夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

畠中恵〈はたけなか めぐみ〉著「わが殿」上・下巻 〈文春文庫〉

2024-03-28 14:01:06 | 本と雑誌

 

 

 

幕末 小さな大野藩も借財にあえいでいた

15歳の若殿の利忠が目をつけたのは・・・まだ19歳の内山七郎右衛門

後年 利忠は七郎右衛門のことを「打出の小槌」と呼ぶことになる

あまりにも多額すぎる借財返済の為に 七郎右衛門が手をつけたのは銅山だったが

「誰かに」背中を押され負傷する

江戸から明治へ世の中は大きく変わり 最後まで利忠との約束を果たし 大野藩の為に生きた七郎右衛門

75歳で没するまでの奮闘ぶりを十章に分けて描かれている

 

 

「しゃばけ」で世に出てシリーズ化し 他にも「まんまこと」など人気シリーズを抱える著者が これは初めて書いた歴史小説

実在の人物をとても魅力的に書いておられます

 

解説は文芸評論家の細谷正充さん

 

 

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マイクル・コナリー著「正義の弧」上・下巻 〈講談社文庫〉

2024-03-23 10:22:05 | 本と雑誌

 

 

 

長年 警察官を続けてきたが 私立探偵として生きようとするハリー・ボッシュを かつて同じ事件で組んだレネイ・バラードが立ち上げた未解決事件班に参加してくれと話しをもちかける

ボッシュが現役時代に犯人を逮捕できなかった事件を捜査しなおしてくれていいからーという条件で

ボッシュが気がかりだった事件とは 一家四人が行方不明となり その死体が埋められた砂漠で発見されたというもの

 

そしてレネイが新しく未解決事件を捜査する班を立ち上げる条件は 市会議員のジェイク・バールマンの若くして殺された妹・・・・・彼女を殺した犯人を見つけてほしい・・・・・

長年警察官として生きてきたボッシュには それなりの人脈もある

何よりも刑事としての勘

殺された 被害にあった人たちへの真摯な思い

だが・・・もうボッシュの体はぼろぼろだ

若い時とは違う

それでも不屈の精神で事件に 犯人に立ち向かう

今回もボッシュは幾度も危機にあう

銃口を向けられ 負傷もする

それでも・・・怯まない

 

一つの大きな事件が解決した後 ボッシュは姿を消す

一家四人殺しの犯人の逃亡先の手がかりを得て・・・単身そこへ向かう

当初 ボッシュには別な目的もあったが・・・・・

一方 連絡がとれなくなったボッシュを案じるレネイとボッシュの娘は 二人してボッシュの家に行き・・・・・そこでなんとも心配な薬を見つけてしまった

 

人の生命は永遠ではない

死ぬが運命 此の世に生まれてきた限り

消える時は やってくる

 

そうした寂しさ 或る種の苦さも

いつかマイクル・コナリーの作品からボッシュの名が消えてしまう日も訪れるかもしれません

 

 

古沢嘉通さん「訳者あとがき」では いつもマイクル・コナリーの作品や今後の翻訳予定についても書いて下さっています

 

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染井為人著「海神〈わたつみ〉」 〈光文社文庫〉

2024-03-22 06:44:02 | 本と雑誌

 

 

著者によるあとがきのタイトルは「3.11を死なせてはならない」だ

著者は東日本震災の被害者ではないが 震災後しばらく無気力状態が続いたという

そんな著者の耳に飛び込んできたのが 歌手の泉谷しげる氏が震災後の復興支援活動をしている際に 飛び交う揶揄に対して発した造語「一日一偽善」

著者はこれをいい言葉だなと思ったとか

当時イベンターだった著者は 〈この言葉に背中を押されたのかわからないけれど〉復興支援のビジネスに能動的に関わるようになったが

あくまでビジネスとしてであり ボランティアではないので 無償で復興に貢献していた方々とは一線を画すのだと

しかも震災時の現地の混乱に乗じて 詐欺横領 窃盗 性暴力など人ならざる行為を働く者たちも少なからずいたようだ

 

この小説「海神」を執筆しながら それらの悪をもれなくつめこんだが 書いていて自分の心に澱みのようなものがたまり書けなくなった

それを完成させるべく再起させてくれた一冊の本

それが読売新聞社・著「記者は何を見たのか」

記者たちが心血を注いで紡ぎあげたルポルタージュ

記者たちの矜持と覚悟

自分たちが見たものを 人々に後世の人々にも伝えるのだという

 

著者は「死」は二度訪れると記します

肉体が滅びた時

人々の記憶から忘れ去られた時

 

であるならば 3.11に二度目の死を与えてはなりません

この物語が3.11の生に貢献できることを願って

 

ー書かれた物語・・・なのだそうです

 

 

さて「海神」は 震災の被災地に「何かできることはないだろうか」と身一つで駆け付けた女子大生の椎名姫乃が 天ノ島で献身的に働いている様子

その彼女が島で金儲けを企む男を知らずに騙され やがてその悪事を知り

知ってしまったことで その肉体まで汚されてしまう

 

また島を大切に思う 震災で両親を失った記者

島の助産婦を長く続け孤児たちの世話もしている女性

震災の日に生まれた少女

島の救世主と信じた男が詐欺師に過ぎず 騙されたことに責任を感じ 切腹自殺した村長

島の人々をあくどく騙し 巨額を奪った男の行状 言動

この男により ぼろぼろの人でなしの人生を歩まされた青年

この青年に「何か」を取り戻させることができたような姫乃

 

救いは震災の日に生まれた少女の無邪気な言葉と笑顔

 

 

2024年 1月1日

石川県 能登

大きな地震がありました

多くの方が亡くなられ 家は壊れ 道路も・・・・・

もうどうしよう 明日からどうすればいい

これからどこで生きていけばいいんだ

うずくまりたくなるような もう動けない・・・

そういう方々をリフォーム詐欺とか早々に食い物にしようとする輩もそうそうに出現

ビニールシートを高額で売りつける

困っている方々をさらにカモにしようとする輩たち

親切ごかしに近づいて

こういう輩たちに 相応の天罰がありますように

 

 

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染井為人〈そめい ためひと〉著「悪い夏」〈角川文庫〉

2024-03-21 14:39:16 | 本と雑誌

 

 

26歳の佐々木守は公務員だ

生活福祉課・保護担当課に籍を置いている

親切で心優しく真面目な人間・・・・・のはずだった

それなのにー

 

生活保護の受給者にも様々な人間がいる

ずうっと貰い続けて当然・・と開き直ったり

佐々木の仕事は人間の嫌な面を見なければいけない仕事ではあった

あったのだが 女性経験が無い まともな恋愛経験がない佐々木は・・・ある女に出逢ってしまった

生活保護の不正受給者を増やし そのピンハネで金を荒稼ぎ

かつてはばをきかせた街へ戻ろうとする金本

金本の情婦でレディース上がりの暴力女

生活保護受給者で金本から仕事をもらって麻薬販売にいそしむ山田

生活保護受給者なのに水商売している弱みにつけこみ その女の肉体で己の欲望処理している公務員の高野

その高野と不倫していた宮田

 

このぐずぐずの人間関係が 一番まともに見えた佐々木をも転落させる

惚れたと思っていた女に騙されヤク中にされて どんどん壊れていく

壊れた佐々木が生活保護申請に来たある母子〈この人間こそ 一番まっとうに生活保護を受けさせてあげるべきであった〉に わけわからない言葉を投げかけ

この母子は命を絶つ

刃物振り回して・・・乱闘・・・・・

それから 数年後

職も失った佐々木は・・・・・生活保護受給者になっていた

 

「悲劇と喜劇」と題して 著者のあとがきがあります

 

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遠田潤子著「紅蓮の雪」〈集英社文庫〉

2024-03-20 15:35:52 | 本と雑誌

 

両親から愛されず育った男女の双子

結婚が決まっていた姉の朱里は・・・婚約破棄し 二十歳の誕生日に死んだ

弟の伊吹に「ごめん」とだけ書き残して

姉の遺品を整理していて伊吹は 旅芝居の一座の半券があることに気づく

姉からこうしたものが好きだ 趣味だとは聞いたことがなかった

姉の突然の自殺の真相があるのかと この一座の舞台を観劇に出向く

そこで目を奪われたのは一人の女形 鉢木慈丹

伊吹より僅かに年上に思うが 彼には妻も舞台で子役として出る娘もいた

何故か幼少より母から剣道と日舞を習いにいかされていた伊吹

観客として来ていた伊吹に慈丹は 一座に加わらないかと熱心に誘ってきた

姉と一座との接点は見つからないまま 伊吹は一座に入る

 

父親からは冷たい心が凍り付くような言葉しかかけられなかった伊吹

自分は汚いのだ そう思い 人から触れられることも耐えられず

姉の朱里と二人寄り添い守りあってきた

しかし 姉はもう居ない

馴れぬ舞台に立つうちに・・・一座の人々とも打ち解けることが少しずつできてくる

 

かつて一方的に伊吹にしつこいほどの思いを寄せ 叶わぬとなると 逆恨みもした幼馴染の娘の和香が 自分をこんなにしたのは伊吹だと刃物持ち傷つけようとし 慈丹の顔が傷つけられる

いくら告白しようが 拒否され続けているのだから 自分には脈がないーと素直に諦める賢さもなかった娘

また娘の母親も逆恨み体質で・・・まず自分の娘が悪いのだと反省とかそういうこともできない人間

娘がこうなったのは相手のせいだと 他人が悪いと文句を言いにいく

恥をかくのは自分だと思うのだが

まずそういう娘に育てたのは自分なのだと そこが反省できない

まず他人を傷つけたなら まして刃物まで振り回しているのだから 謝罪あってしかるべきだが

というかね この物語の母子は人柄 性格的にもそっくりで

まさしくこの母にしてこの子あり

でも現実にもこういう親子は多い

なるほど この親なら ああいう子も育つよねーと

 

自分の出生の秘密を知り 両親と一座の深い関わりも知って・・・・・一座を抜け出し 母親と向き合う伊吹

父親も苦しんでいた そして 首を吊って死んだのだ

 

朱里もどうして自分たちが生まれたのか どうして両親から愛されないのか知ってしまった

この秘密から伊吹を護ろうとして 独りで死んだ

秘密を知った朱里が向き合った母親は・・・・・朱里を救う言葉などかける女ではなかった

同じ地獄へと・・・・・・

どこか狂いながら生きてきた人間なのかもしれない

 

伊吹は慈丹によって死の淵から引き戻された

これからは両親の子供としてではなく 慈丹の従弟として 舞台に立ち続けるのだろう

 

 

解説は書評家の三宅香帆さん

 

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中山七里著「テロリストの家」〈双葉文庫〉

2024-03-19 19:59:44 | 本と雑誌

 

真面目に真剣につとめてきた公安での仕事

ある日 取り組んでいた仕事から外され 怪訝に思ううち 就職活動中であった長男の秀樹が テロに関わる容疑で公安にひっぱられる

警察官ではあるが公安に所属することは家族にも言ってなかった幣原

取り調べの公安のやりかたは勿論熟知している

 

何故息子がそういう思想に染まってしまったのか

テロリストの家族ということで世間から攻撃を受け 家族からも責められ 職場では疑われる幣原

 

マスコミの取材攻勢 自分たちが正義 鉄槌を下すという上から目線の言葉たち

娘は妻の母親が騒ぎが落ち着くまで預かってくれることになる

幣原という珍しい姓から 連行された秀樹の身内と知られ 娘の可奈絵は学校ではいじめにあっていた

ところが公安が泳がすために自宅へ返した秀樹は 幣原の目を盗み 自室のベランダから脱出

死体となって見つかる

誰が秀樹を殺したのか

 

事件を捜査する刑事たちからは容疑者扱いされ 公安の仲間からは監視される幣原

息子を喪って混乱し悲しみのなか 精神崩壊すら心配される幣原の妻は ある行動に出る

家族を護り 息子を殺した犯人を見つけようと動く幣原

そして幣原は ある人物の言葉から「犯人」を見つけた

 

騒動もおさまりはじめ 娘の可奈絵が帰ってくる

けれど 幣原は娘のことを案じてかけてきてくれた娘の友人からの電話で気づいてしまった

誰がテロリスト志願であったのか

 

妹を庇いまもろうとして身代わりとなった兄

気づいてやれなかった幣原

 

 

どんでん返しを仕掛けるのが得意な作家さん

素直には終わってくれませぬ

 

解説は書評家の細谷正充さん

 

 

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「アンコール!!」〈2012年 イギリス映画〉

2024-03-18 19:48:45 | 映画

 

老夫婦 妻は車椅子を使い介護が必要な状態

物語が進むと 妻はかつて重病にかかり・・・・・だからこそ人生を大切に生きているのだとわかる

前向きな妻のマリオン〈ヴァネッサ・レッドグレイブ〉の楽しみは 若い女性エリザベス〈ジェマ・アータートン〉が指導してくれる高齢者ばかりが参加する合唱団その名も年金ズに通うこと

夫のアーサー〈テレンス・スタンプ〉は送り迎えはしてくれるけれど練習場には入ってこない

いつも外で待っている

息子のジェームズ〈クリストファー・エクルストン〉とも アーサーはうまくいっていないようだ

孫娘のことは可愛がっているのだが

不器用で頑固なアーサー それゆえに人から誤解され 息子からも理解されない

アーサーがその優しさ 人間的な温かさを素直に見せるのは 妻に対してだけ

同じベッドで眠りにつく前 マリオンはアーサーに言う

毎夜のしきたりのように 「これが最後のキスになるかもしれないから キスして」

重い病気を患ったことがあるマリオン

そう言って彼女は夫に甘え 夫は妻の願いにこたえてキスする

 

おそれていたことが起きる

マリオンの病気が再発してしまったのだ

高齢ゆえに・・・積極的な治療はできない

マリオンを心配してくれている年金ズの人々にすら 怒鳴ってしまうアーサー

けれどマリオンが願ったから アーサーは謝罪する

マリオンはソロも与えられて 集まりの中で歌う

その歌はアーサーに向けた愛の言葉

息子と孫娘も聴いている

それから間もなく マリオンは眠るように息を引き取り

アーサーの悲しみは深く 深すぎて

息子も悲しんでいることに気づけない

 

自分みたいな人間からは離れているほうが息子の幸せなのではないか

自分の性格ゆえに息子を今以上に傷つけることをおそれる

 

明るいマリオンが自分の妻となり幸福を与えてくれたことは奇跡のようなことだった

だけど もうマリオンはいない

話し相手もなく日々マリオンの墓に向かって これが今日自分のやることだーなどと話しかける

マリオンは自分にとっての太陽 天使のような存在だったから

マリオンの死後 アーサーはベッドで眠れず ソファーでやすんでいる

 

気にかけるエリザベスはアーサーの様子を見にきてくれるが

そんなエリザベスが恋人にふられたとき 夜に訪ねたのはアーサー

かつてマリオンが言ってくれた言葉を教えるアーサー・・・エリザベスは笑顔を取り戻す

エリザベスは アーサーが歌えることも知るのだ

マリオンには歌っていたと

それからエリザベスの働きかけもあり アーサーは年金ズに参加するようになる

ジェームズにも最悪の父親であっただろうと反省する言葉も

ジェームズは父親に認めてほしくて どんなに頑張ってもダメだった

 

アーサーは他人には自慢の息子だと話していたと

ジェームズは直接ほめてほしかったのだ

「よくやった」の一言がほしかった

 

合唱団のコンクール会場で年金ズは規格外・・・だから出場できないと言われてしまった

帰りのバスに乗ったけど みんながっかり 張り切っていたのに

エリザベスもしょんぼり 

そこでアーサーは バスのドアを開けろ 降りるぞ

会場で歌うのだと

年金ズのみんなも揃って舞台へ

追い出すのは無理と見た進行側が 司会者に「紹介して」

そこで年金ズは歌い始め

アーサーもソロで歌う

現在〈いま〉はここにいない亡き妻マリオンに捧げるような 語りかけるような曲を

会場では息子も孫娘も聴いている

 

帰り道 アーサーはみんなと一緒にバスには乗らず 息子の車で 息子や孫娘たちと話しながらの帰宅

年金ズのみんなはバスの中で 3位入賞をトロフィーを抱えて歓びに湧いている

 

自宅で穏やかな表情で眠るアーサー

おやじはもう寝てるだろうけどーと 嬉しそうな声でジェームズからの電話が留守電に録音されている

帰りの車の中でいっぱい話せて嬉しかったよーと

 

孫娘さんも素直な性格で愛らしかったです

どっか おしゃまさんで

 

 

老夫婦メインの物語 少し若い頃なら見向きもしなかったかもしれません

テレンス・スタンプさん

「血と怒りの河」のブルー〈ならず者に育てられ それでも守る側になり命を落とす〉

「コレクター」異常な殺す人

「スーパーマン」の悪役

なんかね 印象的な役柄を多くこなしてきたお方

詳しく知りたい方はこちらへ↓

テレンス・スタンプ - Wikipedia

 

お若い頃は二枚目っぽい役もなさっていたお方

こういう普通のおじいさんを演じるようにもなられたのだわと

エキセントリックな役柄が印象に強いからでしょうか

 

 

そして妻のマリオンを演じたヴァネッサ・レッドグレイブさんはこちらも名女優

勿論 若く美しい時代もありました

そうそうたる俳優さんと浮名を流したことも

女優としての情報はこちらで↓

ヴァネッサ・レッドグレイヴ - Wikipedia

 

女優 続けておられたのだなあと

 

映画でね 年金ズのメンバーが みんな陽気で

圧倒されるようなパワー

 

派手さはないかもしれません

観る世代や その人の性格でも評価はわかれるでしょう

家族の介護や 家族を看取った経験ある人なら・・・こう胸に来るものがあるのではないでしょうか

 

 

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日明恩〈たちもり めぐみ〉著「濁り水」 〈双葉文庫〉

2024-03-17 09:34:55 | 本と雑誌

 

 

 

 

 

 

 

 

成りたくてなったわけではない

続けたくて続けているわけでもないーそんなふうにぼやきながら やるべきことは必要以上にしている大山雄大

職業は消防士

彼を主人公とするシリーズ

今回は 母親が車の下に・・・・・そして水がたまっている

早く助けてくれー

駆け付けた消防士が奮戦するも 車の下から出された母親は既に死んでおり・・・・・

それでも必死に救助にあたった隊員に遺族から投げつけられた言葉は・・・

「どうして もっと早く来てくれなかったの」

 

間に合わなければ・・・それが不可抗力のことであっても 助けようとしている人間だって傷つく

消防隊員だって 救急車の乗員だって「おたすけまん」でも「便利屋」でもないのだ

出来ることとできないことがある

 

まして この場合は・・・・・

 

大山は 台風の時に守った老人とこの死んだ母親の葬儀の日の家の前で再会

するとこの老人は謎の言葉を呟く「助けようはなかったよ」

この言葉の意味を探るべく老人を捜す大山

 

災害にあって 家の安全性を心配する人々をカモろうとリフォーム詐欺をする人間もいる

この住居改悪により火事が起きる危険性もおおいにある

大山はある事に気づき 頼れる友人や守さんの力もおおいに借りて 解決すべくのぞむのだ

 

泥棒して生きてきた老人の決意

それは 孤独な人生のなかで 「ある優しさ」に打たれ その人物の為に力になろうとすること

いいことをしておきたいーそんな気持ちもあったのかもしれない

「いいんだ これでいいんだ」

 

性格の違いから親を恨み憎み殺す娘もいる

人は相手次第で鬼にも菩薩にもなれる生き物

自分の苦しみばかりに目がいき 周囲が見えなくなることもあるだろう

不満ばかりで「感謝する」ことを忘れてはいないだろうか

誰かに「有難う」といえただろうか

心の中でもいいから

 

同じ著者の作品で「それでも警官は微笑う」「そして、警官は奔る」「やがて、警官は微睡る」「ゆえに警官は、見護る」ー武本と潮崎シリーズも

 

 

 

 

 

 

 

 

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あさのあつこ著「渦の中へ」 〈PHP〉

2024-03-16 18:35:31 | 本と雑誌

 

 

医師の藍野松庵の娘として育てられたおいち

彼女は女ながら医師を志すようになる

そして腕のいい飾り職人の新吉と所帯を持つこととなった

 

裕福な商家の妻である母の姉おうたも何かにつけておいちを気にかけてくれている

このおうたと松庵の歯にきぬきせぬやりとりも面白いシリーズ 第6作目になります

 

婚礼の席から治療に出向いたおいちに おうたは婚礼のやり直しをするよーと言ってくる

おいちは同じ長屋から出ていった男のことが案じられて

女性ながら医師を志す娘たちも増える

江戸時代

女ができない なれないと思われた道は多くて・・・・・

女房に死なれて 新しい女性と知り合い家族になろうと 再び生き直そうとしていた男

その気の良さを利用された男

これが偽の犯人と仕立てられ そのお仕置きも迫る中

彼を救おうと 岡っ引きの仙五郎とその配下 それぞれが動くと・・・・・

己の悪事が発覚しないようにと店の主人殺しを企んだ男

彼は罠にかかり正体を現す

 

おいちには 生きていない人を視〈み〉ることがあります

現〈うつつ〉でも夢の中でも 何かをおいちに訴えたいなどと思うモノが姿を見せることも

ゆえに「おいち不思議がたり」

 

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高田郁〈たかだ かおる〉著「幾世の鈴」 〈ハルキ文庫〉

2024-03-15 19:21:59 | 本と雑誌

 

 

BSNHKでドラマ化もされた小説です

 

あきない世傳シリーズ 特別巻の下

学者だった父 そして兄の死後 大坂の商家「五鈴屋」で働くこととなった少女・幸〈さち〉が その聡明さを見込まれ

五鈴屋の三兄弟の嫁に次から次へとなることになった

相思相愛でもあった三人目の夫の死後 大坂では女は店主にはなれないことから

江戸へ出ることを決意

艱難辛苦の末に・・・江戸店も大きくすることができて

店を支え続けてくれた賢輔〈けんすけ〉と夫婦になり 大坂へ戻ることとなった

などというのが本筋

 

第一話「暖簾」

大坂で長く「五鈴屋」の為に尽くしてくれた周助

しかし彼には 最初の店の「桔梗屋」の暖簾を再びかかげたいという宿願があった

もとの桔梗屋の主人 親旦那の孫六が生きている間にぜひとも

ただ店の商いの方法は・・・己の裁量でやってみたいこともあったのだ

そしてどうカタをつけるべくか

ある難問にも頭を悩ませる

 

 

第二話「菊日和」

五鈴屋の店主の妻でいる間から幸を可愛がってくれていた菊栄

五鈴屋の店主と離縁しても 幸のことは何かと心にかけていてくれた

菊栄自身もなみなみならぬ商才があり 常に新しい商品を心がけている

本両替商の主人となった かつての五鈴屋三兄弟の次男だった男は 五鈴屋につながる者をそれとなく気にかけている

 

第三話「行合〈ゆきあい〉の空」

その犯した罪ゆえに夫と共に江戸を追われた結〈ゆい〉

姉の幸と自分を比べ 妬み羨み どういう手段を使っても姉に勝とう

陥れようとした結果・・・・・

どうにか夫と旅籠を切り盛りし 二人の娘を育て

なのに姉の幸を思わせる姉娘の言動が・・・気に障る

夫への不満 かつての栄耀栄華が忘れられず

二人の娘が病気で死にかけて初めて 自分がしようとしていたこと

そのあさましさ みにくさに気づく

母や姉が自分へむけてくれた真心・愛にも・・・ようやくようやく遅ればせながら

それなのにただ迷惑ばかりかけてきた自分

それでも気づかないよりはまし なのかもしれない

 

 

第四話「幾世の鈴」

江戸から大坂へ戻ってからの幸と夫の暮しが描かれる

五鈴屋に幸の人生に関わってきた人々 彼らの様子も

 

次の百年に向けて 五鈴屋が続いていくようにと

書かれ始めるものがある

それこそが「あきない世傳」

 

 

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作ったものから

2024-03-15 19:11:17 | 子供のこと身辺雑記

フライパンを買い換えた

ホームセンターさんで安売りで♪

長く使っていたものが やたら焦げ付くようになり そのうえ重い

思い切ることにした

深さあり径28センチ なかなか使い勝手がいい

骨付きもも肉に塩胡椒まぶしておいたのに 小麦粉ぱたぱたして焼き付けてみた

キャベツと角切りベーコンとブロッコリーを炒めたのの上に

 

長男の昼食に 食パンはオーブントースターで焼いてブルーベリージャムのっけて

 

茄子を縦半分に切り 格子状に切れ目を入れて フライパンにサラダ油を入れて焼く

オーブントースターの皿に茄子を並べ 味噌〈白味噌・味醂・酒・砂糖を混ぜて加熱したの〉を塗り 10分ほど焼いたの

 

肉じゃが

 

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あさのあつこ著「野火、奔る〈のび、はしる〉」 〈光文社〉

2024-03-14 09:50:00 | 本と雑誌

 

 

「弥勒」シリーズ12作目

本の帯には

ーあさのあつこが とまらない

読めば読むほどスリリングー

ーひりつく男と男

ニヒルな同心木暮信次郎X元刺客の商人遠野屋清之介

尋常ならざる者たちの本性に迫る

「遠野屋」を次々と襲う不穏な動き、

血の匂い、底なしの闇。

炙り出される真実とは?ー

 

今は遠野屋で住み込みで働くおちやだが 八代屋へ引き取られ娘として育てられた

そして遠野屋との縁談を持ち込まれたのだが

おちやを引き取り育ててくれた先代は横死を遂げ 様々なことのあと

おちやは遠野屋で働くことを選んだのだ

そのおちやに八代屋の手代の井平が町なか近づき 強引に連れ帰ろうとする

居合わせたおくみと逃げ帰るおちやだが

 

いっぽう遠野屋の大切な荷を積んだ船が行方しれずになる

誰かが動いているのか 思案に沈む遠野屋の主人清之介

 

匕首で殺された男がいる

死体の検分をする木暮が気づいた妙なこと

再びおちやがかどわかしにあい 一緒にいたおくみも酷い傷を受ける

 

八代屋の主人の長太郎はさらってきたおちやが言うことをきかぬことに逆上し 襲いかかる

商売の才も無く 望む縁談も破談になりそうで そのことごとくに遠野屋と比べられてのことと・・・・・

自尊心ばかり高い男の僻み心

それを利用し遠野屋を潰しておきたかった人間

彼らの仕組んだこと

その将来〈さき〉までも見抜いていた木暮

 

事は一旦解決したが 物語の終わりはまだまだ不穏なものを見せている

底に隠れているモノは ひどく恐ろしく残酷であるかもしれない

はたして みんな幸せ 大団円ーなんて終わり方をこのシリーズは迎えることができるのだろうか

それとも誰かが欠けるのか・・・・・

ゆえにこわいものみたさで 読み続けてしまうのかもしれない

 

 

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柴田よしき著「別れの季節〈とき〉」 〈ハルキ文庫〉

2024-03-14 09:35:08 | 本と雑誌

 

「お勝手のあん」シリーズ第9作目

父親に売られた小さなやせっぽちの女の子やす

手違いから旅籠の下働きにと

そこで品川で旅籠をする紅屋の大旦那様の目にとまり 紅屋の下働き

お勝手女中として住み込みで働けることに

紅屋ではおなかいっぱいご飯を食べることができた

それまでの暮しは ろくに金をいれない父親のため 母親違いの弟と何か食べるものを拾って工夫して・・・どうにか弟に食べさせる

 

紅屋の料理人の政一は やすの料理人としての才を大切にし導いてくれる

努力と精進を惜しまなかったやすは 料理人としての職

認められてこれまでは住み込みであったけれど 通いの人間になる

いっぽうやすの大切な友 お小夜は産んだ子供のことで悩んでいた

お小夜の夫は子供の為に大きな決断をする

その大店を親戚に譲り 人目も多い江戸から長崎へ移り住むということ

一緒に長崎へ行かないかーと お小夜はやすを誘う

迷ったけれど やすは自分がどう生きたいかどうなりたいのか考えての決断

お小夜も受け入れてくれた

 

幕末近く 時代も進んでいきます

市井の人々も感じずにはいられない世の変化

これから更に激動の時代を迎えることになるのですが

 

 

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すべては・・・春のせい・・・にしようか

2024-03-14 09:12:20 | 子供のこと身辺雑記

おかずを作る時に お肉屋さんでもらったカレンダーを参考にしたり 真似っこすることも多いです

お♪丁度この材料ならあるぞーってな感じです

牛肉と小松菜の甘酢醤油炒め 作ってみました

 

今週は雨の日が多くて

ある日などには 姑の支払いで四か所ばかし回らないといけなかったのですが 病院関係は午後から数時間休み時間に入るので 午前中に支払いに行き それから他市までバイパス走って その行がけに反対側〈つまりは帰りに通る道〉で事故あって車線規制中

渋滞しておりました

用事を済ませた帰路 案の定まだ渋滞はしておりましたが どうにか動いてくれていて

〈車線規制の箇所でまだ事故車らしいのが4台ばかし それを運ぶらしい車両とが待機中でした〉

 

バイパス下りれば丁度12時過ぎたところ

次の目的地 銀行は13時まで休み時間

書店で本買って お昼を食べたら丁度良い時間潰しができると ちゃっかり外食決め込んじゃいました

醤油ラーメンとハーフサイズの炒飯のセットです

 

姑のことで銀行さんでしないといけない手続きがありまして

終わって帰宅すると午後3時過ぎ

だけど用事を片づけられてほっとしました

 

年度かわりの時期で 長男もあれこれ忙しく

パソコンでオンラインとか 職場と連絡や書類の手続きとか

面白かったのがオンライン中 〈長男は自宅からだから かかってきた電話の音が入ることも〉

相手側〈職場〉画面には突然奇声をあげて入ってきた人物映り・・・・

すぐに解決したらしいですが

終わってから長男「こんなん初めてや」

でも誰だったのでしょうね 謎の奇声あげ侵入者

長男の職場はいたって真面目な〈そうじゃないと困る〉所なのですが

春・・・だからでしょうか

 

 

 

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小路幸也著「花咲小路二丁目の寫眞館」〈ポプラ文庫〉

2024-03-12 16:48:05 | 本と雑誌

 

 

 

寫眞館の就職で当日採用

スタジオの二階に住み込みOKという願ったりかなったりの職場を得た桂樹里〈かつら じゅり〉

何故か写真館の主は撮影しない・・・・・

それは彼が人物を撮影すると不思議なモノが写るからーーーーー

確かめようとした写真館の主・・・久坂重〈くさか じゅう〉と樹里は 過去へとタイムスリップ

 

そこで樹里の母と久坂寫眞館に関わりあったことが判明

トラブル解決の為に久坂はある人物を頼った

 

再び現代に戻った久坂と樹里

今度は過去にトラブル解決に動いてくれた人間ともども 三人でまた違う過去へタイムスリップしてしまう

 

アーケードが燃えた商店街の火事の真相

犯人は誰であったのか

 

花咲小路シリーズ

ちょっと不思議で実在してほしいような街の物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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