中国共産党の一党支配を終わらせることは、内政干渉ではない。自由と民主主義を無視し、人権を踏みにじる国家を断じて認められないからである。ポンぺオ国務長官は一昨日、ウイグルでの人権侵害に関与したとして、陳全国共産党委員会書記らのビザ発給を制限する制裁措置を発表した。トランプ政権は中共との対決姿勢をより鮮明にしてきているのだ。香港での「高度な自治」を擁護するとともに、台湾への支援を強めているのも、その一環である▼賢明な哲学者であったヤスパースは、中共が今日のような強大な軍事国家になることを予言していた。このために米国との関係の強化を、西側陣営は根本に据えることを訴えたのである。日本が米国と中共との仲介をするなどというのは、甘い幻想でしかないのである▼「やはりこれに対応した軍事力をもつ者のみが、生き残ることができる。かかる軍事力を実現しうるのは、自由世界のなかでは、唯一の指導のもとにある包括的な共同体のみである。同盟だけでは十分でない。自由諸国の統一的総司令と統一的外交政策が必要不可欠である。この世界は、全体主義国家が強制と恐怖によっておこなっていることを、自由によっておこなわなければならない」(『哲学の学校』松浪信三郎訳)▼差し迫った危機を乗り切るには、安全保障上の観点からも、米国を中心とした西側国家群に加わるしか、選択肢は残されていないのである。
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