見もの・読みもの日記

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2019年1月@関西:物語とうたにあそぶ(中之島香雪美術館)

2019-01-16 23:00:20 | 行ったもの(美術館・見仏)
中之島香雪美術館 開館記念展『珠玉の村山コレクション~愛し、守り、伝えた~ V 物語とうたにあそぶ』(2018年12月15日~2019年2月11日)

 三連休2日目は大阪で新春文楽公演の第1部を鑑賞。午後3時過ぎに公演が終わってから、速攻で中之島(肥後橋)に出た。開館記念展の最終パートとなる本展は「物語」と「うた」を主題とする絵画や書、工芸品を展示する。

 冒頭は源氏物語関係で、江戸期の源氏物語図屏風など。次に、さまざまな物語を絵にした作品の中では、江戸時代の『浦島物語絵巻』が面白かった。近代の絵本などで知られた物語とはずいぶん違って、妻を残して釣りに出かけた浦島は大きな亀を釣り上げ、その亀が美女に姿を変えて浦島を竜宮に誘う(古い伝承のかたちだ)。玉手箱を開けた浦島は老人になるが、鶴に生まれ変わって亀の乙姫と二世の縁を結ぶ(おもしろい)。絵はかなり巧くて丁寧。

 岩佐又兵衛の『堀江物語絵巻』が出ていたのには驚いた。この作品は、現在5巻分と断簡1が知られる『堀江物語絵巻』のほかにMOA美術館所蔵の『堀江巻双紙』12巻があるらしい。血なまぐさいのは後者で、前者は、中之島香雪美術館所蔵の巻も、パネルになっていた他の巻も、そんなに恐ろしい画面はなかった。

 エピローグの『伊勢物語図色紙』17枚(室町時代、15世紀)は類例を見た記憶がなく、全く初めてのように思う。やや縦長の20センチ四方ほどの空間、銀砂を散らした料紙、華やかな色彩の名残、明快な構図。吹抜屋台の家の中に、あるいは絵画化された山道や川のほとに、引目鉤鼻の王朝人が描かれる。「伊勢物語」の、のんびりして、華やかで、少し可笑しく、しみじみと哀しい世界が小さな画面に濃縮されていて、とてもよかった。

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