東アジアにおける中共の台頭は、日本にとって重大な脅威である。日本とアメリカとの同盟関係の強化は、両国の利益と合致する。その観点からも、中共軍に対抗するために平成27年に平和安全法制を成立させ、安倍内閣でアメリカ軍と合同で自衛隊が作戦行動をできるようにしたのは、大きな一歩であった。残念なのは、日本の重大権益を守るための戦域ミサイル防衛システムがまだ整備されていないことだ。アメリカの協力を得て楯が鉄壁であれば中共の野望を打ち砕けるのである▼サミュエル・ハンチントンは『引き裂かれる世界』(山本暎子訳)において、中共への対抗策として、日本の軍備増強とアメリカ軍との連携、さらにはミサイル防衛網の整備を説いた。18年前に日本が将来直面する安全保障上の脅威を問題にしていたのだ▼ハンチントンの予言はほぼ当たっているが、経済成長後の中共の見通しに関しては予測が外れた。「為政者の正当性の基盤を共産主義イデオロギーから経済のパフォーマンスへとシフトした」ことで、中共が民主化へと向かうとみていたからである。現実には全体主義への傾斜を強めてきている▼アメリカの大統領選挙に日本国民の多くが関心を抱いているのは、アメリカの対中共政策が変更されることになれば、日本丸の舵取りも難しくなるからだ。中共の属国にならずに、自由と民主主義を守り抜くには、お花畑ではいられないのである。
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