順調にスペシャルホビー(SH)の隼Ⅱ型が完成しました。マークは加藤隼戦闘隊で有名な、矢印ですが、ちょっと変わっているのは、矢印の上に、クジャクの模様が大きく描かれていることです。この模様が描かれているのは、機体が「愛國ビルマ日本人會献納機」なのです。インターネットを調べると、非公式ながらクジャクの一種が、ビルマ(現在のミャンマー)の国鳥とされているからだと思います。細かい考証は次回にゆずるとして、基本的な点だけ述べます。
ガレージキットとは言いませんが、立派なパッケージの割には、簡易インジェクションなので接合ピンはほとんどありませんので注意を。例えばアンテナ支柱は取り付け箇所すら不明なので、位置決めをして、ピンバイスで穴を掘ってつけます。
このキットの外形上の最大の欠点は、このように、エンジンカウリング上面が垂れてしまっていることで、こればかりは修正しようもないし、シルエットを損ねています。デカールはキット付属のものを使わず、全て静岡のPHUデカール製にしましたが、扱いやすいものです。このキットを作ったのは実はこの尾翼のマークを貼りたかったからというのが、本当の話です。キャノピーは固定風防とスライド部のすり合わせが不十分で段差がついてしまいました。
このアングルから見ると、ほっそりした隼がうまく表現されています。
ドロップタンクは後期の支持プレートと半円形の支持架で取り付けるタイプです。支持プレートを介してドロップタンクをつける、というのはおそらく隼が初めてで、現在のジェット軍用機にも多用されている先進的なものです。
ドロップタンクの取り付け位置は、説明書に機体中心線から26mmと指定があるだけで、取付穴と取り付けの真鍮ピンは適当に自分でつけます。支持プレートと半円形の支持架の取り付けも、同じようにすれば良かったのですが、面倒なので、支持架の先端を尖らせて、支持プレートに大きめの穴を開けて、流し込み接着剤で固定しました。汚しはウォッシングを軽く施しただけで比較的綺麗なものです。
ところで、加藤隼戦闘隊とは、陸軍飛行第六十四戦隊の事で、戦時中映画にもなって、国民によく知られていました。ちなみに実写の多い映画ですが、敵機の炎上墜落シーンなどの特撮はかの円谷英二氏です。円谷氏は戦前から活躍していたのですね。映画の主題歌ともなった、部隊歌が加藤隼戦闘隊の歌です。歌詞の冒頭は以下の通り。
エンジンの音 轟々と
隼は征く雲の果て
翼に輝く日の丸と
胸に描きし赤鷲の
印はわれらが 戦闘機
以下略
小生、十年以上カラオケに行っていませんが、昔は加藤隼戦闘隊歌も歌っていました。イントロが長調で途中から短調に変わり、また長調になる、なるといった凝った歌です。この曲は今もカラオケにあるのでしょうか。ところで、歌詞と隼のプラモのマークは話が違うではありませんか。隼の前の九七式戦闘機の頃までは、陸軍機は胴体に日の丸を描かず、主翼にだけ描いていましたから「翼に輝く日の丸」なのです。それから加藤建夫中佐(戦死時)が戦隊長に着任してからは、戦隊マークは下図(*)のようなキャノピー下の胴体に描かれた赤鷲から、プラモのような矢印になっています。
加藤は九五式戦闘機、九七式戦闘機、隼Ⅰ型と乗り継いでいて、加藤が搭乗機の胴体に赤鷲を描いて活躍していたのは、九五戦と九七戦の途中までです。従って、加藤隼戦闘隊の歌の「胸に描きし赤鷲の」というのは、語呂がいいから歌詞に使ったフィクションと言うことになります。胴体に赤鷲を描いた隼は存在しないのです。ちなみに、小生の知る限り、加藤機の九七戦の胴体に赤鷲を描いた資料は存在しません。
いずれにしても、「隼」の名は、映画のヒットと陸軍の宣伝の効果で、今と違い零戦がほとんど知られていなかったのに比し、広く銃後の国民に知られていました。零戦が有名になったのは、戦後の堀越技師の奥宮正武氏の共著「零戦」によるものと、戦後米軍による零戦の評価が流布したことによるものと小生は想像しています。米軍パイロットの多くは零戦と隼の区別がつかず、隼も零戦と一緒くたにして、手強い敵とみなしていた節があります。
さて隼Ⅱ型の72のキットは他に、古いハセガワのが今でも店頭にあります(ヨドバシカメラで何と税込み¥583!)が、このキットも捨てがたいので小生の作ったものと、SHとの比較を次回の記事でしたいと思っております。
*丸メカニック第49号(1984/11)(P56)による
エンジンの音・・・・・・・・隼は行く・・・・・
次の翼に輝くを よっくに 輝くと覚えてしまいました。
姉たちが何回も歌わせるので、気がついたのですが、
わざと よっく と歌っていました。
この歌は良いですね、元気になる歌です。
懐かしいです。
社会人になってからは大先輩が「戦友」を得意にしていて、長い歌詞を全部歌わないと止まらない人でした。
加藤隼戦闘隊の歌は社会人になって覚えたのですが、カラオケの画面に、隼の空中戦の白黒の画面が出るので、そっちばかり見ていました。
今でこそ海外メーカーが日本機をキット
化するのは珍しくなくなりましたが、その先駆けがRSモデルだったように思います。同社からはけっこう色んな日本機がキット化されていますね。日本機は儲けが多いんですかね?
仰るように、エンジンカウリング先端の曲線が垂れているのが惜しいですが、中々スマートな機体をうまくキット化しているように思います。マーキングが珍しいもので、同社のセンスの良さは現在も続いているようですね。
それから、拙ブログへのコメントで、薄め液が品薄だと言うのは本当のようで、こう言う記事を見付けました。⇒https://blog.goo.ne.jp/hk_12345/e/1b8011cf3786ee605ebed7132becb46a
RSもそうですが、SWORDも随分日本機を出していますね。SWORDは72の流星と鐘馗を作りましたが、デッサンはフジミやハセガワよりいいですね。RSはキ-94Ⅱとキ-87をためこんでいます。