走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

良い事を教える

2018年08月13日 | 仕事
同じ職場で働く医師が頭を抱えて診察室から出てくる。

あーもうダメ、あの患者が嫌い!と。

何を指示しても、いやだ、いやだと断ってばかり。じゃあ、自分で決めなさい、と言うとあなたは医者でしょう?!と突っかかってくる。どうして欲しいのよ!!!!と。

そして私の顔を見ると、美加!良いところにいてくれた。あの患者をあげるわ(ってものじゃないんですけど)私には難しすぎる〜 と。

私の答えはNo。だって私の患者数はキャパ以上。それにそう言う頭の痛い患者は大勢いる。ダメですよ、ときっぱり言った。

じゃあ、どう対処して良いか教えて〜と来たもんだ。

1. 境界線はきっぱりと
2. 医師として患者にベストと思う事を勧めているが、実行するのはあなた次第、と患者に自主選択能力がある事を自覚させる。
3. リスクがある生き方を選ぶ権利もあなたにはある(例えば肺がんのリスクが高くなるとわかっていて喫煙を辞めないのは、本人の自由意志)と伝える

患者は自分の体は自分のもので、自分でしかコントロールできない事を忘れがち。それに医療プラクティショナーだからと魔法の杖で何でも即治してくれると勘違いしている人も多い。そこを明確にすることも時には大事だ。そしてプラクティショナー側もしかり。治療側にできることは限られており、患者自身の健康に対する考えや態度に影響を与えることは出来ても患者を変えることは出来ない。要は治療施行者として限界がある事を忘れてはならない。

その医師は妙に納得して、次にやってみよう!良いこと聞いた、と出て行った。



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