うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

看護師さん

2018年12月09日 | 日記・エッセイ・コラム

昔住んでいたあたりに用があり、帰りに以前よく使っていた床屋に寄ってみた。

理髪組合さんに加盟していない、安い料金で提供するタイプの店だが、あちこちに店のある大手チェーンとちがって、カミソリをあてるところまではやってくれる。大手チェーンさんは来年値上がりするらしいし、こっちのほうがいいかもですね。。

ここ、いつもテレビがついていて、なんとかサスペンス劇場のドラマなんかがしょっちゅう流れている。随分前だが、中村雅俊が文科省の役人で、仕事で知り合った女性と深い関係になったのがもつれて、殺した後でどこかの山中に遺棄する、という筋書きのドラマをやっていた。そんなドラマめったに見ないので、なぜか今でも筋書きをよく覚えている。たぶんそのときは、結構順番待ちをさせられたのかもしれない。

今日のドラマはもう大団円のあたりだったらしい。女性刑事と、美人ナース、その上司らしい婦長さんのようなひとが語り合っている。回想シーンで瀕死の男性に注射針を刺したり、なんかメスみたいなものをぶすりと刺したりしている。美人ナースが「あんなやつ、生きてる価値なんかないのよ!」と叫ぶと、婦長さんがつかつかと寄ってきて、平手打ちをナースさんに食らわせる。。

この感じがなんとも床屋らしくていいですね。。昔よく通っていた床屋さんはラジオが好きで、北原ミレイ「ざんげの値打ちもない」がかかっていたりしたけど、床屋さんってそういうウェットな質感が実に良く似合うんですよね、不思議なことに。

ん、そういえば床屋さんが首筋に当てているのはカミソリ・・・。


父の入院中、色々世話をしてくれた看護師さんはたくさんいるが、夜勤などで何度もお会いした数人の方のことはいまもよく覚えている。

若手の男性の方もいたが、あとは小さくて若い女性、ちょっとベテランの、体格の良い感じの女性、同じくかなりのベテランで、いかにも姉御肌という感じのひと、この人が父の最期をみとってくれた。

小さい方は、目のくりっとした可愛らしい人だったが、とても利発な感じで、受け答えははきはきとしていた。それらの特徴は僕に、昔の職場で知り合った人を思い出させ(雰囲気という意味ではそっくりだった)、その時のあまり芳しくない思い出は、その看護師さんと話をするときの僕に、最初はどこか居心地の悪い思いをさせた。何度か話をするようになると今度は、今と昔がごちゃ混ぜになったような不思議な気分にさせられた。。なにをごちゃごちゃ言ってるんだか。

体格の良い方は、ちょっととっつきにくい感じがしないでもなかったが、任せておけば良いという安心感も感じた。

ベテランの方は、付き添いの家族である僕等にもちょっとため口みたいな話し方をする方で、いわゆる飲み屋さんで話をすると結構楽しいんじゃないか、というタイプだと思う。ともすれば暗くなりがちな場面が多いところだが、この方がいると少し救われるというか、あれだな、娑婆の感じを持ち込んでくれる、みたいなところがあった気がする(わかるだろうか?)。

先ほど書いたように、この方が最期を看取り、諸々の手配などをしてくれた。ふだんのくだけたようすとは打って変わって丁寧な話ぶりで、裏口から見送ってくれた時も深いお辞儀をしてくれた。

どの看護師さんにもふだんの生活があり、そこでは僕らと同じように笑ったり怒ったり、おいしいものを飲み食いしたりしている(はずだ)。普段着で街を歩いていれば、それと気がつくことなどないだろう。僕等とちがうのは職場で毎日、人の命と直面していることだ。彼らにとってそれがどういうことなのか、僕には想像もつかない。この年になっていまさらそんな感想を持つのもあれだが、社会というのはこういう人たちをはじめ、色々な厳しい状況に直面している方々で、構成されていものなのだ、ということを、彼らを通じて思い起こした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 近況 | トップ | 次のレンズ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (もっち)
2019-11-11 18:47:08
こんばんは、初めまして。そのサスペンスはたぶん、テレビ東京でやったたづたづしだと思います。92年の最初の火曜サスペンス劇場で、古谷一行主演で同タイトルのドラマを放送しましたが、それの別バージョンですね。すぐわかりました。
こんにちわ (うさぎくん)
2019-11-17 23:53:58
もっちさん、こんにちわ。コメントありがとうございます。
そうですか、たづたづしというドラマだったのですね。。床屋だったので、見たのは本当に数分から10分程度だったと思うのですが、これだけでお分かりになるとは、すごいなあ。。
宜しかったら、これからも当ブログをよろしくお願いいたします。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの最新記事