。
ところが、社長に向かって「なんで言うことを聞いてくれないのかわからない」とは言えない。そんなことを言ったら、社長に何言われるかわからない。だから、「部下が何を考えているのかわからない」と言ったのではないでしょうか。
おそらく、社長は気付いていたことでしょう。この方の本当の悩みに。
だから、社長はこう答えたのです。
「風通しがよくない状況ではないだろうか。風通しがいいとは、本音で言い合えること。言いたいことを気兼ねなく言えること。そのような場になっているだろうか、をよく考えてみてはどうだろうか。
何を考えているかわからない、ということは、相手が言いたいことはあるけれどそれを言おうとしない（言えない）からかもしれない。そのことをよく見つめてみる必要がある」
その役職者はうなづいていましたが、真意を理解できたのかどうか、本人のみが知るところです。
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このやりとりは、私（金山）が、
『コミュニケーションとは、何か』
を考える良いきっかけになっています。
まだ、これという答えは見つかってないですが、ハッキリしていることがあります。
『コミュニケーションは相手を受け入れ認めることからスタートする』
だって、相手とのやり取りなんですから。お互いの考えや意思をすり合わせて、より良い結果を出すことが目的なんですから。
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