田中雄二の「映画の王様」

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『風と共に去りぬ』

2019-01-16 09:27:08 | 1950年代小型パンフレット

『風と共に去りぬ』(39)(2006.3.13.)



 中学時代に、最初に見たときは、圧倒的なスケールの大きさに打ちのめされたのだが、その後、何度か見るうちに「この映画は、結局わがまま勝手な女(スカーレット・オハラ)の一代記に過ぎないのではないか」と反発を覚えたり、「いやいや、そうは言ってもやっぱりいい映画だ」と思ったりと、自分の中でも評価が定まらなくなった。とはいえ、マックス・スタイナー作曲のあのテーマ曲「タラのテーマ」がかかると、訳も分からず感動させられてしまうのは確かだ。

 今回、NHK BSの放送で久しぶりに見たのだが、改めて、古典映画での俳優の存在感、あるいは人物描写の極端さや、濃さについて考えさせられた。思えば最近はやりの“韓流ドラマ”のルーツはこういう映画にあるのかもしれない。

 また、この映画は南軍、つまり敗者の側から見た南北戦争が描かれるから、アメリカというか、アイリッシュ移民のトラウマや、土地への執着が露わになる。また、アシュレイ(レスリー・ハワード)は戦場で受けた心の傷が癒えないし(今で言うPTSDか)、レット・バトラー(クラーク・ゲイブル)は成金の自分をどこかで恥じている。にもかかわらずスカーレット(ビビアン・リー)はたくましい、と言ったら、それは男の勝手な言い分か。

 今回は、意外や、天使のようだと表現され、何かとスカーレットと対比されるメラニー(オリビア・デ・ハビランド)の方が、実はずるくてくせ者なのかもしれないと思わされた。

 【今の一言】NHK Eテレの「100分de名著」で、この映画の原作であるマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』について解説していた。「スカーレットは金と土を手にした時に我に返る」「実はメラニーの方がエキセントリック」など、興味深い考察が語られていた。

ビビアン・リーのプロフィール↓


クラーク・ゲイブルのプロフィール↓


オリビア・デ・ハビランドのプロフィール↓

パンフレット(52・東宝事業課(有楽座 No52-17.))の主な内容
この映画のスタッフに就て/映画を織りなす人々/オリヴィア・デ・ハヴイランド/ヒロインの決定と九つのオスカア/ミッチェル女史のこと(大久保康雄)/極付レット役者クラーク・ゲイブルのこと(大井眞太)/天下一品名女優ヴィヴィアン・リイのこと(淀川長治)/スカーレットと暮す四時間”風と共に去りぬ”に就て(飯島正)/強い女性スカーレット・オハラのこと(村岡花子)/南北戦争映画風の背景について(春山行夫)/「風と共に去りぬ」劇的事件のあらまし


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